6万9800円…に見えない。
社会人になってからずっとOnePlus共同ファウンダーのカール・ペイ(Carl Pei)を注視してきた身としては、独立後初のスマホとなる「Nothing Phone (1)」は既視感半端ないです。
Nothing Phone (1)という製品自体もそうだけど、ローンチ前のバズの盛り上げ方とかOnePlusそっくりで、PRのキーワード、キーフレーズまで初期のOnePlusとモロかぶり。
だけどNothingスマホはOnePlusとは似て非なるものだし、カール・ペイももうOnePlusでは働いていません。大胆かつミニマルなPRが功を奏し、新しいものに飢えたAndroid民の心をざわめかせたNothingスマホ。実機を手にしてからもこの熱量を維持できるのか? ひと足先に触れてみた感想をまとめてみました!
Nothing Phone (1)
これは何?
ミッドレンジのAndroidスマホ
価格
399ユーロ(日本市場は6万8900円)~
いいところ
おしゃれなスケルトン
背面が光る
Androidストック版にかなり近い
カメラは夜景もいける
残念なところ
Glyphs(グリフ)は現状もうひとがんばり
ボディが滑りやすい
ガラスなのにプラスチックっぽく感じる
望遠で撮るとボケる
クール&プラスティッキーな外観
見た目に惹かれた。と言わないと嘘になります。特に自分みたいなシースルーに憧れて育った世代には刺さるデザインです。ただ気になるのは耐久性かな。背面も「ゴリラガラス5」の割にはプラスチックっぽいと感じました。
6.55インチのフレキシブルOLEDディスプレイ搭載で、オモテ面には透明な保護フィルムが標準装備でついてきます。フレキシブルなので、指で押すとやや凹むように感じることもあるかな。色深度10-bit、解像度2400 x 1080、画素密度402ppi。輝度は超明るい場所だと公称最大500~1200nitsとなっていますが、自前のディスプレイキャリブレーションツールで計測してみたら最大465nitsといったところでした。
Samsung Galaxy S22+やPixel 6 ProのAMOLEDの画面と比べてみると、Nothing Phone (1)の画面は上質なのですが、やや黄色が強め。また、爪でタップしたときにNothingは空洞のような音が出ますが、Galaxy S22はそれもないです。
また、Nothingスマホは紙のノートなどに置いて入力すると本体が滑りますが、Galaxy S22+やOnePlus 10 Proは背面がツヤ消しのマットタイプなのでそこまでは動きません。
…という細かい粗はあるけど、なんと言ってもNothing Phone (1)は背面がガラス製で中のLEDが透けて見えるのがほかにはない特長です(テーブルから滑って割れるのが怖くてケースに入れると中が見えなくなるのがジレンマだけど)。
背面でピコピコ光るのは「Glyph(グリフ)」ライト。通話やメッセージの着信通知の役目を果たしていて、光るパターンとサウンドは連絡先ごとにカスタマイズできます。充電中やリバースチャージ中の通知にもなるし、Googleアシスタントとの連携も可能みたい(在米でSIMカードを差し込めないためGlyphのテストはできなかった)。
欲を言えば、カスタマイズの範囲はもっと広げて欲しかったです。通話やSMSでスマホ使うこともあまりないし、アプリばかり使ってる身としては、Slack、Discord、Twitterの新着と連携してくれたほうがうれしいかな(日本はLINEに連動してるもよう)。
光はめちゃ明るくて、異様に速いです。リングトーンの「radiate」というのを選ぶとストロボかよってぐらい目まぐるしく光るので、頭が痛くなる人がいても不思議じゃないと思いました。案の定、てんかん発作を起こしやすい人や光に敏感な人にはGlyphは安全じゃないかもっていう警告表示が設定パネル最下部に出ていたので、Nothing側もそれは認識してるっぽいですね。明るさは自分で調整できるので、気になる人は暗くできます。
あと細かい点ですが、最新OnePlusは横にサイレントモードなどを切り替えるスイッチ「アラートスライダー」がついてますが、Nothingにはそれがありません。左に音量調整、右に電源のボタンがあり、片手で音量の操作をすることは可能。スクショをとるのは簡単だけど、サイレントモードなどの操作は昔ながらのやり方になります。
