鹿児島大学、神戸大学、国立天文台の共同研究チームは、独自の理論モデルを構築して天の川銀河(銀河系)における主要な元素の循環過程を調査し、太陽系が約46億年前に、現在の位置よりも銀河系中心に近い場所で誕生したことを明らかにした。同チームによると、太陽系は長い年月をかけて、天の川銀河内を移動しながら進化してきたことが示唆されるとしている。
研究チームは今回、異なる星の進化プロセスを考慮した銀河化学進化モデルを構築し、太陽系が誕生した46億年前に、太陽系の重元素組成に到達する銀河系内の場所を探査した。その結果、太陽が誕生した46億年までに太陽系の重元素組成に達するのは、銀河系中心から約1万6千光年の位置であることがわかった。現在の太陽系の位置は銀河系中心から約2万7千光年なので、太陽系は現在よりも約1万光年ほど内側で形成された可能性があるという。
同チームはさらに、この理論モデルに基づき、天の川銀河全体における惑星材料物質の分布を予測。銀河系の内側ほど惑星の材料物質が豊富で、鉄コアの大きな岩石惑星が作られ、外側では水の豊富な惑星系が誕生する可能性があることを示した。
研究論文は、王立天文学会月報(Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)に、2023年10月9日付けで掲載された。
(中條)
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