カメラを持って出かけたくなる季節がやってきた。スナップ撮影には特別なカメラは必要ない。しかし、逆にスナップだからこそカメラにこだわりたいという思いも確かにある。そんな悩ましいスナップ向きのカメラを、独断と偏見でセレクトしてみた。
鹿野カメラマンが選んだスナップ撮影おすすめカメラ15
ソニー α7 IV
オールマイティーなスタンダードα7
スナップに限らず、あらゆるジャンルでオススメできる超万能フルサイズミラーレス。尖った部分はないが、スタンダードモデルの4代目とあって無類の安定感がある。Eマウントは純正レンズはもちろん、他社のレンズが充実している点もポイント。スナップ撮影ではタムロンの「20-40mm F/2.8 Di III VXD」やシグマ I シリーズ単焦点などが本機とベストマッチだ。
ニコン Z fc
持つ楽しみと実用的な高性能を両立
往年の名機「ニコン FM2」を彷彿とさせるクラシカルなデザインながら、実際に使ってみると軽快でとても実用的。ベースとなっている「Z 50」自体が完成度の高いカメラなので、実用機としてハイレベルな撮影ができる。EVFの見え具合やシャッターの感触も良好で、アナログ感覚の操作が好みならきっと撮影そのものが楽しくなるはずだ。
富士フイルム X100V
実用性に優れたアナログ感覚の名機
先代からレンズやセンサーが大きくアップデートしたX100シリーズの6代目。アナログ感覚の操作を懐古趣味ではなく実用のために取り入れている点が素晴らしい。実際、自分の意図をスムーズに反映でき、道具としてよく手に馴染む。そろそろ7代目が登場してもおかしくないが、個人的には完成され尽くした名機だと思う。
シグマ fp L
フルサイズらしからぬ小型軽量さが魅力
フルサイズミラーレスを極限まで小型化。道具としての魅力や楽しさもある。2460万画素の「fp」と迷うところだが、AFの速度と精度は後発のこちらが上。価格差も少ないのでこちらをススメたい。レンズの選択肢も充実してきたが、僕はAPS-Cミラーレス用の16mm、30mm、56mm (すべてF1.4) を1:1のスクエアで使っている。
リコー GR IIIx
肩肘張らずに日常を切り取れる40mmのGR
40mm相当のこちらと、28mm相当の「GR III」、どちらを推すか迷った。両方持っている僕も日々持ち出すのに迷い、結局両方持って歩くことが多いくらいだ。なので本音をいえば2台セットが理想。切れ味鋭い印象の「GR III」と比べると、こちらは肩肘張らずに日常を切り取れる印象で、オールラウンダーという点で今回はこちらに軍配を上げた。
キヤノン EOS RP
今こそ再評価したいベーシックなEOS R
操作面ではいろいろ割り切りが必要だが、フルサイズでありながらボディの実売価格が13万円ちょっというのは大きな魅力。小型軽量で手ごろな価格のRFレンズが増えてきた今、改めてその存在価値が高まっている。
キヤノン EOS R5
価格以上の価値があるEOS R上位機
今発売されているすべてのカメラの中で、最も万能な一台ではないだろうか。持ち歩くのに苦にならず、しかしこれで何でも撮れるというある種の安心感がある。価格の高さがネックだが、それに見合う満足度はある。
ソニー α6400
十分なスペックのベストセラーα
発売から4年以上が経過しているが、スペックは十分。しかも実売価格がこなれている。手ブレ補正を搭載した上位機種「α6600」と迷うが、そもそも手ブレ補正を備えたズームレンズも多いので、こちらで十分だと思う。
ソニー Cyber-shot RX0 II
機動性が高くサブカメラに最適
僕はランニングのおともとして購入したが、よく写るのでちょっと出かけるときや、仕事のスーパーサブ機としても活用している。飛び道具に思われがちだが、解像力と階調性はスマホより格段に上。もっと評価されていい。
ニコン Z 6II