紛れもないミドルレンジ
Appleシリコンほどじゃないけど、Nothingスマホもプロセッサにはかなり力を入れています。Qualcomm(クアルコム)社とタッグを組み、端末の特性に合わせて既存のチップに改良を加えたチップセット「Qualcomm Snapdragon 778G+」を搭載しました。これは、2021年5月リリースの8コアミッドレンジのオリジナルモデルをベースに、ワイヤレス充電、リバース充電を可能にしたものです。
ベンチマークの結果は上々で、Geekbenchでは同一価格帯の安価な端末(Samsung製Exynosチップ搭載Samsung Galaxy A53など)よりスコアが伸びました。もちろん今年後半メジャーリリースの高い端末に比べるとやや見劣りはしますけどね(シングルコアの処理性能が800点台で、SamsungやXiaomiのフラグシップモデルの1100点以上にはおよばなかった)。
Nothing Phone (1)を使ったのは1週間だけなので、通常の使用による劣化や摩耗まではテストできていません。Bluetoothコントローラを使って『ポケモンGO』と Stadiaで『エルダー・スクロールズ・オンライン(ESO)』 をプレイした限りでは、ポケモンGOのARは滑らかそのもので、ESOの戦場でもラグはまったく感じません。現状、ゲームも日常のタスクもこれ1台で済みそうです。
Nothing社から届いたレビュー機はRAM12GBのものでしたが、RAM8GBから選択できます。ゲームをやる人は、レビュー機のような大容量メモリのほうがベターですね。ストレージも128GBと256GBから選べるんですが、 MicroSDカードスロットはないので、これも用途に応じて大きいほうを検討するかたちですね。
バッテリーは4500mAh。ケーブルを差し込むと33Wの急速充電、置くだけのワイヤレス充電なら15Wで充電が可能。いずれもスピード充電で、30Wの充電アダプタをUSB-Cでつないだら、ものの10分で20%まで充電できました。
バッテリーテスト(200nitsでYouTubeを24時間マラソン視聴)では15時間近くもちました。これはMotorola Edge+の5000 mAhのバッテリーと互角です。Galaxy S22+の4500 mAhのバッテリーにわずかに足りない程度でした。
顔認証でロック解除
ワイヤレス充電、リバース充電といったプレミアム機能を盛ることでミッドレンジ感の脱却を図るNothing社は、ロック解除もがんばってます。画面下の指紋スキャナーで指紋を読み取ればロックが解除されますし、内蔵の顔認証技術を使えば指紋読み取りさえも要りません。顔の登録はすばやくでき、スワイプでロック画面を迂回するかどうかも選べます。
まあ、フェイスアンロックがスムーズにできたのは試用期間中数えるほどでしたけどね。なんか、スマホの構え方がよくわからず顔の読み取りがうまくいかなくて…。iPhone 13 ProのFaceIDのほうがよっぽど速いと思ったほど。これに関しては、指紋かパスコードのほうが顔認証より便利と感じました。
カメラは得意&不得意あり
カメラは背面カメラが2眼で、メインの広角カメラは50MPのSony IMX766センサ、f/1.88、24mm、光学手振れ補正(OIS)、電子動体ブレ補正(EIS)、スローモーション機能つき。サブは50MPの超広角Samsung JN1センサ、f/2.2、画角114度。さらにフロントカメラがあって、そちらは16MPのSony IMX471センサ、f/2.45。動画は30fpsで4K、60fpsで1080pまでの撮影が可能です。
午後の風景写真はきれいに撮れたし、屋内写真もクッキリ撮れて、これには大満足です。画素数が高いのでズームアウトすると鮮明ですが、ピンチして拡大するとデジタルズームになり、画像が粗くなるのがやや残念。
