企業の現場で働き方改革に取り組む担当者たちは、働かないおじさん問題をどのように捉えているのでしょうか。ジャーナリストの白河桃子さんが、転職経験のある女性担当者たちの座談会を開催。同質性の高い組織において少数派の率直な意見から見えてきた「おじさんの実態」とは――。
※本稿は、白河桃子『働かないおじさんが御社をダメにする』(PHP新書)の一部を再編集したものです。
■「出世は無理」と気づいてモチベーションダウン
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【出席者プロフィール(仮名、座談会内では敬称略)】
・中田さん(オフィス機器メーカー勤務)
・根本さん(バイオメーカー勤務)
・伊藤さん(食品会社勤務)
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【白河】本日はどうぞよろしくお願いします。
【一同】よろしくお願いします。
【白河】早速ですが、皆さんの会社では、やはりミドルシニア世代がボリュームゾーンなのでしょうか。
【中田】はい。私が勤めているのはまさに昭和レガシー企業で、シニアに近い年齢層が多いですね。ですから、長く活躍してもらうために役職定年を廃止したりと、シニアの活性化には割と早くから取り組んでいます。
【根本】私の会社は55歳が役職定年です。そこでお給料が下がり、60歳で本当の定年を迎えて、再雇用されるとさらにまた下がる、といった形です。
【伊藤】うちも同じです。役職定年と60歳の定年の二段階でお給料が下がります。
【根本】だから、やる気をなくすおじさんが多いです。もちろん、出世していく人もいますが、同じ年代でもやる気のある人とない人にはっきり分かれます。これはシニアだけの話ではなくて、ミドルでも先が見えてきて、「もう出世は無理だ」と思った人はガクッとモチベーションが低下します。
■女性が上司になると、余計にやる気が低下するおじさんたち
【白河】でも40代のミドルなら、あと20年以上は会社で働くわけですよね。
【根本】だから大きな問題なんです。最近は女性も出世するじゃないですか。それで女性が自分の上司になったりすると、余計にやる気がなくなるみたいで。あとは、昔の部下が自分の上司になるとか。
【白河】ミドルシニアをモチベートするための研修などはないんですか。
【根本】会社が育成しようとするのはやっぱり若い人たちですから、ミドル以降を対象にした取り組みはほとんどないです。
【伊藤】うちの会社も役職者に対する研修はかなり手厚いのですが、それ以外のミドル社員に対してはハラスメント研修くらい。
【中田】先ほども言ったように私の会社は役職定年を廃止して、できれば60歳以降も長く働いて欲しいという方針を会社として打ち出したので、定年前の50代後半の社員を対象にキャリア研修をやっています。それでも「研修なんて受けるのは20年ぶりくらい」という人が多いので、今後はもっと早い段階から定期的に研修をやっていこうかという検討を始めています。
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