カプコンより、PlayStation VR2版が開発中の「バイオハザード ヴィレッジ」。東京ゲームショウ2022の開催時期に合わせてそのデモ版が披露されており、GAME Watchではその体験の模様をお伝えしている。本稿では、体験会と合わせて開催された開発者によるインタビューをお届けしたい。
インタビューに応えてくれたのは、「バイオハザード ヴィレッジ」プロデューサーの神田剛氏とPSVR2版「バイオハザード ヴィレッジ」ディレクターの高原和啓氏。両氏はPS5/PSVR2とハードが進化したことでできた新しい体験が鍵と語っており、通常のPS5版からグラフィックスなどのクオリティを落とさずに、VRで「バイオハザード ヴィレッジ」の世界を体験させたいと話す。そのために、あらゆる工夫を行なったというのが印象的なインタビューだ。
両手が分かれているコントローラーだからこそ体験できる両手で銃やナイフを扱う感覚、そしてヘッドマウントディスプレイをかぶったことでゲーム内の主人公とプレーヤーが一体化しているからこそ体験できるキャラクターのおどろおどろしさや、恐怖感、その巨大さなどが魅力と語ってくれた。
【『バイオハザード ヴィレッジ』 PlayStation VR2版 発表映像】
PS5/PSVR2に進化することで体験も新世代に
――前作「バイオハザード7」と比較すると、今作はハードウェアも新しい新世代だと思います。比較すると、どのくらいVRの体験が変わりましたか。
高原氏:PS4からPS5になったこともそうでし、アプリケーションのパフォーマンスも上がっていますね。総合すると、感情的な言い方になってしまうのですが、「おお、やったな」って感じです(笑)。
神田氏:新世代って言う言葉にふさわしい体験かなと思います。次世代というか、新しい世代の体験に値すると自信を持って言えます。
――本作で「バイオハザード」シリーズのVR化の経験が生かされている点を教えてください。
高原氏:これまで「バイオ7」のVR版などを作ってきましたが、今作はホラー体験をVRでどう表現するかの集大成的な部分がありますね。経験を積んだことで、現実に近いゲームプレイ体験が提供できているなというのが1つあります。
たとえば、銃火器の描かれ方や扱い方が、ゲームの中でどれだけリアルに表現できているかなどですね。今作ではそういった体験を無理のない操作で実現できている感触があります。
全体の世界観や、グラフィックス、3Dオーディオを通じて、よりリアルな空間で、実際に体を動かして、「バイオハザード」を体験する。その意味では、クオリティの高い体験を提供できていると思います。
神田氏:強調したいのはホラーの部分ですね。「バイオハザード」自体がサバイバルであり、ホラーというジャンルです。たとえば普通のお化け屋敷などでもそうなんですが、目の前に幽霊やモンスターが出る前に、何も出てないけど、なにか出そうだという感じの恐怖のほうが高いと思います。遠くの方で鳴っているギシギシ音とか、ガタッという音とか。
その怖さは通常のTVモードだと「何か鳴っているな」と気付きはするのですが、直感的にパッと振り向けるのはVRならではの体験です。
これまでのシリーズの開発を通じて、直接的な恐怖を演出しなくても、ホラーの演出がよりVRと融合することによって、いいバランスで調和できるなという実感がありました。より意図的に恐怖を演出できるよう今後も改善していきたいですし、PSVR2であれば可能だと思います。
――前作を発売して様々なフィードバックがあったと思います。そのフィードバックを活かした本作ならではの違いはありますか?
