インドのジャワハルラール・ネルー大学の科学者らは8月16日、月の赤道域と極域にある衝突クレーターの形態的特徴と鉱物の堆積状況を明らかにしたと発表した。科学誌 nature india が8月23日に伝えた。研究成果は、学術誌 Journal of Earth System Science に掲載された。
月面では隕石の衝突により何千ものクレーターが形成されてきた。サウミトラ・ムカルジー(Saumitra Mukherjee)氏が率いる研究グループは、無人月探査機チャンドラヤーン1号 と米航空宇宙局(NASA)のルナー・リコネサンス・オービター に搭載された高解像度観測機器が捉えた画像を用いて、月の海の領域にあるカルダナスクレーターとクラフトクレーターを詳細に調査した。カルダナスクレーターの底は多角形の割れ目に覆われている。陽子などの高エネルギー宇宙粒子が割れ目に捕捉され、水酸塩沈着が起こる可能性がある。
研究グループは、カルダナスクレーターの表面には輝石と長石質の鉱物が多く存在し、クラフトクレーターの表面には斜方輝石とオリビンの混合物が存在することを見いだした。両クレーターは同じ地質時代(インブリウム時代後期)に属していることが分かった。
本研究は、月の地形形成や地球の地質との相関についてのさらなる理解につながると期待される。また、将来の月探査で着陸地点として利用できる4つの場所を特定することにも役立った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
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