2023年7月に発売40周年を迎える「ファミリーコンピュータ」は、1983年7月15日に任天堂から発売され「ファミコン」の略称で多くのファンに愛されている。ゲームソフトもこれまでさまざまなタイトルが発売されており、当時夢中でプレイしたファンも少なくないだろう。
現代のようにインターネットがない時代に、当時の子どもたちは『週刊ファミ通』などの雑誌や攻略本で情報を集め、友達と情報を交換してプレイを楽しんだ。そしてゲーム内でよく見かけるシーンや、プレイをしていてついついやってしまう行為には、一部の地域や仲間内だけでしか使わない「ファミコン用語」が名付けられていた。本記事では、その中でもごく一部で使われていた「ファミコン用語」を5つ紹介しよう。
まず1つ目に挙げたいのは「ファミカー」だ。これはファミコンを好む人たちを意味する。「アムラー」と言えば、歌手の安室奈美恵さんを好きな人のことを指すように、ファミコンを好む人のことを「ファミカー」と言う人が少なからずいたわけだ。類似語として「ファミコニアン」があり、最上級レベルとなると「ファミコニスト」と言うようになる。ファミコニストにまでなると初期のシンプルなデザインのカセットや、角ボタン式のコントローラーの話をすると飛びあがって喜ぶのではないだろうか。
また、左の親指の筋肉痛やファミコンをやるときに使う筋肉を「ファミ筋」と言う。アクションゲームやシューティングゲームなど、激しい操作が必要なゲームをプレイする際に、特にファミ筋を意識することが多いだろう。当時、1秒間に16連射できると人気を集めた「高橋名人」のファミ筋に、ファンは憧れを抱いた。ちなみに関連のある用語として、ファミコンのやりすぎでできたタコのことを指す「ファミだこ」という言葉もある。
2023年4月28日に映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が公開された『スーパーマリオブラザーズ』にもファミコン用語が登場する。キノコを取ることで大きくなったマリオを「大人マリオ」と表現している。冷静に考えるとそもそもマリオは髭を生やしており、小さかろうが大きかろうが大人じゃないかとツッコミたくもなってしまう。1995年に発売された『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』に「ベビーマリオ」が登場してからは、通常の状態のマリオを「大人マリオ」と表現する人もいる。
『スーパーマリオブラザーズ』のあるあるプレイの一つに、現れた「1UPキノコ」を追いかけるあまり、敵に当たったり穴に落ちて死んでしまうケースがあった。これをファミコン用語では「1UP自殺」と表していた。初代『スーパーマリオブラザーズ』にはセーブ機能がなかったため、ゲームオーバーを避けるには機数の確保が重要だった。そのため、貴重な1UPキノコが現れると、ほかに目がいかなくなり死んでしまうプレイヤーが続出したのだろう。
84年にソビエト連邦(現・ロシア)で発売され、88年に日本でも発売されたパズルゲーム『テトリス』にも、ファミコン用語が存在する。同ゲームでは、4つのブロックが一列に並んだ一番長い「テトリミノ」で4段分のブロックを消すと、最高得点が得られる。それを狙ってブロックを積み上げていき、最後に一番長いテトリミノを穴にいれようとする人が続出したが、ときには操作ミスで「穴の横」に置いてしまうというケースも……。これをファミコン用語で「さお」と言う。点数が積み重なり、ブロックの動きが速くなってくると慌ててミスをしてしまうため、「1UP自殺」と同様に「さお」もあるあるプレイになっているようだ。
今の子どもたちには新鮮に映るファミコン用語。「実際に使っていた」と懐かしく感じる用語もあれば、「自分は違う表現をしていた」という用語もあるだろう。ファミカーだった頃を思い出して、昔の仲間とファミコン用語で盛り上がるのもいいだろう。
○YouTubeチャンネル「オロチ」で楽曲『白くまどろむもの』を手掛けるオロチさんが管理人を務めるレトロゲーム専門ニュース&コラムサイト「ファミコンのネタ!!」内の「誰も使わないファミコン用語辞典」から内容を引用しております。
https://www.youtube.com/watch?v=fNQKhJ20yyc&t
※13日17時55分、記事の一部を加筆・修正しました。
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