これはSamsung Galaxy S22 UltraとOnePlus 10 Proの光学ズームに目が慣れてしまってるせいもあります。いつもカメラテストで使う丘に行ったら、山火事が発生。思い切って20倍のMAXでズームインしたんですが動きについてこれなくなってしまいました。肉眼でははっきり見えたのに、写真では枯れ草と炎の境目がなくなってるではないですか。それに引き換え、OnePlus 10 Pro(光学ズーム最大3倍、デジタルズーム30倍)はずっとクリアに火が写ってて、これなら地元の新聞とかに出しても恥ずかしくないレベル。火事なんかの突発モノではとっさに使えるのがスマホカメラだけなことも多いので、これもNothingにはがんばってもらいたい!です。
ポートレートモードは背景のボケが変なところにかかったり、日なたの写真のなかには白飛び一歩手前になったりするものも。Nothing Phone (1)で撮った写真は1枚1枚手動で補正しないとSNSでシェアできないように感じました。
ただ夜景は別。Pixel 6 Pro(夜景ではいつも比較対象にしている)ほどシャープじゃないにしても、ソフトウェアの力で光量不足を上手に補っていて、夜景で不評のフラグシップスマホMotorola Edge+より格段に上です。インスタのStoriesに出すほどじゃないながらも、ミッドレンジでこれなら十分です。
OSはAndroidストックバージョンにとても近い
搭載OSはAndroid 12ベースのNothing OS。Google Play StoreでNothing launcherをダウンロードして使った人はもうご存じのように、UIはOnePlus 10 ProのOxygen OSよりPixelのAndroidに近いです。カスタマイゼーションのパネルがあって、そこで壁紙やカラーパレットが選べるようになってて、Android 12のMaterial You風。インストール済みのアイコンパックから好きなものを選べるんですが、対応する画像がないアプリについてはアイコンを個別に変更できません(Android 13ではこのミスマッチ問題が解消されてるので早く行き渡るといいな)。
設定パネルのヘッダがドットマトリクスのフォントになってるの見て、あーNothingだなってわかる感じですねー。ほかのUIエレメントは、HOME画面長押しで設定が開くので、そこでおすすめのアプリを確かめたり、Googleのアプリを左端に移動したりできますよ。
誕生間もないメーカーが売り出すブランドスマホとなると、気になるのは将来性ですが、いちおうAndroidアップデートは3年間、セキュリティパッチは4年間隔月で提供するとNothing社は保証しています。本当かどうかを注意深く見守っていきたいですね。
忘れられないギミック
最後にひとつ。NothingスマホはNFT(非代替性トークン)のトラッキング機能もあって、NFTコレクションがある人はHOME画面に5つの異なるサイズで表示させて、市場の値動きを追うことができます。こういうのに対応しているの見るだけで、だいたいどの辺りの層がターゲットか、わかっちゃいますよね。
Phone (1)は、単に買い替えて何年か使えればいいやというマスが相手…なのではなく、Samsung、Googleなどのメジャーどころが出すここ数年の優等生スマホに飽きちゃった人が飛びつくスマホなのです。
もっともマーケと見た目のデザインを除けば差別化要因が見えづらく、飽和状態のチョイスの海にまたひとつAndroidスマホが加わったという印象は拭えませんし、よっぽど飽き飽きしてないと飛びつかないようにも思います。
本当に今のスマホにはうんざりなんだ!ワクワクが欲しいのだ!というみなさまは最低価格399ユーロ(日本は6万9800円)で8GB+128GBのNothingスマホが買えます。8G+256GBモデルは449ユーロ、12GB+256GBモデルは499ユーロ(いずれも日本では未発売)。
なお、米市場ではT-MobileとAT&Tで動作すると公式は発表してますが、前者はカバレッジが読めなくて、後者は5GやVoLTE/VoWiFiが使えないのがネック。日本は8月発売予定。FeliCaは非対応です。
からの記事と詳細 ( ふつうのスマホはうんざり!な人へ。Nothing Phone (1)を1週間使ってみた - GIZMODO JAPAN )
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