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Thursday, December 22, 2022

内蔵と外付けのGPUが同時稼働しAV1にも対応!これがIntel Arcの本領。動画/配信系に強いその理由を探る - PC Watch

tosokpopo.blogspot.com

 すでに掲載済みの「ゲーム+エンタメ編」では、ディスクリートGPUのIntel Arc A350Mを搭載するNEC PC「LAVIE N15(N1585/EAL)」について、最新の3Dゲームを問題なく遊べることや、映像コンテンツの視聴を存分に楽しめることを実証した。

 Arc A350Mは高圧縮かつ高品質な最新コーデックである「AV1」のハードウェアエンコードに対応している点も要注目。ここでは、そのパワーを動画・写真編集といったクリエイティブワークに生かせることを詳細に見せつつ、すっかり社会に浸透した感のあるハイブリッドワークでのLAVIE N15(N1585/EAL)の活用についても紹介していきたい。

高性能GPU「Intel Arc」を載せたスタンダードノートPC

 LAVIE N15(N1585/EAL)は、15.6型のフルHD液晶を備えるスタンダードなタイプのノートPCだ。CPUは第12世代Coreの「Core i7-1260P」で、消費電力の目安となるPBP(Processor Base Power)はわずか28Wながら、12コア16スレッドのメニーコアを実現し、アプリを選ばず高い性能を発揮できるのが強みだ。

ディスクリートGPU搭載でもシンプルな見た目

ボディカラーはネイビーブルー。高い性能を持ちながらスマートなデザインだ
Intel Arc非搭載だが、Blu-rayドライブを搭載する「LAVIE N15(N1575/EA)」もある
スッキリとしたデザインのため、遊びや仕事など使う場所を選ばないのは大きな利点だ

 GPUには、レイ トレーシングや描画負荷軽減技術の「XeSS」など、最新技術を取り入れたIntelのディスクリートGPU「Arc A350M」を採用。LAVIE N15(N1585/EAL)が搭載するCore i7-1260Pは内蔵GPUとして、Iris Xe グラフィックスを実装しているが、それとは別に独立した強力なGPUを備えているわけだ。

 IntelのArc A350Mは、最新の3Dゲームをプレイできる性能に加えて、CPUとArc A350Mを連係させる「ディープ・リンク・テクノロジー」を搭載しているのが大きな特徴である。

 ディープ・リンク・テクノロジーにはさまざまな機能が備わっているが、その中でもクリエイティブ系に役立つものとして、Arc A350MとCPU内蔵のグラフィック機能を同時に使ってエンコード速度を向上させる「ハイパーエンコード」が注目と言える。

Core i7-1260PとArc A350M搭載

CPUには12コア16スレッドの「Core i7-1260P」を搭載
ディスクリートGPUとしてIntelの「Arc A350M」を採用

 メモリはDDR4-3200が16GB(8GB×2)、ストレージはPCI Express 4.0 x4接続と高速な512GBのM.2 SSDを搭載。それぞれ十分な容量があり、クリエイティブな作業にも十分対応できる。

Intel Arcの「ハイパーエンコード」を検証

ディスクリートGPU付きのハイパワーをこのサイズのノートPCで手軽に扱える

 それでは早速、LAVIE N15(N1585/EAL)のクリエイティブ性能についてチェックしてみよう。比較対象として、2018年に発売された旧型ノートPCを用意した。4~5年程度がPC買い換えの一般的サイクルと言われており、そうした視点から最新モデルに変えることで、どれくらい作業が快適になるのかを具体的に見せていく。

 なお、旧型ノートPCには、当時としては6コア12スレッドでハイエンドクラスの「Core i7-8750H」を搭載。グラフィックス機能はCPU内蔵の「Intel UHD Graphics 630」となっている。

 まずは、Intel Arcで注目の「ハイパーエンコード」を試してみよう。現在対応しているのは、動画編集アプリの「DaVinci Resolve Studio」、動画エンコーダの「HandBrake」にとどまっているが、今後対応するアプリ等は増えていくことだろう。

 今回は「DaVinci Resolve Studio 18.1.1」を使用してテストを行なった。ハイパーエンコードを利用するのに設定は不要で、対応アプリなら自動的に有効となる。

