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Sunday, January 28, 2024

【特集】 最新CPUは50年前の__万倍速い!進化の歴史を辿ってみた - PC Watch

tosokpopo.blogspot.com

 依頼はいつも突然である。

 「『ゲーム機プロセッサの進化』をお願いできませんか?」

 「俺ゲーム機全然知らないんだけど」

 実は何を隠そう、家庭用ゲーム機は何1つ遊んだことがないのである。そもそも中3の時からTVを見なくなったので、TVを使う家庭用ゲーム機はそもそも無縁なのである。んじゃゲームで遊んだ記憶はないのか? というとそうでもなく、大学の時にPC-9801を買って、そっちで遊んでいたのだが。

 まぁそれはともかく、そんなわけでゲーム機には超絶疎いので、自分でリストアップすると絶対漏れがあるから怖いとお答えしたところ、「では普通のPC用CPUの進化の歴史で」、「IMSAIからGH200あたりまで? 」、「GH200は普通のPC用ですか? 」……石油王なら普通のPC用として買うかもしれんぞ。

PC創成期(リスト1)

 時期的に言えば1970年台前半というか、1977年あたりまでがこれに該当する。ワンボードコンピュータ、もしくはその延長にある機種が出ていたころだ。

 具体的に言えば海外だと「Altair 8800」とか「IMSAI 8080」なんかは、バカでかい筐体に収められていたが、「TK-80」とか「LKIT-16」みたいにボード1枚というケースも珍しくなかった。

Intel 8080
Altair 8800
Apple I
TK-80

 ちなみに一覧には載せていないが、Mos Technologyの「KIM-1」とかFairchild Semiconductorの「F-8 Kit 1A/Mostek」の「F-8 Survival Kit」、Intelの「SDK-80」とか、要するにCPUベンダーが自社製品の拡販のための評価用ボードという形でリリースされたものも多い(富士通の「LKIT-16」とか、東芝の「TLSC-12A EX-0」などもこの類だ)。

 まだこの時期、メーカーは家庭用のコンピュータというものが成立するかどうか、自信が持てなかった時期である。なので評価用ボードをそのまま民生マーケットに流して、その反応を見ていたという感じだ。

 そんなわけなので、構成もまちまちだし、いろいろ家庭で利用するには難しいというか、本当に「使える人」向けの構成のことがほとんどだった(まぁそれでもこの時期にコンピュータに目覚めた人は多いのだが:筆者もその1人ではある)。

機種 メーカー 発売日 プロセッサ 周波数(MHz) コア数 MIPS DMIPS v1.1
Mark-8 Radio Electronics 1974年7月 i8008 0.5 1 0.03
Altrai 8800 MITS 1974年12月 i8080 2 1 1.28
IMSAI 8080 IMSAI 1975年12月 i8080 2 1 1.28
KIM-1 MOS Technology 1976年4月 MOS 6502 1 1 0.5 0.021
Apple-I Apple Computer 1976年8月 MOS 6502 1 1 0.5 0.021
Z-1 Cromemco 1976年8月 Z80 2 1 0.026
TK-80 NEC 1976年8月 μPD8080A 2 1 1.28
LKIT-16 Panafacom 1977年3月 MN1610 2 1

ホームコンピュータ(リスト2)

 1977年あたりから、「ホームコンピュータ(Home Computer)」というマーケットが明確に立ち上がってきた。海外なら「Apple II」とか「PET 2001」、「TRS-80」、更に「VIC-20」など。日本なら「PC-8001」や「MZ-80C」、日立の「MB-6880(Basic Master)」などがこれに該当する。創成期との決定的な違いは

・BASICのインタプリタが標準搭載される

あたりかと思う。ホームコンピュータと言うように、家庭向けを志向しているが、当時そうした家庭向けのソフトウェアのマーケットはまだ立ち上がっていない。なので、利用者が自身でプログラミングする必要があり、そしてこの用途としてBASICが広く使われていたから、BASICインタプリタが動くのは必須だった。

Apple II
NEC PC-8001
シャープMZ-80C
ガラス基板に実装されたZ80

 加えればBASICのプログラムを動かすためにRAMの容量もちょっと増え、またカセットテープあたりを使う外部入出力インターフェイスが標準ないしオプションで必ず用意されるようになったのも違いではある。

 またTVへの画面出力もほぼ標準装備であった。IBM-PCが登場するまでは、さまざまなメーカーから、さまざまなアーキテクチャの製品が投入された。

機種 メーカー 発売日 プロセッサ 周波数(MHz) コア数 MIPS DMIPS v1.1
Apple II Apple Computer 1977年6月 MOS 6502 1 1 0.5 0.021
TRS-80 Tandy Radio Shack 1977年8月 Z80 1.7 1 0.022
PET 2001 Commodore Computer 1977年10月 MOS 6502 1 1 0.5 0.021
MB-6880 日立 1978年9月 HD46800 0.75 1
PC-8001 NEC 1979年9月 μPD780C-1 4 1 0.052
MZ-80C シャープ 1979年10月 Z80 2 1 0.026
Atari 800 Atari Inc. 1979年11月 MOS 6502 1.8 1 0.9 0.037
VIC-20 Commodore 1981年1月 MOS 6502 1 1 0.5 0.021
PC-6001 NEC 1981年11月 μPD780C-1 4 1 0.052
Commodore 64 Commodore Business Machines 1982年8月 MOS 6510 1 1 0.5 0.021

MS-DOSとClassic Mac OSの出現(リスト3)

