骨伝導イヤフォンは読んで字のごとく、“骨”で音を聴くタイプのイヤフォンだ。通常の音声は耳の奥にある鼓膜が音の振動をとらえ、その奥にある「蝸牛」に伝達することで音の情報が脳内に伝わる仕組みだが、骨伝導の場合、骨の振動が直接、蝸牛に伝わることで音を伝える仕組みとなっている。分かりやすいのは、耳を完全に塞いだ場合であっても自身の発する声は聞こえるが、これは骨を伝わって自身の声が聞こえていることを意味する。
この仕組みを応用したイヤフォンが骨伝導イヤフォンだ。最大の特徴は耳に装着しなくても音声が聴こえること。そのため、従来のイヤフォンではよくあった、周囲の音声が聞こえにくくなるといったことがなく、イヤフォンの音声を聴きながら周囲の環境音もキッチリと聴くことが可能だ。
音質についてはあまりよくないと言われる骨伝導イヤフォンだが、そもそも音の伝わり方が異なるため、同じ土俵で比較するのはちょっと酷だろう。そもそも鼓膜には周囲の環境音が常に届く状態で、そこに骨伝導経由で同時に脳内に伝わっているという構造を考えると、正常な音質の比較は難しい。少なくとも骨伝導イヤフォン全般で言えるのは、音場の幅がやや狭くなり、音量がやや控えめになる印象だ。
一方で環境音が聞こえながらも、骨伝導イヤフォンからの明確な音声はキッチリ聴こえるので、ランニングやサイクリングといった周囲の環境音も常に聴いておきたいような状況で音楽を聴いたり、音声通話したいといった場合はこちらの方がメリットは多い。
そして個人的には骨伝導イヤフォン未体験の人にこそ是非1度試してみてほしい。筆者は3年ほど前に初めて骨伝導イヤフォンを体験したが、周囲の環境音が全く変わらないのに、装着した途端にそこそこのボリュームで音楽が流れる不思議な感覚にかなり驚愕し、思わずイヤフォンを外して音漏れをチェックしたほどだ。それはまるで耳元に少しボリュームの小さめな小型のスピーカーを置いているような、不思議な感覚なのだ。
もう1つ、通常のイヤフォンと比べると音漏れが指摘されることの多い骨伝導イヤフォンだが、その要因は音量を上げすぎてしまっている可能性が非常に高い。前述の通り、音量低めに感じる場合が多いため、周囲がにぎやかな場所などではどうしてもメインの音量を上げてしまいがちだ。
さらに骨伝導イヤフォンは音量を大きくしても通常のイヤフォンと比べるとうるさく感じにくいため、聴いている側はあまり気にならず、結果として盛大に音漏れしてしまっている場合があるというわけだ。個人的には音量を調節したら1度外して実際にどのくらいの音が漏れているかチェックするのをおススメしたい。極端に音量を上げなければ音漏れはほとんど気にならないレベルに感じられるだろう。
今回、通常のネックバンド型とTWS型を1つずつ購入して数時間試用してみたが、以前に比べるとコスパのよい製品がかなり増えた印象だ。数年前までは骨伝導イヤフォンと言うと、性能は申し分ないのだが高価な製品が多く、選択肢もあまりなかった印象だったが、2022年の現在では圧倒的コスパのCheeroをはじめ、各社がほどよい価格で製品を販売している。もちろん音質などでは差があるものの、用途によっては低価格で使える物も多く発売されており、デザインに力を入れている物など選択肢も多く、今回10選で選ぶのに迷ってしまったほどだ。
また、TWS好きとしてDACOMのTWS型「BoneBuds」を試してみたが、バンド部がなく、両耳に装着するだけで骨伝導による音声が楽しめたのはかなりの衝撃だ。低価格な製品だった事もあり、音質や音量はそこそこではあるが、ちょっとしたゲームの効果音やセリフなどを確認するなら十分なレベルだった。
最近、筆者の周囲でも電話会議などで使うために骨伝導イヤフォンを購入する層が増えているが、いずれも大変好評のようだ。テレワークなど家で電話会議に参加する必要がある人で家族の声にも注意していきたい人や、そもそも骨伝導イヤフォン未体験の人はこれを機会に是非1度、骨伝導イヤフォンを試してみてはいかがだろうか?
