読者の皆さんは、ゾンビが好きですか? 僕は嫌いだけど、ゲームでゾンビを撃ちまくるのは楽しいです。速いシューティングは苦手だけど、ゾンビは動きが緩いから撃ち放題(認識が甘過ぎ)。
話題の「Meta Quest 3」では、MR(Mixed Reality=複合現実)を使って“自宅でゾンビと戦う”という体験を表現したゲームが複数遊べます。しかし、それぞれ値段が結構違うのが気になるところ。ゲーム内容の違いも調べるべく、それぞれ試しにプレイしてみました。
◆値段が違い過ぎる理由は?
Meta Quest 3の公式ストアやSideQuestを漁っていると、ゾンビゲームが複数見つかります。どれもトレイラー映像を観るとなかなか楽しそう。俺もゾンビの群れやモンスターをバンバンやっつけるぞ! と意気込んで今回は以下の3本をプレイ。
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『Drop Dead: The Cabin HOME INVASION』2,490円
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『ゾンビ・ノワール:ミックスリアリティー』990円
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『Hauntify Mixed Reality』490円
こうやって並べて見ると、2,490円、990円、490円とやけに価格に差があります。果たして『Drop Dead』には『ゾンビ・ノワール』の約2.5倍の価値があるのか? 『Hauntify』は『ゾンビ・ノワール』の半分の価値なのか? それとも掘り出し物なのか? ここまで値段が異なる理由は、ゲームの機能や複雑さの違いにありました。
◆VRゲームの拡張としてMRで遊べる『Drop Dead: The Cabin HOME INVASION』
トレイラー動画を観るとMRでの戦いがメインに見えますが、実際はこのゲームの一部というかオマケに近い感じです。「The Cabin(山小屋)」というタイトルが示すように、VR内の山小屋で襲い来るゾンビの群れと戦い、生き延びることが目的のゲームなのです。
自宅にゾンビが襲ってくる「Home Invasion」を遊ぶにはメインメニューで選んで「自室の壁の位置」「ドアと窓の位置と大きさ」、それに「机などの家具の位置と大きさ」をコントローラーを使って事前に描く必要があります。この部屋の立体定義の機能はこのゲームの独自機能ではなく、Meta Quest 3(以下Quest 3)のOSに搭載された共通機能を使って行います。
ドアと窓は、ゾンビの侵入口となります。必ずリアルなドアと窓に定義する必要はないようなので、自分にとって有利な位置に作るのもアリ。逆に刺激的にするため、自分の目の前+背後に配置するなどの工夫もできそうです。
しかし設定時の落とし穴がひとつあって、必ず「現実のテーブル」をひとつ指定する必要がありました。最初は寝室の蒲団を片付けてそこで遊ぼうとしたのですが、テーブルがないためゲームを開始できず、リビングに移動してやり直しに。現実世界で何も置いていない場所に仮想のテーブルを描くことはできないようです。
ゲームが始まると、最初はテーブルの上に6連発のリボルバー拳銃と予備の弾倉(6発を一度に装填できるスピードローダー)が3つ。それと斧が用意されています。
やがてゾンビたちが部屋の外(設定上ドアの外はすべて屋外)にやってきて、ドアや窓を打ち破り侵入してきます。これをリボルバー拳銃と斧で撃退していくのですが、リボルバーの6発なんてあっという間に撃ち尽くしちゃう。そして、スピードローダーがあるとはいえ、目の前にゾンビがいる状態ではなかなか冷静に再装填することができず、時間が余計にかかります。むしろ斧のほうが素早く対応できますが、こちらも万能ではなく……。
斧は敵を引きつけて倒すことになるので、緊張感が半端ないです。前方のゾンビを打ち倒し、振り返るといつの間にか別のゾンビが目の前にいて、慌てて切り倒す! なんていう危機一髪が続きます。しかも斧も無限に使用できるわけではなく、ゾンビを倒しまくるうちに折れてしまいました。やがて、増えるゾンビの数に対応しきれなくなり、焦ってリボルバーのリロードもできず…。
ゾンビにやられてHPがなくなると死んでしまいますが、ゾンビの波をやってつけて行くと次第にゾンビが増えて難度が上がり、武器のグレードも上がっていくそうです。なおリボルバーのリロードは、手首を上下するだけで自動リロードするようにも設定可能。しかし、手動リロードを選ぶほうが経験値を早く溜められます。
◆MRのゾンビ戦がメインの『ゾンビ・ノワール:ミックスリアリティー』
こちらはタイトルに「ミックスリアリティー」と入っているくらいなので、起動してすぐゾンビと戦えるのかと思ったら、やっぱり部屋の設定は必要でした。最低2つの入口と1つのショップを設置しなければならない様子。え? ショップってなに?
