Windows OSのシェアを集計するAdDuplex報告の最新版「AdDuplex Report for June 2022」が、5月分を1カ月スキップして更新されている。3月分の集計と4月分の集計では、Windows 11のシェアが20%を目前にした19%台で停滞し、伸びが止まったことが話題となったが、過去2カ月間に一気に躍進して23.1%となっている。理由は不明だが、今回はこの話題から触れたい。
Windows 11シェアの実際
まずは前回との差分だが、Windows 11のシェアが3.4ポイント増えており、Windows 10の「November 2021 Update(21H2)」が38.2%、「May 2021 Update(21H1)」が23.9%へと変化している。印象としては、わずかながら「21H1」から「21H2」への移行が増えたという感じだが、実はトータルとしては「21H1」+「21H2」で前回の集計から1.7ポイントほど増加しており、Windows 10のより古いバージョンの退役が進んでいるということが分かる。その過程でWindows 11のシェアも増加したという流れだ。
Windows 11のシェアが増加した要因について「企業側での検証が完了し、徐々に移行が進んでいる」「一般ユーザーも含め、ハードウェアの乗り換えが進んだ」の2つが主に考えられるが、コロナ禍を経てPC出荷台数は直近の四半期で大きく落ち込む傾向を見せており、ユーザーが競ってWindows 11マシンに飛びついた印象はない。どちらかといえば、自然なリプレイス周期の中でこのタイミングでの置き換えが進んだのだろう。
後述するが、Windows 11のシェアの増加はAdDuplex以外の集計サイトのデータからも把握できており、やはり微々たる水準ではあるが増加傾向にあるようだ。例えばゲーム配信プラットフォームの「Steam」では、2022年5月分の集計で前月比0.65ポイントの増加となった。
Steamの数字を見る限り、どちらかといえばWindows 10からの置き換えというよりも、Windows 7など旧バージョンのWindowsからのリプレイスが進んでいる印象だが、ここでのWindows 11のシェアは19.59%だ。AdDuplexのデータよりは少なめの数字だが、1カ月間でWindows 11の導入が一気に進んだのか、あるいはSteamがホビーユーザーをターゲットとしていることからくる差なのかは分からない。
なお、Windows 11のシェアの増加率は諸外国よりも日本の方が高いようで、このあたりの事情も気になるところだ。
そのような中で、Windows 11のアップデートの準備は着々と進んでおり、6月16日(米国時間)にはWindows 11のInsider Previewの「Build 22000.776」が、Windows Insider ProgramのRelease Previewに対して配信開始された。
Releaes PreviewはInsider Previewの配信ビルドとしては最後の工程にあたり、ここで1カ月程度の検証が行われた後に「General Availability(GA)」として一般配信がローリングアップデート方式で開始される。
GA前のマイナーアップデートこそあるものの、従来のRTM(Release To Manufacturing)に近い状態であり、大型アップデート(機能アップデート)としてはほぼ完成状態にある。ただZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏によれば、このWindows 11の「22H2」のGA配信自体は今秋を予定しているとのことで、時期にはまだ開きがある。先行して機能を試したいというユーザーであればReleaes Previewを、そうでないユーザーは座して数カ月先のWindows Updateを待つといいだろう。
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もう半年でWindows 8.1の延長サポート終了がやってくる
直近ではIE11のサポート終了が話題となったが、次なるターゲットは「Windows 8.1」だ。Windows 8.1の延長サポートは来年1月10日に終了するので、実質的にほぼ半年しかない。
おそらくWindows 7のときほどの混乱は起きないが、それでも業務PCを中心にまだ8.1環境が残っているケースが多々見受けられる。サポートページでも触れられているが、Windows 7のときとの最大の違いは「Windows 8.1にはExtended Security Update(ESU)が提供されない」という点だ。
つまりサポートを延長する手段が存在せず、アップデートを必要とするのであれば実質的にOSを乗り換えるしかない(過去にWindows 10への無料アップグレードを実施したライセンスを除いて)。ハードウェア世代的にWindows 11への乗り換えは難しく、Windows 10自身のサポートも3年で先が見えてくる。つまり、残された選択肢はほぼハードウェアの買い換えしかない。
では実際、Windows 8.1はどの程度使われているのだろうか。StatCounterのデータを参考にすれば、Windows OSにおける全世界でのシェアは3.06%で、徐々に減少している。対して日本におけるシェアは4.69%とやや高く、その推移はフラットだ。Windows 7ほどではないが、一定のシェアはある。そしてWindows 7のときほど騒がれていないのが気になるが、これがメインで動作している環境はそろそろ手をつけるべきだろう。
Windows 10Xは死んだのか
最後に余談だが、以前のイベントで大々的にお披露目された「Windows 10X」と「Surface Neo」の話題だ。Microsoftでは同OSとハードウェアについて計画を二転三転させた後に「提供をいったん中止し、計画を練り直す」という形で「延期」を臭わせていたが、その実質は「プロジェクトの破棄」だったと考えられている。
同件についてWindows Centralのザック・ボーデン氏は「プロジェクトは延期でなく終了」という記事をまとめている他、XDA Developersのリッチ・ウッズ氏は「Windows 10Xが空中分解した段階で、Surface Neoを含むデュアルスクリーンまたは折りたたみ型デバイスへのWindows 11提供の計画はMicrosoftにはない」とコメントしている。
つまり、仮にSurface Duoの後継機が出たとしても引き続きAndroidベースを維持するとのことで、折りたたみ型デバイスは同社の戦略の上で微妙なポジションに位置したことは確かなようだ。
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