 1981年にIBM-PCが登場し、瞬く間にホームコンピュータのマーケットを駆逐してゆく。特に大きかったのはMS-DOSの発表であり、多くのアプリケーションがこのMS-DOS上で動作する形で出荷されるようになった。

 この中には、CP/M-80で大ヒットしていた「WordStar」/「WordMaster」とか「VisiCalc」といったアプリケーションも移植されるようになり、まずビジネス向けにマーケットが成立。これを受けて、さらに多くのアプリケーションがMS-DOS向けに移行し、さらにユーザーが増えるというポジティブフィードバック(好循環)がかかるようになった。

 この構図はApple IIの時にも存在した(VisiCalcが動作したことで、Apple IIにメモリを最大限増設、FDDも搭載した数千ドルコースのシステムが、ビジネス向けに飛ぶように売れた)が、IBM-PCはこれをもっと拡大した形で再現している。

80286
IBM-PC
Macintosh 128K
PC-9801

 そして出荷台数が増えるとビジネスだけでなく、コンシューマ向けにも販路が広がる。かくしてホームコンピュータのマーケットにIBM-PCが普及し始めた。面白いのは、ホームコンピュータ向けに性能や拡張性を落とした製品(たとえばIBM PC Jr.:日本だとIBM JX)は受け入れられなかったことで、結局フルスペックのマシンがホームコンピュータのマーケットに進出することになる。

 ここに殴り込みをかけたのがApple Computerの「Macintosh」で、価格的にはごく一部のエンスージャスト向けではあったものの、ビットマップスクリーンをフルに利用したGUIは革新的であり、しっかりと地歩を固めることになる。

機種 メーカー 発売日 プロセッサ 周波数(MHz) コア数 MIPS DMIPS v1.1
IBM-PC IBM 1981年8月 Intel 8088 4.77 1 0.31 0.3
PC-9801 NEC 1982年10月 μPD8086 5 1 0.32 0.3
FM-11 富士通 1982年11月 MB68B09E+Intel 8088 2/8 1 0.52 0.46
IBM-PC/XT IBM 1983年3月 Intel 8088 4.77 1 0.31 0.28
Macintosh 128K Apple Computer 1984年1月 MC68000 7.8 1 0.68 0.6
IBM PCjr IBM 1984年3月 Intel 8088 4.77 1 0.31 0.2
IBM-PC/AT IBM 1984年8月 Intel 80286 6 1 0.9 0.6
FM-16β 富士通 1984年12月 i80186 8 1 0.4
PC-9801VM NEC 1985年7月 V30 10 1 0.6

PC Compatibleと32bit Era(リスト4)

 1986年のCOMPAQ「Deskpro 386」はいろいろな意味で衝撃的な製品だった。もともとCOMPAQは1983年1月に「Compaq Portable」を発表している。これはIBM-PC互換、つまりPC-DOS(IBM-PC向けMS-DOS)がそのまま動作するMS-DOSマシンだった。

Compaq Portable
Intel 486

 この当時IBM-PCや後継のPC/XTやPC/ATは、BIOSのコードも回路図もすべて公開されていたものの、著作権で保護されており、これをそのままコピーすることは不可能だった。もちろんIBMにライセンス料を払って取得した例(松下電器)もあるのだが。そのため、この当時、多くのメーカーは独自のBIOSを利用したMS-DOSマシンを開発するが、そのままではMS-DOSもアプリケーションも動かない。なので、Microsoftやメジャーなアプリケーションベンダーに移植費用を支払って、自社向けのポーティングを依頼していた(これが理由でこの時期Microsoftは急速に売り上げを拡大している)。

 ところがCOMPAQはクリーンルーム設計で独自にIBM-PCやIBM-PC/ATと互換のBIOSを開発。このため、IBMにライセンス料を支払う必要がなく、IBM-PC用のMS-DOSアプリケーション(や、何ならPC-DOS自体)がそのまま動作するようになった。

 当初はCOMPAQだけがこれに成功していたが、1984年5月にPhoenix Technologiesがやはり同じようにクリーンルーム設計で独自の互換BIOS(完全互換のCBIOSと、これに改良を加えたABIOS)を発売したことで、COMPAQ以外のメーカーもIBM-PC互換機を自由に作ることが可能になった。

 加えてC&T(Chips and Technologies)やOPTi、AMI(American Megatrend Inc.)など複数のメーカーが、IBM-PCと同等の回路を数チップのLSIにまとめた、いわゆるチップセットを発売するようになったことで、IBM-PCやPC/ATなどより安価に、同等以上の性能を持つ互換機を発売できるようになった。

Phoenix Technologies
OPTi製のチップセット

 これにちょっと遅れて登場したのがCPUの32bitへの移行である。1979年9月にMotorolaは「MC68000」を発表し、1980年2月からサンプル出荷を開始。外部バスこそ16bitながら、内部は32bit設計だった。これに遅れること5年あまりの1985年10月に、Intelはi80386を発表する。このi80386をいち早く、というかIBMより先に採用したのがCOMPAQのDeskPro 386で、圧倒的な性能を発揮した。ほかの互換機メーカーもこれに追従、より高速なi80486や、さらにはi486 DX2/DX4などを採用する事例も出てきており、最後にはIBMまでこの流れに追従することになった。

 一方Apple Computerは1987年3月に「MC68020」を搭載した「Macintosh II」をまず投入。ついで「Macintosh IIx/IIcx/IIci/」……とさまざまな製品を「MC68030」をベースに投入し、さらに「MC68040」ベースのCPU搭載製品も追従させ、あたかもIntelとMotorolaのCPUの代理戦争の様相を呈した。

