矢面に立った経験なしの外交が政権のアキレス腱になる可能性も
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自民党総裁選は、14日の投票を待たずして、菅義偉当選がほぼ確実となっている。残された関心事は、石破と岸田のいずれが第二位につけるかということくらいで、各都道府県3票、計141票の地方票の争奪戦が見所となっている。
現在の「菅人気」は派閥力学の帰結
自民党の国会議員や党員のみならず、マスコミまでが「勝ち馬に乗れ」といったムードを醸成し、それが国民世論にも影響を与えている。
共同通信の世論調査(9月8、9日)によれば、「次期総裁に誰がふさわしいか」という問いに対しては、菅50.2%、石破30.9%、岸田8.0%である。また、アベノミクスについては、「見直すべき」が58.9%、「継承すべきだ」が33.3%である。安倍首相の積極的な憲法改正論は、「引き継ぐ必要はない」が57.9%、「引き継ぐべきだ」が36.0%である。人々が変化を求めていることは確かで、そこを見誤ると、菅政権は順風ではなくなる。
毎日新聞世論調査(8日)でも、ほぼ同様の結果が出ている。「自民党総裁選にもし投票できれば、誰に投票するか」という問いに対する回答は、菅44%、石破36%、岸田9%である。自民党支持層に限って言えば、菅71%、石破18%、岸田7%である。しかし、無党派では、菅29%、石破44%、岸田10%と石破がトップである。
次期首相に期待するのは、「変化」が55%、「継続」が33%である。新型コロナウイルス対策と衆院選の優先順位は、コロナ対策65%、解散総選挙23%である。
この二つの世論調査で注目すべきは、無党派層では今なお石破支持が最多である点である。さらには、安倍政権の継続よりも変化を求める人のほうが多いことである。つまり、菅人気は、派閥の力学が生んだものであり、安倍政権を継承するからということが理由ではないのである。この点を見誤ると、菅人気は一時のものとなってしまうであろう。
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