オーストラリアのグリフィス大学(Griffith University)は5月10日、ウマや人へと感染する可能性のあるヘンドラウイルスの新たな変異株が、以前に知られていたよりも国内のより広い範囲で見つかったと発表した。この発見についてまとめた論文は、米疾病予防管理センター(CDC)が発行する学術誌 Emerging Infectious Diseases に掲載された。
この変異株(HeV-g2)は以前にオオコウモリ(flying fox)の臓器で検出され、最近、2015年に死亡したウマの検体から見つかっていた。
同大学の研究者アリソン・ピール(Alison Peel)博士は、「感染したオオコウモリの尿との接触はウマの感染経路となる可能性があるため、尿中から新たなヘンドラウイルス変異株が検出されたことは重要」と語る。また、「私たちの今回の研究は、動物におけるこの変異株の分布と、ウマまたはウマを介したヒトへのスピルオーバー(異種間伝播)のリスクを特定することに役立つ」と説明した。
ピール博士らは、シドニー大学(University of Sydney)、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)と共同開発した新しいタイプの遺伝子検査を使用して広範な地域で収集したオオコウモリの尿のサンプルを検査し、これまで報告されていなかったニューサウスウェールズ州北中海岸からクイーンズランド州南東部の範囲で新たな変異株を検出した。
ピール博士は、スピルオーバーを検出するためのより包括的な診断手法の開発を提案している。一方で、「オオコウモリの自然の生息地を保護することもスピルオーバーの抑制につながる」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
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