2020年に、日本マイクロソフトから発売された次世代ゲーム機「Xbox Series X」と「同Series S」。時期を近くして発売された「PlayStation 5」と同様に、人気があるためか(出荷数も少ないのだろうが)購入できない状況が続いている。筆者もかつてはXbox 360を所有していたことがあり、Xboxシリーズの有名タイトルは結構プレイしていた。
今回、日本シーゲートの「Xbox Series X|S 用 Seagate ストレージ拡張カード」(以下、ストレージ拡張カード)を試すべくXbox Series Xを借りたのだが、複数のゲームタイトルを遊べるサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass Ultimate」を利用して、その中に用意されているタイトルを眺めていると、なんとも懐かしい感じがした。
それはともかくここで取り上げるストレージ拡張カードは、その名前の通りXbox Series X/Sのストレージを拡張してくれるデバイスだ。本体に内蔵されているSSDは1TB(Xbox Series Xの場合、Series Sは512GB)だが、それに加えて1TBの容量を増やすことができる。
最近のゲームはビックタイトルほど大容量で、例えば「Forza Horizon 4」や「バトルフィールドV」などは80GBを越えるし、「Halo: The Master Chief Collection」は約125GBだ。こういったゲームをたくさんインストールしておくためにも、ストレージは多い方がベターだろう。本体のSSD(M.2 SSD、Type 2230)を交換することは何より手間だしサポート対象外にもなるので、本体のSSDと同じ容量のSSDが加わることは大事だ。新型Xbox専用となるストレージ拡張カードはどのようなものなのか、細かく調べてみよう。
Xbox本体への装着は簡単
ストレージ拡張カードのサイズは、横幅が約32mm、奥行きが約50mm、厚さが約6mmある。Xboxに装着する部分は横幅が約30mm、厚さは約3mm(いずれも実測)と細くなっている。見た目は平べったいUSBメモリのようで、似たような製品ではバッファローのSSD「SSD-PUTA」が挙げられる。
ストレージ拡張カードは、Xbox背面のUSBポートやHDMIポートなどが用意されている場所に取り付けることになる。裏表の向きはあるが、逆には刺さらないようになっているので特に気にする必要はない。コネクターにすっと差した後は、一段グッと押す感じで装着する。ホットスワップにも対応しているので、本体電源が入っている状態でも抜き差しは可能だが、ストレージ拡張カードにアクセスしている状態では行わない方がよい。
ストレージ拡張カードが認識されているかは、本体メニューの「マイ コレクション」から「管理」→「データ保存機器」で確認できる。ここに「Storage Expansion Card」と表示されていれば認識されていることになる。
ゲームをインストールするのはもちろんだが、外部ストレージでの起動が制限されているタイトルでも、こちらに保存してプレイすることが可能だ。このため、ストレージ拡張カードにゲームを保存しておき、友だちが持っているXbox Series X/Sに装着して楽しむこともできる。
続いて、ベンチマークテストで外付けSSDやHDDと比較してみよう。
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Xbox Velocityアーキテクチャでゲームを高速動作
新型Xboxを持っている人ならご存じだと思うが、Xbox Series X/Sには「Xbox Velocityアーキテクチャ」という技術が用いられている。
Xbox Velocityアーキテクチャは、以下の4つの要素で構成される。
- 独自仕様のNVMe SSD
- ハードウエアベースでの解凍技術
- DirectStorage API
- サンプラー・フィードバック・ストリーミング
まず独自仕様のNVMe SSDだが、Xbox Series X/Sの内蔵SSDは、I/Oスループットが前世代のXbox Oneの40倍になるという。一定レベル以上のパフォーマンスを保てるようになっているので、データ転送量に捕らわれずにゲームデザインができる。