機種 メーカー 発売日 プロセッサ 周波数(MHz) コア数 DMIPS v1.1 DMIPS v2.1
Deskpro 386 COMPAQ 1986年9月 i80386DX 20 1 5.4 5.8
PC-9801VX NEC 1986年10月 Intel 80286 8 1 0.8
Macintosh SE Apple Computer 1987年3月 MC68000 7.8 1 0.6
X68000 シャープ 1987年3月 MC68000 10 1 0.8
Macintosh II Apple Computer 1987年3月 MC68020 16 1 3.2 2.8
PS/2 Model 80 IBM 1987年4月 i80386DX 25 1 6.7 7.2
PC-9801RA NEC 1988年7月 i80386DX 16 1 4.3 4.6
Macintosh IIfx Apple Computer 1988年9月 MC68030 16 1 3.2 2.8
PS/2 Model 95 XP 486 IBM 1990年10月 i486DX 33 1 14 11.8
Macintosh Quadra 700 Apple Computer 1991年10月 MC68040 25 1 20.8 19.3
PS/2 Model 95 XP 486 IBM 1992年10月 i486DX2 66 1 28 23.6
X68030 シャープ 1993年3月 MC68030 25 1 5 4.4
PC-9801BA NEC 1993年11月 i486DX2 40 1 17 14.3
Performa LC575 Apple Computer 1994年5月 MC68040 33 1 27.5 25.5

Windows 95とPowerPC(リスト5)

 1995年、「Windows 95」が発表。これに合わせて、各社とも高速なグラフィックスアクセラレータモデルを搭載するとともに、i486からPentiumに次第に移行を開始する。

 もっともこのころはさまざまな互換規格が乱立していた時期である。CPUではAMDのほかにCyrixやIDT、(もうちょい後になると)NexGenなどが互換CPUをリリースしたし、ビデオカードはISAとEISA、VL-Busが混在して、そこにPCIが投入されるという混乱期だ。

CyrixのCPU
IDTのCPU

 Windows 95にあわせてサポートされたUSBも当初はまともに動作せず、しかもOHCIとUHCIという2種類のコントローラが混在して、そのOHCIはWindows 95ではまともに動作しなかった。これはその後登場した「Windows 95 OSR2」で少し改善、「Windows 98」でさらに改善し、「Windows 98 Second Edition」あたりでやっと使えるようになったが、まぁそういう混乱期だったわけだ。

 これはMacintoshも同じで、1994年からPowerPCをベースとしたPower Macintoshへの移行がスタートしている。Classic Mac OSの「System 7.1.2」でOSのPowerPC対応と旧来の68KのコードをPowerPCのコードに動的に置き換えるRosettaこと「Dynamic Recompilation Emulator」が搭載。

 その後System 7.5で改良と安定性能向上が図られた(Appleの公式見解:ちなみにこの時期に筆者宅ではMacintoshに見切りをつけた)が、実際にはいろいろ問題が多かった。おまけに後継になるはずだったCopland OSが開発打ち切りとなり、1996年に「Mac OS 8」が登場するまでだいぶ酷いことになっていた。

 また日本ではこの時期、DOS/Vが急速に普及し、(Macintosh以外の)ほかの方式をほぼ駆逐してゆく。DOS/Vそのものは1990年に発表されたが、当初は日本語環境の充実に欠けるとかアプリケーションの対応が遅いなど、いろいろ阻害要因が多かった。

Windows 95でおなじみとなったスタートボタン
Mac OS 8

 ところがWindows 95の発売でアプリケーションがWindows対応にどんどん移行してゆくと、非PC互換機はむしろOSのアップデートが遅いとかドライバ対応が追い付かないなど、むしろネガティブに作用するようになった。結果、2000年頃にはほぼなくなっている(NECにしてからが、AT互換機であるPC98-NXを1997年にリリースしている)。そしてこの頃から、Windowsベースのマシンの性能は、メーカーとか機種とあまり関係なくなり始めた。

機種 メーカー 発売日 プロセッサ 周波数(MHz) コア数 DMIPS v2.1 SPECint 95_base
Power Macintosh 8100 Apple Computer 1994年3月 PowerPC 601 80 1 113.3 2.2
Optiplex Series 1 4100/Le Dell 1905年6月 i486DX4 100 1 68.3
Optiplex Series 1 566/L Dell 1905年6月 Pentium 66 1 111.5
Power Macintosh 9500 Apple Computer 1995年6月 PowerPC 604 150 1 200.9 3.7
Optiplex Series 1 GXL 5xxx Dell 1905年6月 Pentium 200 1 338
Optiplex Series 1 GXpro Dell 1905年6月 Pentium Pro 200 1 373
Power Macintosh 9600 Apple Computer 1997年2月 PowerPC 604e 233 1 312 9.3
Power Macintosh G3 Apple Computer 1997年11月 PowerPC 750 266 1 12.7
Macintosh Server G3 Apple Computer 1998年3月 PowerPC 750 300 1 14.3
Optiplex Series 1 GXa Dell 1999年4月 Pentium II 450 1 816

32bit OSの時代へ(リスト6)

 Macintoshは当初から32bit環境での提供であったが、x86はMS-DOSからスタートということもあり、長らく16bit環境に縛られてきていた。MicrosoftはWindows NTを1993年に投入するものの、GUIそのものの使い勝手の悪さもあって、ビジネス向けは兎も角コンシューマ向けとして普及していたか? というと流石にNoであった。

