ポイント
■ NICTほか国際協力チームで開発したテラヘルツ波分光計(SWI)を搭載し、氷衛星の生命の存在可能性を探査
■ NICTはSWIの主鏡・副鏡・アクチュエータを担当し、データ解析アルゴリズム開発にも貢献
■ 今後の木星圏科学や地球外の生命探査への大きな貢献に期待
2023年4月14日(金)、欧州宇宙機関(ESA)の大型ミッションである木星氷衛星探査機JUICE(JUpiter ICy moons Explorer)の打上げに成功しました。11のサイエンス機器のうちの一つ「テラヘルツ波分光計(SWI)」は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー)、理事長: 徳田 英幸)を含む国際チームの協力で開発したもので、NICTは主鏡・副鏡・アクチュエータを担当したほか、観測データから生命の存在可能性の鍵となる情報を抽出するための独自のアルゴリズムを研究しています。
JUICEは2031年に木星圏に到達予定であり、SWIにより、ガニメデなど氷衛星の非常に希薄な大気や表面及び表面下の調査や、エウロパ氷衛星の地下海から噴出するプリュームに含まれる組成の観測を実施し、氷衛星の生命の存在可能性の探査に貢献することが期待されます。
背景
JUICEは、木星の水の豊富な氷衛星であるガニメデ、エウロパ、カリストや、木星大気及び磁気圏を探査するESAのミッションです。主な探査対象はガニメデであり、JUICEに搭載されている11のサイエンス機器のうちの一つであるSWIは、ガニメデ、エウロパ、カリストの居住可能性を調査するためのデータを提供します。
今回の成果
図1 打上げ時の様子
JUICEを載せたアリアン5ロケットがクールー宇宙基地(フランス領ギアナ)からの打上げに成功しました。今後、地球や金星でのフライバイを経て2031年に木星圏へ到達予定です。JUICEには11のサイエンス機器が搭載されており、そのうちの一つであるSWIはNICTを含む国際協力チームで開発されました。NICTは、SWIの開発において、主鏡・副鏡・アクチュエータを担当しました。また、NICT独自の電磁波伝搬アルゴリズムを開発し、データ解析アルゴリズム開発に貢献しています。
図2 テラヘルツ波分光計(SWI)のアンテナ部及び受信機部
NICTは主鏡・副鏡・アクチュエータを担当
https://www.mps.mpg.de/planetary-science/juice-swic) MPS
SWIは、木星の氷衛星であるガニメデの非常に希薄な大気や表面及び表面下の調査や、エウロパの地下海から噴出するプリュームに含まれる組成の観測を実施し、氷衛星の生命の存在可能性の探査に貢献することが期待されます。
今後の展望
テラヘルツ波による惑星資源探査ビジネスといった新たな産業を切り拓くため、NICTが取り組んできたテラヘルツ波受信機の小型軽量化技術を「テラヘルツ波を用いた月面の広域な水エネルギー資源探査」に応用するとともに、世界初の散乱を考慮した3次元テラヘルツ波電磁波伝搬モデルの開発を進めていきます。
国際協力チームの役割分担
ESA: JUICEの主導
マックスプランク太陽系研究所(MPS)(ドイツ): SWIの開発の統括
NICT: SWI開発における主鏡・副鏡・アクチュエータの担当、データ解析アルゴリズムの開発
からの記事と詳細 ( 木星氷衛星探査機JUICEを搭載したロケットが打上げに成功! テラヘルツで生命居住可能性を探る - 共同通信 PRWire )
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科学&テクノロジー
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