Twitterに代わる分散型SNSとして近ごろ注目を集めているのが、『Bluesky』だ。米Twitter社の共同創業者で元CEOのジャック・ドーシー氏がBluesky社の役員を務めており、急速に変貌するTwitterの"後釜"として期待されている。
巨大テック企業へのアンチテーゼとして大きくなる“脱中央集権”の声
WEBの世界のトレンドは“脱中央集権”だ。ドーシー氏は過去、「Twitterの最大の課題と後悔は、それが企業になってしまったことだ」と語っており、Blueskyの基幹技術が持つ“分散型”という特性、つまり特定の管理者が中央サーバを管理・運営するような仕組みではなく、サーバも分散化し拡散していくような仕組みに期待を寄せていることがわかる。
ビットコインやNFTなどを支えるテクノロジーであるブロックチェーン技術も、こうしたトレンドを牽引する。これは複数のコンピュータネットワークで取引の履歴を管理する相互管理のシステムであり、データの改ざんを困難にする。
“脱中央集権”的な技術トレンドは“Web3”などとも呼ばれる。こうしたトレンドに期待されているのは、「一部のテック企業があまりに巨大になってしまったことで生じている問題の解決」である。大企業がさまざまなユーザーデータを保持し、ネットワークを保持している現状を脱却し、ユーザーが自身の手でデータを保持しその正確性を相互に検証するというのが“Web3”の基本的な考え方であり、支持を集め始めているのだ。
たとえばWebサイトに広告を掲示する広告主がアクセスしたユーザーの「Webサイト閲覧履歴」を取得してターゲッティング広告を展開するいわゆる「サイト超えトラッキング」や、これを実現していた「サードパーティCookie(Webブラウザに保存されるユーザーの閲覧履歴)」の活用などは大きく問題視されており、EUでは2018年からCookieを「保護すべき個人情報」としてその活用を厳しく制限している。日本でも昨年4月に個人情報保護法が改正され、Cookieが「個人関連情報」と定義された。
ユーザーには「求める情報にアクセスする自由」があり、また「コントロールされない自由」がある。WEBサイトの横断履歴から購買欲求を推察され、広告をターゲッティングされることの気持ち悪さが、この2つの自由を「知らないうちに侵されている」ことから生まれるものだとしたら、現状へのカウンターとして「Web3」が支持されることも理解しやすい。
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