「イヤープラグ」と聞くと、音を遮断する「耳栓」のように感じられるかもしれないが、その実態は「イヤーフィルター」「イヤープロテクター」に近い。大きな音を音響フィルターを通してから鼓膜に届ける仕組みで、それによって過度な音圧や耳の負担になりやすい音域を適度に減衰させて、聴覚を保護してくれる。
視覚にたとえるなら、視界を完全に遮断する “目隠し” ではなく、目障りな眩しさのみをフィルタリングする “サングラス” のようなイメージ。実際、製品名にイヤーフィルターまたはプロテクターという名称を用いているブランドもある。
……さて、そんな名称うんちくより大切なのは、「優れた製品が登場してヒットしてライブ用イヤープラグの認知度がさらに高まって音楽ファンの耳が守られる」こと。そして、その役割を担ってくれるかもしれないアイテムが、AZLAから登場した「POM1000」だ。
定番のイヤーピース「SednaEarfit」シリーズで知られるAZLAからのリリースということもあって、まず信頼性は抜群といえるだろう。加えて「クローズド/オープンモード切替機構」という話題性まで備えている。
実際、音楽イベントの多い夏休み中に発売開始されたこともあって、すぐさま購入してライブや夏フェスで実戦投入した方も多く、その印象をTwitterなどSNSで共有する人も多数いた。そんな多くのユーザー発信から、愛称「ポム栓」として定着しはじめている。
そうした市場での好評価を見て、気になってきた方も多いのではないだろうか?そこで今回は、POM1000=ポム栓の実力を徹底チェック!単純な音量減衰効果の大小だけではなく、音楽の聴こえ方がどう変わるのかを、以下の流れで検証する。
【POM1000 秋の実力テスト】
0:POM1000の特長を確認
1:大型スピーカーでの大音量ライブ再現テスト
2:ヘッドホン on ポム栓で各モードの違いを詳細追試
3:テスト結果やいかに?!POM1000の実力まとめ
なお、「ヘッドホンを用いての追試」では、ヘッドホンならではの方法でクローズドモードとオープンモードの周波数特性の違いを探っている。
音楽用イヤープラグ「POM1000」の特長
POM1000、最大の特長は、筐体を密閉状態にして遮音性を高める「クローズドモード」と、筐体の一部を開放し、エアホール設計による空気循環でより自然な遮音を行う「オープンモード」を切り替えて使用できることにある。
その機構と使い勝手は超シンプルだ。筐体をつまんで回すと、蓋のような部分がスライドして回転。それが開放部を塞ぐ、または開くシャッターとして働くことで、密閉/開放を切り替える仕組みだ。ちなみに回転を途中で止めて「ハーフオープン」みたいな状態にもできるのだが、今回はわかりやすさ重視で「クローズドかオープンか」の二択でチェックしている。
両モードの特徴もまた、機構と同じくシンプル。ここで実は冒頭の「イヤープラグというよりも、イヤーフィルターまたはイヤープロテクター」という話題にもつなる。
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