 ただWindows 95の登場でWin32 APIに対応したアプリケーションがコンシューマ向けにもリリースされ、2000年にWindows 2000が登場したことでコンシューマでも32bit OSへの移行が決定的になった。ここに至り、PC-9800シリーズを始めとする非PC互換のアーキテクチャx86マシンは、OSの移植が遅れるとかドライバの対応が遅いなどの問題により、急速に淘汰されるに至っている。

Windows 2000

 これは別に日本だけの話ではなく、海外の独自MS-DOSマシンはほぼこの時期に消えてしまって、PC互換機路線に鞍替えをしている。MS-DOSではない独自路線のマシン、たとえばCommodoreのAmigaは「Commodore」そのものが1994年に倒産して消えているし、シャープの「X68000」シリーズも1993年の「X68030」が最後の機種になってしまった。

 もう1つこの時期の大きなトピックは、AMDの興隆である。286世代まではIntelのセカンドソースとしてIntelと協業体制を築いてきたAMDは、386世代からIntelと激しく対立。実際「486」とか「Pentium」世代ではIntelの製品に後れを取るが、1995年にNexGenを買収。設計の進んでいたNx686のインターフェイスを変更して「AMD K6」として1997年に投入、やっとIntelにかなり追いつくことに成功する。1999年にはK7こと「Athlon」を投入、ここで完全に「Pentium III」と肩を並べ、ここから激しい争いが繰り広げられることになる。

K6
Pentium II
Athlon
Pentium III

 このIntelとAMDの性能競争は、当時まだ市場にあったRISC CPUを置き去りにする勢いで激化。SPARCやMIPS、Alpha CPUなどを突き放す勢いであり、かろうじてPowerPC陣営ではIBMの「G3」に続きFreescaleが「G4」をリリース、なんとか喰らいつくという状況だった。

 ちなみにIntelはこの当時、「IA-64」として知られる64bitアーキテクチャを並行して開発していたが、1999年にリリース予定だったMercedこと初代「Itanium」は2年遅れの2001年に投入されるが、性能が全然出なかった。2002年に改良型であるMckinleyこと「Itanium 2」が投入されて性能ギャップは多少縮まったが、「縮まった」程度でx86を凌駕するのは夢のまた夢といった状況であり、RISC陣営やIA-64は64bitアドレスのサポート、それとエンタープライズ向けのRAS機能を充実させることで、かろうじてx86との差別化を実現するといった状況だった。

Power Mac G4
Itanium 2
プロセッサシリーズ名 メーカー or 開発コード名 発売日 プロセッサ型番 周波数(MHz) コア数 DMIPS v2.1 SPECint 95_base SPECint 2000 PassMark v9
PowerPC G4 Motorola 1905年6月 MPC7400 400 1 484 18.2
Pentium III Katmai 1999年2月 Pentium III 600MHz 600 1 1128 24.1
Athlon K7 1999年6月 Athlon 600 600 1 27.2
Athlon K75 1999年12月 Athlon 750 1,000 1 32.9
PowerPC G4 IBM 1905年6月 06K5319 500 1 193.6 22.8
Athlon Thunderbird 2000年6月 Athlon 1000B 1,000 1 42.9
Pentium III Coppermine 2000年7月 Pentium III 1000MHz 1,000 1 1880 46.8 408 284
Pentium 4 Willamette 2000年11月 Pentium 4 1.5GHz 1,500 1 2047.1 536 132
PowerPC G4 Motorola/Freescale 1905年6月 MPC7410 550 1 363 25.1
PowerPC G4 Motorola 1905年6月 MPC7450 867 1 2002.8 38
Pentium III Tualatin 2001年6月 Pentium III 1400MHz 1,400 1 2632 297
Pentium 4 Willamette 2001年8月 Pentium 4 2GHz 2,000 1 2729.5 735 205
Athlon XP Palomino 2001年10月 Athlon XP 1800+ 1,533 1 671 300
PowerPC G4 Motorola 1905年6月 MPC7455 1,420 1 3280.2 62.2
Pentium 4 Northwood 2002年1月 Pentium 4 2.2GHz 2,200 1 3002.4 784
Athlon XP Palomino 2002年3月 Athlon XP 2100+ 1,733 1 749 323
Athlon XP Thoroughbred 2002年6月 Athlon XP 2200+ 1,800 1 765 329
Pentium 4 Northwood 2002年8月 Pentium 4 2.8GHz 2,800 1 3821.3 1129
Athlon XP Thoroughbred 2002年10月 Athlon XP 2800+ 2,250 1 933 401
PowerPC G4 Motorola/Freescale 1905年6月 MPC7457 1,267 1 2926.8 55.5
Pentium 4 HT Northwood 2003年6月 Pentium 4 HT 3.2GHz 3,200 1 4367.2 1404 242
PowerPC G4 Freescale 1905年6月 MPC7447/A 1,600 1 3696 70.1
Pentium 4 HT Prescott 2004年11月 Pentium 4 HT 3.8GHz 3,800 1 5186 1863 308
PowerPC G4 Freescale 1905年6月 MPC7448 1,700 1 3927 74.4

64bitへの移行とマルチコア化(リスト7)

 2003年、AMDはまずOpteron、次いでAthlon 64をリリースし、ここでx64への移行を果たす。このx86の64bit拡張はMicrosoftが積極的にサポートしたこともあり、Intelも渋々これを受け入れた。

