Research Press Release
Nature Communications
2023年12月13日
中間圏で発生するゴースト(短寿命の発光現象の一種)が緑色に光る原因が、鉄、ニッケル、原子状酸素、窒素である可能性が判明したことを報告する論文がNature Communicationsに掲載される。
過渡的な発光現象は、地球の上層大気中で発生する短時間の雷の一種で、通常の雷よりも発生高度が高い。最も一般的なタイプの過渡的発光現象として、スプライト、ハロー、エルフ、ブルージェット、巨大ジェットなどがある。その中で、まれに発生する緑色の発光現象は中間圏ゴースト(mesospheric ghost)と呼ばれるが、緑色発光の原因は断定されていない。励起した原子状酸素が緑色の原因と考えられているが、これまで分光観測(光の色の研究)ができなかったため、緑色発光に関与する金属種はまだ特定されていない。
今回、María Passas-Varoらは、中間圏ゴーストの化学的性質と動力学的性質を解明するために、2019年にスペインのカステルガリで高スペクトル分解能の分光観測研究に着手し、可視光の波長域で中間圏ゴーストの分光測定を行った。例えば、2019年9月21日に雷雨が発生した際に、地中海上空で短時間の発光現象の一種であるクラゲスプライトが検出され、このスプライトの発生中と発生後に輝度の増加が観測された。これは、クラゲスプライトの上側にゴーストが存在することを示している。また、金属の痕跡が検出され、惑星間ダスト粒子が高速で地球の大気圏に突入する際の流星アブレーションによることも判明した。今回の研究では、緑色の発光の主な要因(鉄、ニッケル、原子状酸素、窒素)が特定され、中間圏ゴーストについては、この他に黄色やオレンジなどの色も検出された。
doi:10.1038/s41467-023-42892-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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