2基のGPUが同時に動作

DaVinci Resolve Studioでエンコードを実行すると、CPU内蔵GPUの「Iris Xe Graphics」と「Arc A350M」が同時に動作しているのがタスクマネージャーで確認できる

エンコード速度を比較

 ここでは約2分のApple ProRes 4K動画ファイルをフォーマット「MP4」、エンコーダ「Intel Quick Sync」(IntelのGPUに内蔵されているハードウェアエンコーダのこと)、固定ビットレートで8,000Kbpsに指定し、H.264、H265それぞれでエンコードした時間を測定した。

 旧PCもGPUのハードウェアエンコーダを使用しているが世代が古い。それに対して、LAVIE N15(N1585/EAL)は最新世代かつハイパーエンコードも有効なので半分以下の時間でエンコードを完了できている。動画編集をする人にとってこの差は大きいだろう。

Photoshop/Lightroomでの画像処理能力を比較

 次は、写真編集の性能を見てみよう。Adobeの画像編集アプリのPhotoshopとLightroom Classicをベンチマーク内で実際に使用し、さまざまな画像処理を実行する「UL Procyon Photo Editing Benchmark」を実行する。このベンチはCPUの性能が効く。

 6コア12スレッドのCore i7 8750Hを搭載する旧PCに対して、12コア16スレッドにコアが増え、1コアあたりの性能も大きく向上しているCore i7-1260Pを搭載するLAVIE N15(N1585/EAL)が1.6倍もスコアを伸ばした。特にLightroom Classicを中心としたBatch Processing処理では約1.7倍もスコアがアップしており、写真処理に対して過去のハイエンドモデルよりもかなり快適になっている。

Premiere Proでの動画処理能力を比較

 次は動画編集だ。同じく実際にAdobeのビデオ編集アプリPremiere Proを使って動画処理を行なう「UL Procyon Video Editing Benchmark」を利用する。

動画処理に掛かった時間

 動画のエンコードが中心であるため、写真編集よりもCPUのコア数が効くベンチマークゆえにスコアは旧PCに対して3倍もアップ。処理時間で見ると、5分1以下の時間で終わっているものもあり、12コア16スレッドのCore i7-1260Pの強さが分かるテストとなった。

Intel ArcでAV1のハードウェアエンコードを試す

 Arc A350Mは低ビットレートでも高い画質が維持できるコーデックとして注目を集めている「AV1」のリアルタイムハードウェアエンコードに対応している。

 OBS Studio 29.0 Beta 1では、そのArc A350MによるAV1エンコードをサポートしているため、H.264、H265、AV1と3つのコーデックでゲームプレイを録画し、その画質を比べてみる。解像度はフルHD、レート制御は「CBR」、ビットレートは「3,000Kbps」とした。ゲームにはApex Legendsを使用している。

OBSならAV1のハードウェアエンコード対応

OBS Studio 29.0 Beta 1では、エンコーダにArc A350MによるAV1ハードウェアエンコーダの「QuickSync AV1」が選択できる

 下のキャプチャ画像を見比べると分かるが、H.264は細部にノイズが目立ち、H.265はノイズは少なくなっているが若干モヤッとしている。それらに対してAV1は3,000Kbpsの低ビットレートでもかなりシャープかつ高い画質を実現できている。

比較すると分かるAV1の高画質

左からH.264、H.265、AV1の録画データだ

 将来的にAV1による配信が主流になったとしても、時代遅れにならないのは心強い。NVIDIAの最新GPU「GeForce RTX 40シリーズ」でもAV1のハードウェアエンコード対応しているが、デスクトップ向けのみでしかも非常に高価だ。ノートPCで利用できるのは、LAVIE N15(N1585/EAL)ならではの強みと言ってよいだろう。

動画編集アプリでコーデックにAV1を指定

DaVinci Resolve Studio 18.1.1では、Arc A350MによるAV1のハードウェアエンコードが可能だった
DaVinci Resolve Studioを操作しているところ。LAVIE N15(N1585/EAL)は15.6型フルHD液晶を備えており、ノートPCとしては大きめの画面で作業もしやすかった