高感度描写に優れたニコンのフルサイズ機
「Z 6」のちょっとした不満点を改善。高画素機の兄貴分「Z 7II」と迷うかもしれないが、操作性は変わらず、高感度描写や連写速度はこちらが上。それでいて実売価格は10万円以上安いので、個人的にはこちらがオススメ。
富士フイルム X-S10
Xシリーズの入門機に最適
Xシリーズというとゴツいデザインと独特な操作性というイメージが強いが、これはコンパクトでわかりやすいインターフェース。しかも実売価格も手ごろで、富士フイルムの絵づくりを体験してみるにはもってこいの一台。
オリンパス PEN E-P7
レスポンスに優れた最新のPEN
「PEN-F」の生産完了には残念な気持ちになったが、この「E-P7」が登場して希望の光が見えた。ビューファインダーこそ省かれたものの、小型軽量でシャキシャキとしたレスポンスはPENデジタルシリーズならでは。
パナソニック LUMIX G9 PRO
静止画のために生まれたLUMIX
動画撮影機というイメージが強いLUMIXにあって、静止画にウエイトを置いたモデル。発売から5年だが、それゆえに安いのも魅力だ。もちろんスペックは今でも十分通用するレベルで、お買い得感は非常に高い。
ペンタックス K-3 Mark III
今では貴重な光学ファインダーを持つ一眼レフ
この中で唯一の一眼レフ。そのファインダーの見え具合が素晴らしく、メカが詰まったような感触とともに、撮る楽しさが味わえる。Kマウントの豊富なレンズが使えることと、メリハリの強い絵づくりもポイントだ。
ライカ M11
究極のスナップカメラといえばコレ
取り上げるか迷ったが、究極のスナップカメラといえばやはりM型ライカではないだろうか。今やライブビューが搭載されて尖った感は薄れたが、やはりライカ特有の難しさと、それを乗り越えた先の釣果があるはず。
スナップ撮影のカメラは性能第一ではない
スナップ撮影というのは、カメラに特別な機能や性能を求めるものではない。一方で、機動力や操作性、レスポンスなど、あらゆる要素で高いレベルを要求したくなる。僕自身は行き先や行動パターンでカメラを使い分けている。
どんな用事でも出掛けるときは必ずカメラを持ち歩くが、撮影目的ではない外出のときは「GR III / GR IIIx」を選択。どんなときでもサッと取り出せて、素晴らしい画質を得られるのはやはり心強い。さらに撮影行為を楽しみたいなら、ファインダーを内蔵した「X100V」か、小さいながらレンズの選択肢が豊富な「fp L」を持ち出す。
撮影そのものを目的として出かける場合には、ミラーレスや一眼レフを選ぶことが多い。「α7 IV」と「Z fc」は所有していないが、今個人的に欲しい2台。とくに「Z fc」とキットズームの組み合わせは小型軽量で魅力的だ。実際に使うことが多いのは「K-3 Mark III」だろうか。ミラーレスのEVFがどれだけ進化しても、世界を直視するような光学ファインダーの魅力は色褪せない。
片手だけで自由に操作できる頼もしさ
ポケットに収まる「GR IIIx」は、仕事の撮影に“私事カメラ”として忍ばせていくことも多い。これは倉敷での仕事の空き時間に散策して撮影した1枚。絞りや露出補正などの操作も含め、片手で完結してしまうのが頼もしい。
最新ではない機種を選ぶという選択肢も
ことスナップではカメラに効率や利便性を求めてもつまらない。楽しさや気持ち良さも必要ではないだろうか。また、昨今はカメラも価格が高騰しており、ここでは安さという点を考慮して選んだものも多い。数年前に発売されたカメラでも時代遅れということはなく、むしろ実売価格が安くてお買い得感があったりする。その点では高画素でハイスペックな機種ではなく、その弟分を選ぶのも賢いと思う。
※参考価格は記事公開時点の量販店価格です。
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