 次の波はマルチコア化である。それまでCPUのコアはほぼパッケージに1個であり、これを超える構成を出していたのはIBMのPOWERとかZなどのごく一部のハイエンド製品に限られていたが、AMDは「Athlon 64 X2」で2コア製品を投入。同じタイミングでIntelも「Pentium D」を投入し、2コア化がメインストリーム向けの主流となった。

 ちなみにこの時期、IntelはNetBurstアーキテクチャと呼ばれる高動作周波数のアーキテクチャが、プロセス側の問題で挫折。当時イスラエルで開発されていたBaniasと呼ばれる省電力x86のアーキテクチャを搭載したPentium Mをメインに据えることでなんとか立て直すが、この立て直しの間はIntelがAMDの後塵を拝すことになった。

Athlon 64 X2
Core 2 Duo
NetBurstアーキテクチャ採用でデュアルコアのPentium D
BaniasがベースとなったPentium M

 AMDはAthlon X2をさらに拡張した4コア製品を「Phenom」というブランドで2007年に投入。最終的に6コア製品までをラインナップするに至る。ではIntelは? というと、Pentium Mをデュアルコア化したCore DuoやCore 2 Duoを投入。このCore 2 Duo世代でやっとAMDをキャッチアップすることに成功している。

 もう1つのトレンドは、チップセット方式の終焉である。AMDはOpteron/Athlon 64でメモリコントローラをCPU側に統合したが、Intelがこの方式に追従できたのはだいぶ後、2008年に投入したNehalemアーキテクチャを利用したCoreプロセッサの世代からとなる。この方式は、結果から言えば互換チップセットを提供していた台湾の3社(VIA/ULi/SiS)のビジネスを終わらせることにつながっている。

 ちなみにPowerPC陣営は、2002年にIBMが「PowerPC G5」こと「PowerPC 970」をリリース。これを利用したPower Macも投入されるものの、Appleは2005年にIntel CPUを利用したMacを発売することを公表、2006年から実際に製品が投入され、ここでPowerPC陣営も力尽きることになった。

 PowerPCそのものは組み込み向けにターゲットを移してその後も製品展開を行なおうとするが、IBMが先に離脱。Freescaleも組み込み及びネットワーク向けの製品がArmベースの製品に次第に切り替わっていき、最後まで残った自動車向けも2020年台に入るとArmに置き換えられたことで、事実上消滅してしまった。

Power Mac G5

 もうこの時点では、IBMの高信頼性サーバー向けのPOWERとZ、同じく高信頼性サーバー向けのItaniumが残るだけで、高性能プロセッサの座をほぼx86が占めることになり、あとはそのトップの座をAMDとIntelが競うという構図になったわけだ。

プロセッサシリーズ名 メーカー or 開発コード名 発売日 プロセッサ型番 周波数(MHz) コア数 DMIPS v2.1 SPECint 2000 PassMark v9 GeekBench 6
PowerPC G5 IBM 2002年10月 PowerPC 970 2,000 1 5800 898
Pentium M Banias 2003年6月 Pentium M 1.7GHz 1,700 1 368
Athlon 64 SledgeHammer 2003年9月 Athlon 64 FX-51 2,200 1 437
PowerPC G5 IBM 2004年1月 PowerPC 970FX 2,700 1 7830 1169
Pentium M Dothan 2004年5月 Pentium M 755 2,000 1 416
Athlon 64 ClawHammer 2004年10月 Athlon 64 FX-55 2,600 1 622
Athlon 64 X2 Manchester 2005年1月 Athlon 64 X2 4600+ 2,400 2 1214 356
Pentium D Smithfield 2005年4月 Pentium Extreme 840 3,200 2 1484
Pentium M Dothan 2005年6月 Pentium M 780 2,266 1 365
Athlon 64 San Diego 2005年6月 Athlon 64 FX-57 2,800 1 795
PowerPC G5 IBM 2005年7月 PowerPC 970MP 2,500 2 9250 1438
Core Duo Yonah 2006年1月 Core Duo T2600 2,167 2 941
Pentium D Presler 2006年3月 Pentium Extreme 965 3,600 2 912
Athlon 64 X2 Windsor 2006年5月 Athlon 64 X2 5000+ 2,600 2 1306 398
Core 2 Duo Conroe 2006年7月 Core 2 Extreme X6800 2,933 2 3119 1810 564
Athlon 64 Lima 2007年2月 Athlon 64 3800+ 2,400 1 635 212
Core 2 Quad Kentsfield 2007年7月 Core 2 Extreme QX6850 3,000 4 3252
Athlon 64 X2 Windsor 2007年8月 Athlon 64 X2 6400+ Black Edition 3,200 2 1730 509
Core 2 Quad Yorkfield 2008年3月 Core 2 Extreme QX9770 3,200 4 4332
Phenom Agena 2008年3月 Phenom X4 9850 Black Edition 2,500 4 2811 728
Core 2 Duo Wolfdale 2008年8月 Core 2 Duo E8600 3,333 2 2328 757
Phenom II Deneb 2009年1月 Phenom II X4 940 Black Edition 3,000 4 3323 1051
Phenom II Deneb 2009年11月 Phenom II X4 965 Black Edition 3,400 4 3871 1415
Phenom II Thuban 2010年4月 Phenom II X6 1090T Black Edition 3,200 6 5152 1773

AMDとIntelの失速(リスト8)

 2011年、AMDは満を持して(?)Bulldozer/Bobcatという新しいアーキテクチャに基づくAMD FXシリーズの製品を投入する。スループットコンピューティング、つまりIPC(単位時間あたりに処理できる命令数)よりも、単位時間あたりで処理できるデータ量が重要になってくる、という見立ての元に、非常に奇抜な内部構造で実装されたBulldozerアーキテクチャは、案の定性能が出ず、2010年の時点で3割近くあったAMDのシェアは、たちまち1%を切るところまで激減。責任を取る形でCEOとCTOの首が飛ぶことになった。