またXbox Series X/Sでは、ゲーム開発で広く使われているデータ展開アルゴリズムの「LZ」の他、テクスチャデータ用に特別に設計されたBCPackの両方をハードウエア上でアクセラレーションするため、これらを並行させて使えばゲームサイズを小さくすることができるという。圧縮率を2分の1とすると、Xbox Series X/Sでは毎秒4.8GBのパフォーマンスとなり、前世代の約100倍になる。
Direct Xに新しく用意されるDirectStorageだが、これを用いると開発者がI/Oタスクの優先順位を管理することができるようになる。このため、DirectStorageを使うと読み出し時間を最小化でき、ファストトラベルなどの時にもローディングが高速化される。
最後のサンプラー・フィードバック・ストリーミングだが、これはテクスチャの品質にかかわるものだ。今ある多くのゲームでは、プレーヤーの視点から遠く離れているものについては省略した表現を使い、手前になるに従って高品質なものになるよう設計されており、プレーヤーからどれだけ離れているかに関係なくテクスチャ全体をロードしている。
しかしXbox Series X/Sでは、サンプラー・フィードバック・ストリーミングにより、テクスチャの一部だけをロードすることが可能だ。これによってデータの読み出し量が削減され、空いた分をその他の書き込みに使えるため、全体的にリッチなゲーム世界をデザインできるようになるのだという。
Xbox Velocityアーキテクチャについては、その効果を全て紹介するのは難しいが、これらにより内蔵SSDが高速化されているので、内蔵SSDと外部ストレージによる読み出し速度を試すことは可能だ。
そこで「バトルフィールドV」(容量約82GB)の起動時間と、「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」(約43.4GB)、「Forza Horizen 4」(約83.8GB)のファイル移動速度を、シーゲイトのUSB接続HDD「Ultra Touch HDD」(2TB)とSSD「Ultra Touch SSD」(1TB)を使って、ストレージ拡張カードとのスピードを比較してみたい。
外付けSSDやHDDともスピードを比較
まずは外付けHDDとSSDをPCに接続して、CrystalDiskMarkによるテストを行った。その結果が以下の通りだ。
結果を見ると分かるが、よくあるSATA接続のストレージがたたき出す値で、それぞれ公称値(HDDが毎秒120MB、SSDが毎秒400MB)を上回る結果となった。これを基本として転送速度を確かめてみよう。バトルフィールドVの起動時間については、ゲームを選択した後、ロゴ関係のスプラッシュスクリーンが表示され、「ユーザーを選択」という表示が出るまでの時間を計測した。結果は以下の通りだ。
結果を見ると明らかだが、ストレージ拡張カードの起動速度は内蔵SSDとほぼ同じであるのに加え、SSDやHDDよりも高速な値となっており、日本マイクロソフトが言うような、Xbox Velocityアーキテクチャの効果が出ているように見える。
続いては、内蔵SSDからエースコンバット7とForza Horizen 4をコピーした時間について見ていこう。結果は以下の通りだ。
スコアを見ても分かるように、ストレージ拡張カードの転送速度は外部ストレージよりもかなり高速な値となっており、その速さが分かる。ただし両タイトルともUltra Touch SSDよりもUltra Touch HDDの方が速く終わっている。これは数回繰り返しても同じような値なので、結果を受け入れるしかないが、ファイルサイズの大きいデータのやりとりなので、キャッシュ不足が原因のように思える。いずれにしても、約43GBのデータを1分足らずで移動できるストレージ拡張カードは素晴らしいといえるだろう。
価格は高めだが新型Xboxユーザーなら手に入れておきたいアイテム
ここまで見てきたように、ストレージ拡張カードは、Xbox Series X/Sのストレージ容量を拡大してくれるだけでなく、USBの外付けドライブよりも高速な動作が期待でき、Xbox SeriesX/Sをより楽しむためにはそろえておきたいデバイスだ。保証期間も3年間と長い。
ただしネックとなるのが価格で、原稿執筆時のAmazonでの販売価格は税込み3万291円と、1TBのストレージとしては高価だ。この価格をどのように見るか次第ではあるが、高速動作のストレージ容量が増加して、気軽にゲームを持ち歩けるようになることを考えると、新型Xboxユーザーなら持っていて損はない、むしろ手に入れると幸せになれるアイテムだと言えよう。
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