高原氏:プレーヤーとキャラクターの動きをあわせて、もっとリアルな体験をしたいという意見が多かったと我々としては捉えています。
神田氏:前作は操作する際に「DUALSHOCK4」を使っていたので、VRモードと通常のモードで遊び方に違いはなかったんですね。もちろんVRのディスプレイだったり、音響だったり、VRらしい経験を作っていたのは間違いありません。今回は最初からPSVR2用のコントローラーである「PlayStation VR2 Senseコントローラー」を使う前提で設計していたので、両手でそのまま銃とナイフを使ってプレイできるようにしたのが一番大きかったポイントです。
――開発側から見て、PSVR2版となって本作が最も変わったところを教えてください。
高原氏:体験の際、ドミトレスク夫人を見た時に「でけぇ」って思ったと思うんです(笑)。今までの「バイオハザード ヴィレッジ」だと画面の物理的な大きさだったりとか、画面との距離によって体験が変わってしまいました。ですがVRの中で見ると、ゲームの主人公と同じ場所に頭があって、目があって、身長の高いドミトレスク夫人を下から見上げるという体験になる。3姉妹もグロテスクなんだけど、もう少し近くで見たい感覚など、自分自身でコントロールできるのがVRならではの楽しみができると思います。
神田氏:元々のグラフィックスのクオリティが高いので、PSVR2でさらに間近で見ると、血管が切れているようなディテールまでわかると思います。彼女は吸血鬼という設定なので、体から醸し出される雰囲気、さらに没入感に加えて迫力のある臨場感を体験できると思います。
――PSVR2の進化した機能を使ってゲーマーに届けたい体験について教えてください。
神田氏:銃の扱いにこだわって作っています。今回のコントローラーを通して、実際に撃つ動作だけでなくマガジンをリロードする部分など、現実に近い体験を用意しました。ただ、こだわりすぎると、ゲームプレイの妨げになってしまうので、そうならないようにバランスをとっています。我々としては技術を通して最高の体験を届けたいのですが、それよりもユーザーの意思をゲームプレイに反映できることを大事にしています。
高原氏:元々「バイオハザード ヴィレッジ」がPS5対応タイトルなので、PS5のハードウェアに向けた映像や背景、アセットをテクスチャのクオリティなども高精細にしていました。それをPSVR2の映像越しに見たときに「クオリティを落としているな」と思われたくなかったので、PSVR2の機能を使ってクオリティを落とさずに再現できるようにこだわりました。
PS5/PSVR2の新機能「視線トラッキング」を使って、自分の目が見ている部分の解像度を上げてよりクッキリ見えるようにしています(編集部注:フォビエートレンダリング。関連記事参照)。また自分の見ているところにアイテムがあると、アイテムの名前が見えるのですが、視線がアイテムにあってるときと、視線の外にあるときでUIの表示の優先度を変えているんです。今後も様々な機能を使ってゲームを楽しめるようにする研究に取り組んでいる最中です。
――本作はキャラクター人気が高い作品でもあると思います。製品版ではほかのキャラクターもインパクトのある描かれ方をすると思うのですが、より魅力的に見せるためにこういう機能を使った、工夫した点などがあればお伺いしたいです。
神田氏:通常のモードではこういう部分を見て欲しいとか、カット割りやカメラの動きが固定化されていて、ここでこのキャラクターがいい感じに映るというように、印象的なカットシーンを作っていました。ただPSVR2版では体験してわかったと思うのですが、他の部分を見ることもできるんですね。その上で、いかにキャラクターを見てもらえるか工夫しています。
――VR対応版を開発することが決まったのはいつのタイミングですか?
神田氏:前作の「バイオハザード 7」がVRに対応していましたので、本作も技術的な部分や、ハードウェアの部分は見越して開発していました。いつ確実に固まったのかというのは具体的には言えないのですが、我々としても形にしていこうという取り組みがあったのは背景にあります。
――アダプディブトリガーの使い方はPS5版と変わりませんか?
高原氏:基本的にPS5を踏襲する形を想定して作っています。今回体験できたデモの内容はシーンも限定的だったので、体験できる部分は少なかったかもしれないのですが、アダプディブトリガーを使って、左右のコントローラーをバラバラに使えるようなところを前提にしたデザインを組み上げていこうと考えています。
――VR酔いへの対策はありますか?
高原氏:具体的にこのアイデアを使って対策しているとは言えないのですが、「バイオハザード7」のときからVR酔いに関する研究は進めていますし、「こういう時はこうすればVR酔いが軽減できるだろう」というアイデアは踏襲して折り込んでいます。
またPSVR2の対応にあたって、頭の振動を効果的に使って、フレーム単位で、どのくらいの強さでどのタイミングで振動させるかなどこだわって作っていて、その振動があるバージョンとないバージョンで酔いの感覚は違います。ほかにも酔い対策については色々研究していますね。
――ありがとうございました。
からの記事と詳細 ( 「バイオ」的ホラーVR体験の集大成! PSVR2版「バイオハザード ヴィレッジ」開発者インタビュー - GAME Watch )
https://ift.tt/EKHuM3o
科学&テクノロジー
No comments:
Post a Comment