 幸い同時に開発していたBobcatはインオーダーのシンプルな構造で、エリアサイズも小さく性能/消費電力比も良いということでAPU系の製品に使われたし、その後継のJaguerはPS4やXbox Oneで採用されたことで、かろうじてAMDの命脈をつなぐことができた。Bulldozerの方もその後Piledriver/Steamroller/Excavatorと、細かな改良を施しながら、なんとかZenコアまでの間を埋めた。この時期AMDは、2006年に買収したATIのGPU製品と、それこそPS4やXBoxといったセミカスタムでかろうじて存続が可能という状況だった。

 一方のIntelは、2011年に導入したSandy Bridgeベースの第2世代Core製品が非常に好調であり、これに続き2012年にはIvy Bridge、2013年にはHaswellを順調に展開した。ところがこれに続くBroadwellでは14nmプロセスに躓き、なんとかモバイル向けのみは2014年に展開したものの、デスクトップ向けの投入は2015年6月までずれ込んだ。

 その2カ月後の2014年8月には、14nmプロセスの問題をアーキテクチャ側でカバーしたSkyLakeベースの第6世代Coreが投入。ただこれに続く10nmプロセスの開発はさらに難航し、対応策としてわずかに構成を変えたSky Lake Refreshとも言うべきKaby Lakeを2016年8月に、構造はそのままにコア数を6コアに増やしたCoffee Lakeを2017年10月に投入する。

AMD FXシリーズ
IntelのSkylakeこと第6世代Core

 それでもまだ間に合わず、2018年には8コアに増やしたCoffee Lake Refreshを投入、さらに2020年には10コアまで増量したComet Lakeを投入するものの、このころには既にAMDがZenコアやZen 2コアを実装したRyzenを投入したことで、再び苦しい戦いを強いられることになった。

 AMDはBulldozerの投入で6年余りを無駄にすることになったが、Intelも14nmと10nmのプロセスでやはり6年余りを無駄にした格好だ。

プロセッサシリーズ名 開発コード名 発売日 プロセッサ型番 周波数(MHz) コア数 PassMark v9 GeekBench 6 CineBench R23
Core Broomfield 2008年11月 Core i7-940 2,900 4 5047 1491
Core Clarkdale 2010年7月 Core i7-980X 3,333 6 8175 2600
Core SandyBridge 2011年1月 Core i7-2600K 3,300 4 8213 2311
Core Gulftown 2011年2月 Core i7-990X 3,467 6 8491 2616
AMD FX Bulldozer 2011年9月 FX-8150 3,600 8 7769 1703
Core SandyBridge 2011年11月 Core i7-3960X 3,200 6 12148 3341
Core IvyBridge 2012年4月 Core i7-3770K 3,500 4 9370 2480
AMD FX Piledriver 2012年5月 FX-8370 4,000 8 9171 2030
Core Haswell 2013年6月 Core i7-4770K 3,500 4 9889 4067
Core IvyBridge 2013年9月 Core i7-4960X 3,600 6 13544 3381
AMD FX Steamroller(Kaveri) 2014年1月 A10-7850K 3,700 4 5236 1144
Core Haswell 2014年8月 Core i7-5960X 3,000 8 15910 7391
Core Broadwell 2015年6月 Core i7-5775C 3,300 4 10837 4848
Core Skylake 2015年8月 Core i7-6700K 4,000 4 11250 4894
Core Broadwell 2016年5月 Core i7-6950X 3,000 10 19892 8420
AMD FX Excavator(Bristol Ridge) 2016年9月 A12-9800 3,800 4 5559 1649
Core Kaby Lake 2017年1月 Core i7-7700K 4,200 4 12032 5102
Core Coffee Lake 2017年10月 Core i7-8700K 3,700 6 15976 6432
Core Coffee Lake Refresh 2018年11月 Core i9-9900K 3,600 8 20228 7978 12403
Core Comet Lake 2019年8月 Core i9-10900K 3,700 10 9251 17229

AMDの復活とIntelの立て直し、Apple Siliconの登場(リスト9)

 2017年、AMDはZenコアベースのRyzen 1000シリーズを投入、ほぼ0に近かったCPUのシェアを10%程度まで回復することに成功する。続いてさらにはサーバー向けのEPYCと同じソケットを利用したハイエンド向けのRyzen Threadripperも投入した。

 最初のRyzenはGlobalFoundriesがSamsungからライセンスを受けて量産を行なった14nm LPPプロセスを採用したが、翌年にはプロセスを改良型の12nmに変更したZen+ベースのRyzen 2000を投入。Ryzen ThreadripperもやはりZen+に移行する。加えてモバイル向けを転用したRyzen 2000Gシリーズも発表。内蔵GPUがない、というRyzen 1000シリーズの欠点を補うことに成功する。

初代Ryzenを手にするLisa Su氏
Ryzen Threadripper

 2019年、AMDはこれまでのGlobalFoundriesからTSMCに製造委託先を変更。TSMCのN7プロセスでRyzen 3000シリーズやRyzen Threadripper 3000シリーズを製造する。このTSMCのN7というのは、Intelで言えばほぼ10nmというか、10nm SuperFinに相当するプロセスであり、ついにAMDがIntelに対して製造プロセスで先んじた瞬間でもある。