入口の設置は『Drop Dead』とは違って独自のインターフェイス。腰から説明書兼設計書みたいなものを取りだして広げ、壁に向かって床に置くとその方向にドアが設置されます。ドアの大きさが決まっているので、設置する方向にちゃんと平面の壁上のものが必要です。『Drop Dead』で設定していた「リビングとキッチンの間の通路」は設置NG。ベランダに向かったガラス窓もドアとして設定できず、ちょっと苦労しました。
続けて、床に一畳弱のスペースを見つけて説明書兼設計書を広げて、その位置にショップを設定します。設定が終わるといったん木製人形をターゲットに射撃の基礎を習うことに。それから、ショップ(武器屋)が登場します。
ショップにはゾンビの親父がいて、武器の売り買いや強化カードの選択、武器の強化などが行えます。ゾンビを倒してはコインを稼ぎ、ターン毎にこのショップでより強い武器を手に入れて、より沢山のゾンビや強いゾンビと戦っていくという仕組みです。
シナリオと難易度を選択すると、いよいよゾンビたちと対決。オートマチック拳銃を手に最初のゾンビ達と戦います。今回はオートマチックだから『Drop Dead』のリボルバーより楽かというと、そんなこともありません。弾数は10発ですぐなくなるし、いちいちマガジンのリリースと装着をして、さらにちゃんとスライドを引いてコッキングしないと弾が撃てない! 実際には空マガジンのリリースは気がつくと自動的にされてるし(無意識にやってる?)、コッキングも左手をスライドに沿えるだけなんだけど、それでももどかしさはリボルバーと変わらないかそれ以上です。
次のフェイズでトミーガン(短機関銃)が使えるようになって「ラッキー!」と思ったら、このトミーガンは威力が低くてすぐに弾がなくなるという代物。ハンドガンに持ち替えようとしたものの、替え方がよくわからないまま部屋の中に溢れるゾンビの間を逃げ回ることになり、結局死んでしまいました。
ゾンビのデザインなども含めて、ゲームの雰囲気はちょっとコミカル寄り。あんまり怖さを感じませんでしたし、最初の段階ではゾンビを打ち倒す爽快感もそれほどではありませんでした。もうちょっとやり込んでみないと魅力はわからないかも。
◆とにかく怖いぞ『Hauntify Mixed Reality』
Metaの公式ストアにはけっこう厳しい審査があるそうです。そこには載せられないアプリを「開発中」の早期アクセスな感じで、一般の人も利用可能なのが「App Lab」というもの。これもMetaが運営していて、Web版のMetaストアで(App Labであり利用は自己責任である旨は警告されますが)購入するとQuestの本体にインストールできます。
App Lab以外の野良アプリもインストール可能な「SideQuest」で見つけたこの『Hauntify』は、ゾンビシューティングではなく、家の中を探索して幽霊やモンスター(ゾンビ風もいる)と戦ったり逃げたりするゲームです。シューティング要素はゼロで、ガチで遭遇しないように避けて逃げるのが基本。背後から襲われたら即死です。
『Drop Dead』や『ゾンビ・ノワール』と同様に家の中を最初にマッピングする必要がありますが、最大の違いはQuest 3のOSの境界線機能をオフにするのが前提なところ。「設定」→「システム」→「開発者機能」にアクセスして、警告が出ても境界線をオフに設定します。こうするとOSのカラーパススルーが自動的に停止されます(ゲーム側のパススルーは生きています)。
なぜOSの境界線をオフにするかというと、OSの境界線機能を超えた最大500m×500m、複数階にまたがる広大なマップを設定可能だからなのです。このゲームの本質は巨大お化け屋敷作成シミュレーターなのです。
なので、遊ぶときは部屋を複数設定しないとゲームになりません。しかし我が家は狭小住宅。2階はリビングとキッチンと子ども部屋しかないので、その部屋を全部マッピングします。とはいえAIが壁をある程度認識してくれるので、ざっと1周すれば完了します。さらに幽霊やモンスターが沸くポイントも自分で設定するのですが、今回はおまかせの簡易モードでやってみました。
いよいよゲームがスタートすると、昼間でも家の中が真っ暗になりました。スピーカーからはおどろおどろしいBGMが流れて、いきなり恐怖がジワジワと浸透してきます。さっきまでのんびりした日曜の午後だったのに! 暗闇の中、懐中電灯を照らして家の中を探索します。途中で、空中に漂う十字架を発見してゲット。
窓の外(カーテンがしまっているのですが)に白く漂う影を見てゾクッ!と寒気が。そして、女の子の人形みたいな幽霊に遭遇。このときは十字架を使って退治に成功したのですが、残念ながら録画できていませんでした(トホホ)。
その後ほっとしたのもつかの間、背後を振り返ると恐ろしいゾンビみたいな幽霊が出現。「グアアアアアアっ」と膝を突いてのけぞったところで命が尽きてゲームエンド……。周囲が明るくなりました。その後も何度か試しましたが、背後から襲われたら逃げることは難しいようです。ダッシュで走って逃げられるプレイ環境であれば、別かもしれませんが。
◆ホラー好きはぜひ体験して!
