東芝は全事業を3社に分割し、総合電機メーカーの形態に幕を下ろして事業ごとの成長を目指す。国内の大手企業としては前例のない挑戦となる。2015年の不正会計発覚以降、迷走を続けてきた名門企業が生まれ変われるのか、重大な岐路を迎える。
好機
「極めて大きな変化だが、新しい企業風土の下で成長していくチャンスだ」
12日、記者会見を開いた綱川智社長は力を込めた。
東芝が狙うのが、成長産業への経営資源の集中だ。風力発電や鉄道、電池などの事業でつくる「インフラサービス」社は、世界的に進む「脱炭素」につながる事業を多く抱え、成長の好機を迎える。人工知能(AI)を使ったITサービスも提供する。
「デバイス」社は、電機製品の省エネ性能を左右するパワー半導体や、データセンターなどで使われる記憶装置のハードディスクドライブ(HDD)などを生産する。社会のデジタル化を追い風に事業拡大を目指す。会社分割にかかる費用は約100億円を見込む。
現在の東芝は、半導体メモリーを生産するキオクシアホールディングスや、オフィス機器を手がける上場子会社の東芝テック社の株式を保有し存続する。キオクシア株は上場後に売却する方針だ。
各事業の特徴は大きく異なる。インフラサービスは、電力会社や自治体など、特定の客向けに長期の事業を行う。一方、デバイスは短期的な市況に左右される。多額の設備投資も必要だ。
こうした異業種の事業を一手にかじ取りするのは難しく、経営判断は遅れがちだ。綱川氏は、世界的に半導体が不足する中、設備投資を半年早く決断するべきだったとの反省を述べた。
事業間の相乗効果も見込みにくい。複合企業の価値が事業ごとの価値の合計を下回る「コングロマリット・ディスカウント」につながり、東芝の株価が伸び悩む要因になっているとの指摘もあった。
米国の複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)も9日、会社を3分割する計画を発表するなど、分割で経営の機動性を高めるのは世界的な流れでもある。
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