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Saturday, May 23, 2020

健康はトレンドなんかじゃない! コロナ禍があぶりだしたウェルネスの本質。 - VOGUE JAPAN

Photo: Simon Skafar / Getty Images

新型コロナウイルスが世界のニュースを騒がせはじめてからおよそ5カ月。ソーシャルディスタンスがより強く求められ、誰もが体と心の健康に不安を感じている今、ウェルネスという概念にさらに注目が集まっている。グローバル・ウェルネス・インスティテュートのベス・マクグロアティは、ウェルネスの重要な考え方のひとつとして、自らの健康を保つだけでなく病気を予防するために率先して行動することが挙げられると語る。

「新型コロナウイルス(COVID-19)によって私たちは、慢性的で基礎的な疾患の管理をしないことが多大な人的損失につながることを痛感しました。基礎疾患や慢性疾患によって、症状がより重篤になったり命を落とす危険性がより高くなることを知ったからです。こうした体験によって、従来の対処療法以上に、予防的なウェルネスがいかに重要かが裏付けられたのです」

ウェルネス産業の欺瞞。

Photo: Felicity Ingram / Trunk Archive

ウェルネスの台頭は、取り立てて新しい現象ではない。世界的なウェルネス市場の価値は、現在4兆ドル(約440兆円)以上と見積もられており、2015年から12.8%もの成長を遂げている。しかし、サウンドバスからブティックジム、Vスチームなど、次々と生まれるトレンドに対して批判の声も高まっている。

LAを拠点に活動する美容ブロガーのジャスティナ・シャープは、ウェルネス業界は特権に深く根ざしてると語る。

「現在、徹底的にウェルネスを実践しようと思うと、一般人には手の届かないような社会経済的地位が必要になります。それはウェルネスの本質である、自分の心身を健康にするというアイデアと矛盾します。ソーシャルメディアで人々の注目を集めやすい怪しげな製品や、何千ドルもかかるような治療を、果たして『ウェルネス』と呼べるでしょうか」

昨年末、キム・カーダシアンがCBDをテーマにしたベビーシャワーを紹介すると、人々はそれに飛びついた。あるいは、水晶が埋め込まれた高額な水筒で水を飲むことがあたかも常識のように語られ、もはやウェルネスは行き過ぎた一大トレンドと化してしまった。けれど、新型コロナウイルスとともに不安が世界に広がり始めると、多くの人々は、高額なガジェットやトレンドを追うことよりも、半ば強制的にウェルネスの基本に立ち返らざるを得なくなった。

世界各地でジムが休業し、トレンドに取り残されてはいけないというプレッシャーがなくなったことで、ソーシャルメディアを介して「人に見せる」フィットネスではなく、純粋に自分の健康のための基礎的な運動を楽しむ機会が再び巡ってきたのだ。

フィットネスの本当の目的。

ウォーキングやジョギング、あるいは自宅でのワークアウトなど方法は何であれ、とにかく心拍数を上げることが重要だと語るのは、NYに構えるドッグパウンドジムでカイア・ガーバーカーリー・クロスなどのトレーニングを指導してきたフィットネスの第一人者、カーク・マイヤーズだ。

「心拍数を上げることで気分がよくなり、創造性が高まり、ストレスが和らぎ、睡眠のパターンも改善するのです」

一方、パリ生まれのファッションインフルエンサーであるカミーユ・シャリエールは、日々の健康維持に長時間の散歩が欠かせなくなったと話す。

「込み合う前の早朝にウォーキングに出かけ、誰もいない通りか美しい公園に向かいます。青空と美しい花を眺め、自然への感謝の気持ちとともに家に帰ると、一日を過ごすための脳の準備が整うのです」

もちろん、食品や薬を買う目的以外に外出できない人もいる。そんな人々のために、ルルレモンやバリーズブートキャンプ、イクイノックス、ソウルサイクルといった世界的フィットネスブランドは、さまざまなオンラインのワークアウトクラスを開講しており、人気を集めている。アメリカを拠点とするトレンド予測会社「Spate」の報告によれば、コロナ以降、「自宅ジム」用品を検索したアメリカ人の割合は194.3%も増加したという。

一方で、同じ報告によれば「減量」や「ダイエット」などのキーワードの検索数は59%減少しており、見栄えよりも病気を予防する目的でフィットネスへの関心が高まっているようだ。  

ウェルネスの精神作用。

メンタルヘルスのチャリティ団体「Mind」で情報コンテンツ部長を務めるクレア・コーヘンによれば、厳格な自己隔離措置によって、メンタルヘルスを保つためのウェルネスにも注目が集まっているという。

「メンタルヘルスへの不安の高まりは、Mindが展開するユーザー向けプラットフォーム、『Elefriends』で新規メンバーが大幅に増えていることからも窺い知ることができます。現在のコロナ禍において多くの人々に共通する問題としては、家庭問題、食料確保についての不安、家族を養っている人であれば先行き不透明な経済状況や、出勤時の健康不安などが見て取れます」

自宅隔離の中、とても前向きで本質的なウェルネスを日々の生活に取り入れようとしている人が急増している傾向は、マクグロアティも実感中だと語る。

「このウイルスによって、人々が互いの健康に本当の意味で気を配るという、有意義な動きが草の根的に広がりました。ポストコロナの世界では、超エリート主義的で異常に高価なウェルネス体験や製品に“NO”を突きつける人も増えると思われます。ウェルネス業界は、真の正当性と真の専門知識が求められるようになるでしょう」

ケルシー・パテルもまた、他人の健康を第一に考えるウェルネス実践者のひとりだ。新型コロナウイルスの感染拡大以降、彼女のInstagramのエンゲージメントは2倍以上になった。LAを代表するレイキの達人でもある彼女は、このエンゲージの高まりを受けてオンラインのヒーリングセッションを開講したという。

「危機のさなかにヒーリングを実践することで、安らぎと心の平穏を得る一助になります。今起きている出来事、そして将来起こりうる出来事に対して人々が無力であるからこそ、ウェルネスがより重要になっているのです」

セレブたちも、それぞれの方法でウェルネスの原点回帰に貢献しようとしている。アジョワ・アボアーは自身のポッドキャスト「Gurls Talk」でメンタルヘルスに関する質問に回答し、リゾはInstagram上で多くの人と瞑想を行った。カーラ・デルヴィーニュプーマ(PUMA)のInstagramをジャックしてヨガのライブストリームセッションを開き、オーディエンスにこう打ち明けた。

「体を柔らかくしようとヨガを始めましたが、さらに多くのものが見えてきました。ヨガとは生き方。気分を変え、不安を和らげるほどのパワーを持っているのです」

COVID-19の前では誰もが平等。

Photo:  Vision / Krasnig / Getty Images

新型コロナウイルスの感染歴を調べる抗体検査で陽性だったことを明かしたマドンナは、哲学的にこうコメントしている。

「COVID-19の前では、誰もが平等です。どれほど裕福か、どれほど有名か、どこに住んでいるか、年齢はいくつか、あるいはどんな素晴らしい人生を歩んできたか、などということは一切関係がないのです」

言うまでもなく、彼女は私たちよりも遥かに豪華な環境で自宅隔離ができているにも関わらず、こうした発言に行き着いたことを考えると、ウェルネスの本質を突いた言葉だと言えるだろう。マドンナが言うように、今、誰もが同じ状況の中にいる。この状況は決して歓迎できるものではないにしても、少なくともウェルネスが排他的な「贅沢品」から、本来の心と体の健康を保つ方法へと回帰しようとしていることは、喜ばしい事実だ。

Text: Tish Weinstock

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May 23, 2020 at 05:00PM
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