新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が世界のドキュメントプリンティング市場を直撃、2020年の世界全体のオフィス/ホーム用機器からの全ページボリュームは急速に減少する見通しだ。
IDC Japan(以下、IDC)は2020年6月25日、世界全体のオフィス用およびホーム用プリント機器から出力される紙全体の増減予測を発表した。新たな予測では、COVID-19の影響で働き方や働く場所が変化したことで、2020年の世界全体のオフィス用およびホーム用プリント機器から出力されるページボリューム全体は急速に減少する見通しという。
コロナで大きく減少する紙への印刷
IDCの予測する「最も可能性が高いと考えられるシナリオ」に基づいた場合、2019年に3.2兆ページだった世界全体のページボリュームは、2020年には13.7%減少し世界全体で2.8兆ページとなるという。2021年には多少の回復が期待できるものの、2015〜2019年はマイナス1.2%だった年間平均成長率が、2019〜2024年の5年間ではマイナス4.8%と大きく低下すると予測される。
地域別の予測でも、コロナ禍が影響し、ページボリュームに短期的なマイナス影響を与える。2019年の成長率はマイナス7%〜マイナス17%と地域によって差がある。この減少幅は、北米およびアジア太平洋地域(中国および日本を除く)において大きく、中国市場では比較的小さい。
IDC Europeのイローナ・スタンケオバ氏(Imaging Devices & Document Solutions シニアリサーチディレクター)は、「世界の主要経済圏で勤務体系が在宅勤務へと劇的かつ急速に移行し、オフィスで出力される印刷物の量に直接的な影響を与えることになった。2019年には世界全体で1分当たりサッカーフィールド54面分に相当する約600万ページがプリントされていた。COVID-19の影響で2020年にはこのうち7面分が失われることになるだろう」と述べる。
IDCでは、上述の最も可能性があるシナリオ予測に加えて、楽観シナリオおよび悲観シナリオに基づく予測も発表している。楽観シナリオに基づくと、世界全体のページボリュームの今後5年間の年間平均成長率マイナス3.2%となる。一方、悲観シナリオに基づく場合には、今後5年間の世界全体のページボリュームの年間平均成長率はマイナス6.6%となり、さらに大きな減少も予測されるという。
IDCの石田 英次氏(イメージング、プリンティング&ドキュメントソリューション グループマネジャー)は「オフィス(における印刷)ページボリュームの減少は、プリンティング市場全体に大きな影響を与える。パンデミック後の『Next Normal』(新常態、ニューノーマル)における新たな働き方を前提に、(プリンタや複合機、コピー機などの)ハードコピーペリフェラルベンダーには大胆な戦略変更が求められる」と語る。
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June 30, 2020 at 06:00AM
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