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Monday, June 1, 2020

医療者教育に力入れる 福島医大放射線健康管理学講座・坪倉教授 - 福島民友

 福島医大放射線健康管理学講座教授に1日付で就任した坪倉正治氏(38)が福島民友新聞社の取材に応じ「『福島は大丈夫』と放射線についてしっかり説明できる医療者を養成したい」と意欲を語った。

 ―抱負を。

 「医療者の教育が長期的に最も大事になる。地域のお年寄りなどに接する医師や看護師などの医療者が『福島は大丈夫だよ』と、東京電力福島第1原発事故後の放射線の状況についてちゃんと説明ができればその効果は大きい。福島医大の卒業生は全国を飛び回るので、福島についてきちんと説明できる医療者を養成したい」

 「今回の新型コロナウイルスの問題で改めて感じたが、日本は何か問題が起こった際、それについて論文を書くなどして科学的データを後世に残すという取り組みが乏しい。例えば地下鉄サリン事件はあれだけの事件だったのに、事件に関する医学的論文はあまり残っていないのが現実だ。震災と原発事故の避難に伴う健康問題や介護増加の問題などを論文という形で歴史に残す作業を、われわれの使命だと思ってやってきた。これからも続けたい」

 ―原発事故後、「福島は危険」などと放射線を巡る誤った認識に基づく風評被害、偏見が生まれ、今も根強く残っている。

 「福島で病気が増えたなどとする、間違った解釈に基づく福島をおとしめるような論文が毎年2、3本出ているのだが、これらに対し論文の形で反論するという作業を続けている。反論しないでいると、例えば10年後の人が間違った論文を読んで事実と思ってしまうこともあり得る。われわれとしては何としてもそれは避けたい。福島で得られた知見を国際的な協力も得ながら発信していくことは、福島が被っている偏見や差別を払拭(ふっしょく)する力になっていくと思う」

 ―福島医大の学生にメッセージを。

 「福島で勉強する医療者として放射線の知識は最低限必要で、それは将来、医療者として住民の健康を支えるための重要な知識の一つになるだろう。一緒に勉強していきたい。僕自身も学生から教えられることが多いと思うので楽しみにしている」

 つぼくら・まさはる 大阪市出身。私立灘高卒。東大大学院医学系研究科修了。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後に本県の医療支援に入り、内部被ばく検査などを通じて県民の放射線不安などに向き合っている。本紙で「坪倉先生の放射線教室」を連載中。

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