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Monday, May 15, 2023

膨らんだアプリアイコンを「むぎゅっ」と押せるディスプレイ 外部ポンプ不要でスマホなどに搭載可能 - ITmedia NEWS

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Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。Twitter: @shiropen2

 米カーネギーメロン大学に所属する研究者らが発表した論文「Flat Panel Haptics: Embedded Electroosmotic Pumps for Scalable Shape Displays」は、流体で形状変化する薄型触覚ディスプレイを提案した研究報告である。スマートフォンのアプリやキーボードのキーなどを局所的に盛り上がらせて、ユーザーに物理ボタンの触覚を提供する。

盛り上がった設定アプリを押している様子。右上では盛り上がった状態とへこんだ状態を示す
(左)ディスプレイの膨らんだキーを押している様子、(右)キーボードの各キーを個別に盛り上がらせた/へこませた状態

 このような膨らませるデバイスはよく研究されているが、その多くは、後ろにつながれたエアポンプによって空気圧の出し入れが行われている。しかし、今回のデバイスは邪魔なエアポンプを排除しており、そのためスマートフォンなどの薄型機器への埋め込みを可能にしている。

 今回はエアポンプのような外部の機械式ポンプではなく、代わりに「電気浸透ポンプ」(Electroosmotic Pump、EOP)という手法を用いている。以前から他の分野で使われてきた技術だが、今回の技術の主役といえる。

 電気浸透ポンプとは、まず多孔質の固体に水素イオン濃度が高い水溶液をしみこませる。これに電圧を印加すると、陽イオンが負に帯電した固体表面に引き付けられ、内部の流体が片側に向けて移動が発生する。この流体の流れを「電気浸透流」と呼び、今回の膨張させる動力源として活用している。流れを反対にすることで、へこませることも可能である。

電気浸透流を説明した図

 電気浸透ポンプは機械式ポンプと違い、バルブなどなく薄く小型で作れるのが特徴。また脈動や機械的動作音などもなく、静かなのも利点だ。電圧を調整すると流量を増減可能なため、膨らませる量も容易に制御できる。

 電気浸透ポンプを埋め込んだプロトタイプでは、厚さ5mm未満で1秒間に体積分の液体を移動させ、±50kPaの圧力を発生させる。各ポンプは個別制御が可能で、局所的に任意の場所を1秒以下のスピードで膨らませる/へこませることができる。

電気浸透ポンプを埋め込んだプロトタイプ

 電気浸透ポンプの層を有機ELパネルの下に積層させるテストでは、電気的操作によって上段の有機ELパネルを押し上げ、部分的に膨らませることに成功した。アプリやキーの箇所に膨らみを配置することで、ユーザーにボタンを押す触覚を提供できる。

ピクセルのように任意の場所を局所的に膨らませているテストの様子
(A)アプリケーションアイコン、(B)キーボード、(C)スヌーズボタン

Source and Image Credits: Craig Shultz and Chris Harrison. 2023. Flat Panel Haptics: Embedded Electroosmotic Pumps for Scalable Shape Displays. In Proceedings of the 2023 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems(CHI ’23). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 745, 1-16. https://ift.tt/3kZJd4A

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