大手電機メーカーが自社の拠点網を活用しサテライトオフィスを整備する動きが活発だ。三菱電機は2021年度までをめどに首都圏の寮施設や関係会社の拠点を近隣の従業員に開放する。日立製作所も昇降機事業でサービス拠点の活用を始めた。政府がコロナ禍でテレワーク推進を求めるが、家庭環境によって在宅勤務が難しい問題が背景にある。サテライトオフィス化は遊休スペースの有効活用にもつながり、今後同様の動きが業種を問わず広がりそうだ。
三菱電機は先行的に12日から東京・丸の内の本社と神奈川支社(横浜市西区)、情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)の一部をサテライトオフィスとして活用し始めた。従業員の居住地分布を基にニーズが多いとみられるエリアから整備に着手した。
今後は20年度内に寮施設などを、21年度に関係会社の拠点をサテライトオフィス化する計画。首都圏だけでなく、同社の拠点が集中する関西圏にも同じ仕組みを横展開する方向で検討する。
日立製作所子会社の日立ビルシステム(東京都千代田区)は20年12月から関東地区でエレベーターなどの保守サービス拠点約40カ所をサテライトオフィスとして利用可能にした。現在は試験的な取り組みと位置付け、全国展開はその結果を踏まえて検討するという。
顧客と保守契約を結ぶことの多い昇降機事業のサービス拠点は技術者が昼間出払っており、オフィスは空席になりがちだ。この勤務特性を生かし、社内の別拠点・部署に所属する従業員でも利用できるように既存拠点のサテライトオフィス化を進める。
同様に事務機器業界も保守サービス網が発達している。富士ゼロックスは20年7月に、研究開発や営業の拠点である「横浜みなとみらい事業所」(横浜市西区)に、100席以上そろえたサテライトスペースを開設した。全社員が事前の入館登録不要で利用できる。
リコーは新型コロナウイルス感染拡大以前から、販売子会社の東京本社と千葉県、神奈川県の計4拠点をグループ社員向けのサテライトオフィスとして活用していた。
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日刊工業新聞2021年1月25日
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