 またこのZen 3世代は、完全なチップレット構造を業界に先んじて導入した(何をもってチップレットと呼ぶか、という議論はあるのだが)という意味でも画期的であった。コアそのものもZen 2アーキテクチャに刷新され、Zen/Zen+世代からIPCの引き上げに成功している。

 2020年には7nmプロセスを引き続き使いつつ、内部アーキテクチャをZen 3に刷新したRyzen 5000シリーズを投入。この世代では、さらに一部の製品に3D積層の形で64MBのL3キャッシュを追加実装、96MBものL3を利用可能にした製品をリリース、特にゲーミング向けに性能が大きく向上することをアピールした。

 そして2022年9月、ついにTSMCのN5プロセスを利用したRyzen 7000シリーズを投入。この世代ではまたRyzen Threadripperもコンシューマ向けに復活している。統計の取り方(出荷数量を比較するか、出荷金額を比較するか、などなど)で数字は変わるが、おおむねAMDはクライアント向けのマーケットシェアで3割程度を確保するに至っている。これは2010年、つまりBulldozerアーキテクチャの投入でシェアを失う直前の状況にほぼ近い状況である。

 一方のIntelであるが、モバイル向けに関しては2018年のCannon Lake、2019年のIce Lake、2020年のTiger Lakeと3世代にわたって10nmプロセスの製品を出荷したものの、そのTiger Lakeでもまだデスクトップ向けに必要な動作周波数を実現できなかった。

 これを見越して、というのも変だが、本来10nmプロセスに合わせて投入予定だった新アーキテクチャを14nmに逆移植する形で2021年に投入されたのがRocket Lake世代の第11世代Coreプロセッサであり、ここである程度Ryzenとのギャップを縮めることに成功する。ギャップというかピーク性能で言えばRyzenを凌駕しているのだが、性能/消費電力比では全然追いつかないというもので、何しろ14nmプロセスを使いながら7nmプロセスの製品より性能を上げようとしたら、消費電力が増えるのは必然である。

 コア数もComet Lakeの10コアから8コアに減っているが、これはより複雑なコアを採用したためコアあたりのエリアサイズが増え、同じコア数を維持しようとするとダイサイズがかなり大きくなってしまうことを避けたためである。

 これに続き、2021年10月にはやっと10nm(Intel 7と改称)を使ったデスクトップ向けCPUであるAlder Lakeが出荷可能になった。このAlder Lakeは高性能・高消費電力のP(Performance)コアと、高効率・省スペースのE(Efficient)コアを組み合わせたハイブリッド構造になっており、シングルスレッドの高負荷処理はPコアを、マルチスレッドの処理はPコア+Eコアを、負荷の低い処理はEコアを使う、という「うまく動けば理想的だが、それをどうやって割り振るか大問題」なアーキテクチャを採用、大問題の解決のために、Thread Directorと呼ぶハードウェアベースのスケジューラを搭載してこれへの対応を図った。

Rocket Lakeこと第11世代Core
Alder Lakeこと第12世代Core

 この後継が2022年10月に発表されたRaptor Lakeである。基本的な構成は変わらないが、プロセスがIntel 7+とでも呼ぶ若干の改良型になり、またEコアが16個に増強された。ただIntel 7というのは概ねTSMCで言えばN7相当のもので、先にTSMC N5に移行したRyzen 7000シリーズには性能/消費電力比の点でビハインドを負っているのは相変わらずである。

 またAlder Lakeでもその傾向はあったが、Raptor Lakeでは性能を稼ぐために、電力や放熱の許す限り、動作周波数を上げる実装がなされており、本来省電力性を重視しているはずのEコアがフル稼働するという、ちょっと本末転倒な状況になっている。

 本来このRaptor Lakeの後継には、デスクトップ向けにもMeteor Lakeが投入されるはずだったが、割と早い段階でこの計画が破棄。後継は2024年後半のArrow Lakeになることがアナウンスされており、それまでの中継ぎとして2023年10月に発表されたのがRaptor Lake Refreshである。IntelとしてはArrow LakeでAMDを完全にキャッチアップする予定であるが、このあたりはプロセスとの兼ね合いもあり、まだ確たる情報はない。

 もう1つの勢力がAppleである。2005年にPowerPCを捨ててIntelに鞍替えした同社であるが、2020年に今度はIntelというかx86を捨てることを発表、まずは自社開発のApple M1を投入する。CPUやGPUコアの数に応じて無印/Pro/Maxの3種類のダイと、さらにMaxのダイ2つをMCMの形で接続したUltraという4種類のSKUを発表。

M1 Max
M3シリーズ
M2 Ultra

 2022年にはApple M2、2023年にはApple M3とプロセス微細化やコア数増加、コアそのものの強化を行いながら現在も進化している。絶対性能としてx86を上回っているか? というと、ベンチマークの結果を見る限りはそこまで大きな差はなく、ただしメモリまでチップ上に統合することで、レイテンシ削減などのメリットを活かした体感速度を上げると言った工夫が凝らされているが、この辺は拡張性とのバーターの部分でもあり、Appleだから実現できる製品という感もある。今年はM3 UltraとかM4とかが出てきそうであるが、まだ細かい詳細は不明なままである。

