Appleは「M3」チップファミリーを搭載したプロフェッショナル向けノートブック「MacBook Pro」シリーズを10月30日に発表し、11月7日に発売した。
M3は、個人向けPC用としては初となる3nmプロセスで製造されたプロセッサ。今回はM3、M3 Pro、M3 Maxの3グレードを搭載したモデルを初めて一度に投入。M3搭載の14インチMacBook Pro、M3 ProまたはM3 Max搭載の14インチ/16インチMacBook Pro、そしてM3搭載のiMacがラインナップされている。
今回Appleより、M3 Maxを採用し、メモリ、ストレージを最大容量搭載した16インチMacBook Proを借用したので、実機レビューをお届けしよう。
【“モンスタースペック”MacBook Pro 16【M3 Max/メモリ128GB/SSD8TB】の実力を試す。孤高の性能と美しさを確認せよ【実機動作あり】】
個人向けPC用として初めて3nmプロセス製造のM3を採用
今回の「MacBook Pro(16インチ, Nov 2023)」の進化、変更点は下記の通りだ。
- 初期OS : macOS Ventura → macOS Sonoma
- プロセッサ : M2 Pro/M2 Max → M3 Pro/M3 Max
- メモリ : 16GB/32GB/64GB/96GB → 18GB/36GB/48GB/64GB/96GB/128GB
- ディスプレイ : SDR輝度500cd/平方m → SDR輝度600cd/平方m
- 重量 : 約2.15kg(M2 Pro) → 約2.14kg(M3 Pro)
- カラー : シルバー、スペースグレイ → シルバー、スペースブラック
上記以外のスペックについては変更なし。ご存じの通り、Apple Siliconは「ユニファイドメモリアーキテクチャ」を採用しており、パッケージ内にメモリも収められている。基板自体になんらかの変更が加えられている可能性はあるが、2021年10月26日発売「MacBook Pro(16インチ, 2021)」、2023年2月3日発売「MacBook Pro(16インチ, 2023)」から、主にSoCを載せ換えることで進化してきたわけだ。
このほかの細かなスペックについては下記の表を参照してほしい。
MacBook Pro(16インチ, Nov 2023) | MacBook Pro(16インチ, 2023) | |
---|---|---|
OS | macOS Sonoma バージョン14 | macOS Ventura バージョン13 |
プロセッサ | M3 Pro(12コアCPU、18コアGPU) M3 Max(14コアCPU、30コアGPU) M3 Max(16コアCPU、40コアGPU) ※NeuralEngineはすべて16コア |
M2 Pro(12コアCPU、19コアGPU) M2 Max(12コアCPU、30コアGPU) M2 Max(12コアCPU、38コアGPU) ※NeuralEngineはすべて16コア |
メモリ | M3 Pro:18GB/36GB M3 Max(30コアGPU):36GB/96GB M3 Max(40コアGPU):48GB/64GB/128GB ※ユニファイドメモリ(LPDDR5) |
M2 Pro:16GB/32GB M2 Max(30コアGPU):32GB/64GB M2 Max(38コアGPU):32GB/64GB/96GB ※ユニファイドメモリ(LPDDR5) |
ストレージ | 512GB/1TB/2TB/4TB/8TB SSD (8TBはM3 Maxのみ) |
512GB/1TB/2TB/4TB/8TB SSD |
ディスプレイ | 16.2型(3,456×2,234ドット、光沢、SDR輝度600cd/平方m、最大120HzのProMotion、ミニLEDバックライト) | 16.2型(3,456×2,234ドット、光沢、SDR輝度500cd/平方m、最大120HzのProMotion、ミニLEDバックライト) |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 | |
インターフェイス | Thunderbolt 4×3、HDMI、SDXCメモリーカードスロット、3.5mmヘッドフォンジャック、MagSafe 3ポート | |
外部ディスプレイ | Pro:最大2台、Max:最大4台 | |
カメラ | Webカメラ(1080p) | |
バッテリ容量 | 100Wh | |
バッテリ駆動時間 | 最大15時間のワイヤレスインターネット 最大22時間のApple TVアプリのムービー再生 |
|
本体サイズ | 355.7×248.1×16.8mm | |
重量 | M3 Pro:約2.14kg M3 Max:約2.16kg |
M2 Pro:約2.15kg M2 Max:約2.16kg |
セキュリティ | Touch ID(指紋認証センサー一体型電源ボタン) | |
同梱品 | 140W USB-C電源アダプタ、USB-C - MagSafe 3ケーブル(2m) | |
カラー | シルバー、スペースブラック | シルバー、スペースグレイ |
