杉田征彦 医生物学研究所特定助教、辻本浩一 医学研究科研究員、野村紀通 同准教授、岩田想 同教授らの研究チームは、寿野良二 関西医科大学医化学講座講師、清水(小林)拓也 同教授、森本和志 九州大学助教、加藤貴之 大阪大学教授、髙﨑寛子 同助教、廣瀬未果 同特任研究員らと共同で、クライオ電子顕微鏡単粒子解析によってGタンパク質(Gi)結合状態の活性型プロスタグランジン受容体EP3の立体構造を決定しました。構造情報をもとにして、Gタンパク質と受容体が相互作用するアミノ酸について変異体を作製し、薬理学的解析によってシグナル伝達に重要なアミノ酸残基を明らかにしました。さらに、これまで決定されている他のプロスタグランジン受容体サブタイプ(EP2、EP4)とGタンパク質(Gs)の複合体構造と比較し、Gタンパク質と相互作用するがアミノ酸の種類が異なる部位に着目し、同様に変異体実験を行いました。その結果、Gタンパク質の種類によってシグナル伝達活性には特定のアミノ酸が必須であることを明らかにしました。
薬剤ターゲットとして知られているGタンパク質共役受容体(以下「GPCR」)は様々なGタンパク質を活性化させてシグナルを伝達しますが、その選択性の詳細が近年のクライオ電子顕微鏡単粒子解析によるシグナル伝達複合体の解明によって少しずつ報告されるようになってきました。しかし、様々なGPCRのGタンパク質選択性の共通原理や全貌は明らかになっていませんでした。GPCRのGタンパク質の選択性の分子機構が明らかになれば、薬剤開発に有力な情報となります。
本研究成果は、2022年9月13日に、科学誌「Cell Reports」に掲載されました。
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