3本とも軽めのファースト・インプレッションではありますが、怖い順に並べると『Hauntify』>『Drop Dead』>『ゾンビ・ノワール』でした。『Hauntify』の怖さは格別。『ゾンビ・ノワール』はそんなに怖くないのでホラー苦手な人向きでしょう。爽快感は『Drop Dead』>『ゾンビ・ノワール』>『Hauntify』でしたが、やり込んでみたら印象が変わるかもしれません。
いずれもそんなに高いゲームではないので、どれを選んでも失敗ということはないと思いますが、サクっとゾンビシューティングをプレイしたいなら『ゾンビ・ノワール』でしょうか。ガチにやりたい人は『Drop Dead』のほうが良いのかもしれません。
『Hauntify』はそもそもシューティングではなく趣がかなり異なりますが、あの恐怖感はけっこう癖になります。ホラーが大好き!という人は絶対経験すべき。490円だし、損は無いと思います。Meta Quest 2のユーザーも、『Hauntify』なら白黒低解像度のパススルーの方が逆に怖くてメリットとして享受できるかもしれません。
◆戦いの前に儀式がある理由、Quest 3じゃなきゃいけない理由
3本のゲームに共通する「部屋の設定機能」は、要領が判ってしまえばそんなに難しい作業ではありません。ただし、コツを掴むまでは試行錯誤が必要。早くゾンビと戦いたい気持ちが盛り上がっているのに、その前に冷静の自分の部屋の構造を描かなければならないのは、ちょっともどかしいところです。筆者は気が短いので「ええい、面倒くせえ!」と一瞬放り出したくなりました。
Meta Quest 3に付属のミニMRゲーム『First Encounter』ではそんな作業は不要で、部屋の周りを見回すだけで、部屋の構造をAIで理解して自動的にマッピングしてくれます。Meta Quest 3に装備された深度センサーに加え、「Snapdragon XR2 Gen2」のAI機能も使って空間内のオブジェクトの意味を認識した分類(セマンティクス・セグメンテーション)を行っているのだと思われます。一方で今回のゲームはどれもMeta Quest 2やMeta Quest Proでも遊べるようになっています。そのためにユーザーが自分で部屋や家具を描いてあげないとならないのでしょう。
でも、今回の3本はどれもMeta Quest 3で遊ぶべきです。ゲーム用としてはかなりレベルの高いカラーパススルーとMR機能、それに音響の良さがあってこその臨場感と恐怖感ですから。
『Drop Dead: The Cabin HOME INVASION』
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価格: 2,490円
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容量:2.01GB
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日本語:対応
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記事執筆時のバージョン:2.0.2
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リリース日:2023/02/16
『ゾンビ・ノワール:ミックスリアリティー』
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価格: 990円
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容量:656.48MB
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日本語:対応
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記事執筆時のバージョン:1.0.1930
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リリース日:2023/06/15
『Hauntify Mixed Reality』(App Lab)
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価格: 490円
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容量:949.36MB
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日本語:非対応
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リリース日:2022/02/22
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記事執筆時のバージョン:1.4
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