 ちなみに、今回テストした限りでは、「DaVinci Resolve Studio 18.1.1」がArc A350MによるAV1のハードウェアエンコードをサポート。エンコードしたAV1の動画を編集することも可能だった。LAVIE N15(N1585/EAL)ならAV1を使った動画編集環境を作れるのもポイントだ。

 このほか、「ディープ・リンク・テクノロジー」には、ストリーミングの処理をArc A350MからCPU内蔵のグラフィック機能に渡すことで、負荷を分散する「ストリーミング・アシスト」という機能も備わっている。対応するのは動画配信アプリの定番「OBS Studio」のほか、「Arc Control」、「XSplit」、「AVerMedia CamEngine」だ。ゲーム実況や動画配信に興味がある人によっては気になる機能のはず。

Web会議中のマルチタスクをものともしない性能

 Intel Arcを搭載するLAVIE N15(N1585/EAL)は、クリエイティブな作業だけではなく、ハイブリッドワークにも強い。ZoomでWeb会議をしながら、PowerPointを開き、ブラウザでYouTubeの動画を再生していたとしてもCPUの使用率はわずか14%とまだまだ余裕があった。マルチタスクを快適にこなせるパワーを備えているのだ。

Web会議中のマルチタスクも問題なし!

ZoomでWeb会議(3人)、PowerPointで資料を編集、ブラウザでYouTube再生してもCPU使用率は14%程度だった

 さらに、ディスプレイの上部にはシャッター付きで物理的に映像をシャットアウトするセキュリティ性の高いWebカメラがあるほか、コンテンツに合わせて最適な音質に調整する「AudioEngine」を備えるヤマハ製ステレオスピーカーも備え、Web会議を快適に行なえる環境が最初から整っているのもポイントだ。

Web会議等で役立つ機能を備える

シャッター付きのWebカメラを搭載
底面にはヤマハ製ステレオスピーカーを備える

 キーボードは仕事での数字入力もしやすいテンキー付き。キートップの中央にくぼみをつけた「シリンドリカル形状」によって、キーの中心に指先を置きやすく、打鍵感は抜群だ。

シリンドリカルキー採用のキーボード

中央がくぼみで入力しやすさを向上させているキーボード
キーボード右上の電源ボタンには指紋センサー

 また、キーボード右上の電源ボタンは指紋センサーが内蔵されており、Windowsのログオンを指紋認証にできるなど、セキュリティ面も安心だ。Bluetooth接続のマウスを標準付属しており、細かな作業をしやすいのもうれしいところだ。

Bluetoothマウスが付いてくる

Bluetooth接続のマウスを標準で付属

 ネットワーク機能としては、Wi-Fi 6E対応のワイヤレスLANと、Gigabit Ethernet対応の有線LANを備えており、高速なデータ転送に対応が可能だ。

 このほかインターフェイス類としてHDMI出力、USB 3.2 Gen 2 Type-Cが1ポート、USB 3.2 Gen 1が2ポートと必要十分。HDMI出力を利用して、外部ディスプレイと接続し、2画面構成にしてより仕事の効率を高めるといった使い方もできる。

必要十分なインターフェイス

インターフェイス類は左側面に集中している。左から順に、Gigabit Ethernet、HDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 1×2、ヘッドセット端子
右側面は排気口だけなので、マウス操作の邪魔にならない

90W出力のACアダプタ

ACアダプタは90W。高い性能のPCとしてはコンパクトな部類だ

 本体のサイズは約362.4×254.7×23.7mmで、重量は約2.2kg。モバイルノートではないので手軽ではないが、カバンに入れて十分持ち運べるレベル。テレワーク中心で、ときどき自宅と会社の移動時に持ち歩く程度という使い方なら十分対応できるだろう。


 LAVIE N15(N1585/EAL)は、会社にも自宅のリビングにもマッチする用途を選ばないシンプルなデザインに、ゲームもクリエイティブワークもこなせる高い性能を備えており、ノートPCに求められる“汎用性”をハイレベルで実現した1台。Intel Arcの性能が気になったのなら、ぜひとも一度チェックしてみてほしい。

[モデル: 黒田 瑞貴(ブース)]

Intel、インテル、Intel ロゴ、その他のインテルの名称やロゴは、Intel Corporationまたはその子会社の商標です。

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