メーカー/プロセッサシリーズ名 開発コード名/搭載製品名 発売日 プロセッサ型番 周波数(MHz) コア数 PassMark v9 GeekBench 6 CineBench R23 CineBench R24
Ryzen Summit Ridge 2017年3月 Ryzen 7 1800X 3,600 8 15389 5785
Ryzen Whitehaven 2017年8月 Ryzen Threadripper 1950X 3,400 16 21776 7461
Ryzen Pinnacle Ridge 2018年4月 Ryzen 7 2700X 3,700 8 14271 6111 10135
Ryzen Colfax 2018年8月 Ryzen Threadripper 2950X 3,500 16 25185 8335
Ryzen Matisse 2019年7月 Ryzen 9 3900X 3,800 12 31909 9947 18576
Ryzen Matisse 2019年11月 Ryzen 9 3950X 3,500 16 35612 10657 22670
Ryzen Castle Peak 2019年11月 Ryzen Threadripper 3970X 3,700 32 48150 14073
Ryzen Castle Peak 2020年2月 Ryzen Threadripper 3990X 2,900 64 54603 14128 3453
Ryzen Vermeer 2020年11月 Ryzen 9 5950X 3,400 16 12248 25790 1494
Apple MacBook Pro 13inch 2020 2020年11月 Apple M1 3,200/2,064 4+4 12383 509
Core Rocket Lake 2021年3月 Core i9-11900K 3,500 8 10979 16149
Core Alder Lake 2021年10月 Core i9-12900K 3,200/2,400 8+8 15417 27316 1582
Apple MacBook Pro 14inch 2021 2021年10月 Apple M1 Pro 3,230 6+2 12728 803
Apple MacBook Pro 14inch 2021 2021年10月 Apple M1 Max 3230/2,064 8+2 12778 793
Apple Mac Studio 2022 2022年3月 Apple M1 Ultra 3,230/2,064 16+4 18894 1624
Ryzen Raphael 2022年9月 Ryzen 9 7950X 4,500 16 19270 36626 2185
Core Raptor Lake 2022年10月 Core i9-13900K 3,000/2,000 8+16 20104 37195 2140
Apple MacBook Pro 13inch 2022 2022年11月 Apple M2 3,200/2,064 4+4 10136 555
Apple MacBook Pro 14inch 2023 2023年1月 Apple M2 Max 3,504/2,424 8+4 14823 1050
Apple MacBook Pro 14inch 2023 2023年1月 Apple M2 Pro 3,504/2,424 8+4 12540 782
Apple Mac Studio 2023 2023年6月 Apple M2 Ultra 3,504/2,424 16+8 21411 1918
Core Raptor Lake Refresh 2023年10月 Core i9-14900K 3,200/2,400 8+16 22797 38235 2211
Ryzen Storm Peak 2023年11月 Ryzrn Threadripper 7980X 3,200 64 27331 98322 5531
Apple MacBook Pro 14inch Nov 2023 2023年11月 Apple M3 Max 4,050/2,750 12+4 21127 1677
Apple MacBook Pro 14inch Nov 2023 2023年11月 Apple M3 Pro 4,050/2,750 6+6 15390 1045
Apple MacBook Pro 14inch Nov 2023 2023年11月 Apple M3 4,050/2,750 4+4 11770 710

相対性能(グラフ)

 ということでざっくり1974年から2023年位まで、おおよそ50年弱の歴史を簡単にご紹介した。問題はこの性能をどう比較するかである。

 もともとの依頼の際に言われたのが「タイトルとしてはPS5はファミコンのCPUより1万倍高速とかそういう感じのですが」という話なのだが、当たり前だが「何をもって性能を比較するかの基準」がない。リスト1~9の末尾に、いくつかベンチマークの結果を示してあるが、そもそもすべてのCPUを網羅しているベンチマークが存在しないし、何をもって比較するかの基準もない。

 いろいろ悩んだのだが、とりあえず存在する複数のベンチマーク結果の相乗平均を取って、その数値を示すことにした。たとえばリスト1/2ならMOS 6502が基準で、あとはMIPS値ないしDhrystone v1.1の結果でリスト内の相対性能を算出。リスト間は基準同士の性能をやっぱりベンチマーク結果の相乗平均で算出するということにした。

PC向けCPUの相対性能の変遷

 結果として生成されたのが上のグラフである。基準はMOS 6502だが、これZ80にしてもそれほど差はないと思う。ほぼ指数関数的に増加……と言いたいところだが、やはり2010年台前半あたりからだんだんと性能の伸びが鈍化しつつあるのが分かる。時期で言えばリスト8の真ん中、要するにAMDがコケた後で、Intelも14nm/10nmのプロセスでコケてた時期で、このあたりから明らかに伸び具合が鈍化している。

 とはいえ、この50年あまりでおおよそ1億倍弱(7,000万倍ほど)、PC向けプロセッサは高速化したわけだ。

 ちなみに基準となる「MOS 6502 1MHz」というのは、要するに「Apple I」のことであり、この中で一番数字が高いのは先日発表されたAMDの「Ryzen Threadripper 7980X」で、計算上はMOS 6502 1MHzの6,769万倍の処理性能という計算になった。49年で6,769万倍だから、毎年1.445倍程度性能が向上している、という計算になる。

 ただこれが通用するのは先ほども書いたように2015年頃までであって、その先の伸びはもう少し鈍化している。2015年というとCore i7-6700Kあたりになるわけだが、これとRyzen Threadripper 7980Xの性能比は9.66倍ほど。8年で9.66倍だから、毎年1.33倍弱程度まで性能の伸びが鈍化している。

 この先はさらに伸びは鈍るのか(この公算は非常に高い)、あるいは何か革新的なものが出てきてまた性能が大きく伸びていくのか(こちらの公算はかなり低い)。個人的にはそろそろアーキテクチャを変革する時期な気がしなくもない。

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