M3チップファミリー最大のトピックは、個人向けPC用としては初めて3nmプロセスで製造されていること。また新世代のGPUが採用されており、リアルタイムにローカルメモリの使用量を割り当てる「Dynamic Caching」、光の反射を正確に計算・描画する「ハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシング」、ジオメトリ処理を効率化する「ハードウェアアクセラレーテッドメッシュシェーディング」などの機能が追加されている。次世代GPUに対応したゲームでは、リアルな照明、陰影、反射などが表現可能となるわけだ。
M3 Maxのパフォーマンスの目安は、今回のプレスリリースや製品公式サイトからは読み取りにくい。というのもM3世代がM2世代ではなく、M1世代と比較されているからだ。M3 MaxとM2 Maxの性能差についてはベンチマークで確認してみよう。
プロセッサ | M3 | M2 | M1 |
---|---|---|---|
製造プロセス | 3nm | 第2世代5nm | 5nm |
トランジスタ数 | 250億 | 200億 | 160億 |
高性能CPUコア | 4コア | 4コア | 4コア |
高効率CPUコア | 4コア | 4コア | 4コア |
GPUコア | 8または10コア | 8または10コア | 7または8コア |
最大メモリ | 24GB | 24GB | 16GB |
プロセッサ | M3 Pro | M2 Pro | M1 Pro |
---|---|---|---|
製造プロセス | 3nm | 第2世代5nm | 5nm |
トランジスタ数 | 370億 | 400億 | 337億 |
高性能CPUコア | 6コア | 6または8コア | 6または8コア |
高効率CPUコア | 6コア | 4コア | 2コア |
GPUコア | 18コア | 16または19コア | 14または16コア |
最大メモリ | 36GB | 32GB | 32GB |
プロセッサ | M3 Max | M2 Max | M1 Max |
---|---|---|---|
製造プロセス | 3nm | 第2世代5nm | 5nm |
トランジスタ数 | 920億 | 670億 | 570億 |
高性能CPUコア | 12コア | 8コア | 8コア |
高効率CPUコア | 4コア | 4コア | 2コア |
GPUコア | 30または40コア | 30または38コア | 24または32コア |
最大メモリ | 128GB | 96GB | 64GB |
なお価格については円安の影響を受けており、「MacBook Pro(16インチ, 2023)」のM2 Max搭載モデルは50万円をぎりぎり切っていたが、「MacBook Pro(16インチ, Nov 2023)」のM3 Max搭載モデルは下位が55万4,800円、上位で64万4,800円となった。またメモリ128GB、ストレージ8TBを搭載した最大容量構成では109万2,800円と大台を大きく超えている。
SoC | M3 Pro | M3 Max | ||
---|---|---|---|---|
CPU | 12コア | 14コア | 16コア | |
GPU | 18コア | 30コア | 40コア | |
メモリ | 18GB | 36GB | 36GB | 48GB |
ストレージ | 512GB | 1TB | ||
価格 | 39万8,800円 | 45万4,800円 | 55万4,800円 | 64万4,800円 |
SoC | M2 Pro | M2 Max | |
---|---|---|---|
CPU | 12コア | ||
GPU | 19コア | 38コア | |
メモリ | 16GB | 32GB | |
ストレージ | 512GB | 1TB | |
価格 | 34万8,800円 | 37万6,800円 | 49万8,800円 |
適切な構成を選べば一般ユーザーにとっても魅力的なハイエンドモデル
今回のM3 Maxを搭載した「MacBook Pro(16インチ, Nov 2023)」はAppleのノートブックの最上位モデル。ベンチマークではM3 MaxがCPU、GPU性能を着実に向上していることを確認できた。また最大搭載メモリ容量が増やされたことも、3D CADを日常的に扱うプロフェッショナルユーザーから歓迎されていることだろう。
メモリ128GB、ストレージ8TBを搭載した最大容量構成は109万2,800円と大台を大きく超えており、高価であることは確かだ。しかし、最大容量はプロフェッショナルユーザーをターゲットにした構成だ。それが誰でも購入できる場所で売っているにすぎない。
さすがに最小構成の512GB SSDでは辛いという場合もあろうが、M3 Pro/18GBメモリ/1TB SSDで42万6,800円という構成であれば、ほかのスペックや品質を考えると納得感はある。適切な構成を選べば、一般ユーザーにとっても魅力的な製品になると言えよう。
からの記事と詳細 ( 【Hothotレビュー】 M3 MaxのMacBook ProをM2/M1 Maxと比較。世代を重ねて性能はどれだけ上がったのか? - PC Watch )
https://ift.tt/VZe8K0t
科学&テクノロジー
No comments:
Post a Comment