Shokz(元AfterShokz)「OpenRun Pro」
Shokz(元AfterShokz)「OpenRun Pro」 | |
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価格 | 2万3,880円 |
防水 | IP55 |
形状 | ネックバンド型 |
重量 | 29g |
バッテリ | 最大10時間 |
カラバリ | ブラック、ブルー |
骨伝導イヤフォン市場では2011年からAfterShokzのブランドで活動していたShokzのハイエンドモデルが「OpenRun Pro」だ。弊誌でも何度かレビューされているが、骨伝導イヤフォンの中でも高音質を実感できているようで、価格は高価ながらも売れ行きは好調なようだ。本製品では低音再生を強化し、音質を高めた特許取得済みの第9世代骨伝導技術「Shokz TurboPitch テクノロジー」を採用しているという。骨伝導イヤフォンで音質が気になるなら先ず試してみたい一品だ。
BOCO「earsopen PEACE TW-1」
BOCO「earsopen PEACE TW-1」 | |
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価格 | 1万3,010円 |
防水 | IPX7 |
形状 | TWS型 |
重量 | 約9g×2 |
バッテリ | 約5時間 |
カラバリ | ブラック、ホワイト、ピンク(限定品)、ブルー |
2019年に発売した「PEACE TW-1」は世界初となる骨伝導を採用したTWS型イヤフォンだ。コンパクトなTWS本体ながら、同社独自の耳を挟み込むイヤカフ構造により。落下しにくくなっている。
小型化した骨振動デバイスを採用し、最も骨伝導の能力を発揮できる耳介の内側後方に装着可能にしたことで、優れた音質を実現したとしている。カラバリも豊富で、1万円台で買えるのでTWS型が好きな人には是非試してみてほしい一品だ。
フィリップス「TAA6606BK11」
フィリップス「TAA6606BK11」 | |
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価格 | 1万3,750円 |
防水 | IP67 |
形状 | ネックバンド型 |
重量 | 約35g |
バッテリ | 最大9時間 |
カラバリ | ブラック |
海外メーカーPhilipsも骨伝導イヤフォンを発売している。形状は一般的なネックバンド型だが、同社では本製品をジョギング用と銘打っており、セーフティライトを搭載して点灯できる。ランニング以外にも、暗い道での事故防止や、防犯目的でチョイスするのもいいだろう。
Cheero 「TouchBone」(CHE-628)
Cheero 「TouchBone」(CHE-628) | |
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価格 | 5,266円 |
防水 | IPX5 |
形状 | ネックバンド型 |
重量 | 34g |
バッテリ | 約6時間 |
カラバリ | ブラック、ホワイト |
低価格イヤフォンの定番メーカー、Cheeroもオーソドックスなネックバンド型の骨伝導イヤフォンをリリースしている。Micro USB充電端子を備え、同社ならではのかわいい専用ポーチが付属。また、子供用モデルとして小型の「Cheero pino」も用意しており、低価格で子供にも骨伝導イヤフォンを与えられるのはうれしい。また、本製品は直販やAmazon以外にも家電量販店などで販売しており、パッケージを実際に手に取ってチェックできる。
多摩電子工業「TBS58K」
多摩電子工業「TBS58K」 | |
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価格 | 9,800円 |
防水 | IPX4 |
形状 | サングラス型 |
重量 | 36g |
バッテリ | 最大13時間 |
カラバリ | ブラック |
ほかではあまり見られないサングラス型の骨伝導イヤフォン。多摩電子工業はモバイルバッテリやアクセサリなどの周辺機器を販売する1976年創業の国内メーカー。本製品は眼鏡などと同じようにかけることで骨伝導イヤフォンとしての機能が利用できる。サングラス部のレンズは交換可能で、紫外線99%カットの偏光レンズを2種類(ブルー、スモーク)、クリアレンズの3種類が付属し、好みに応じて交換が可能だ。
DACOM「Gemini G100」
DACOM「Gemini G100」 | |
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価格 | 8,999円 |
防水 | IP55 |
形状 | ネックバンド型 |
重量 | 30g |
バッテリ | 最大8時間(骨伝導時)、最大20時間(インナーイヤー) |
カラバリ | ブラック、レッド |
日本GOOD DESIGN賞を受賞したユニークデザインのネックバンド型骨伝導イヤフォン。特徴は先端部にイヤーピースを装着可能な作りになっており、骨伝導イヤフォンとしても使えるほか、通常のネックバンド型イヤフォンとしても使えるようになっている点だ。骨伝導イヤフォンが不安な人であっても、通常のイヤフォンとして使えるので初心者でも安心感が高い。また、ナイトランニングLEDも搭載し、夜間でもライトを点灯できる。
Mu6「Ring」
Mu6「Ring」 | |
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価格 | 8,400円 |
防水 | 表記なしのため不明 |
形状 | ネックバンド型(装着形状の変更可能) |
重量 | 35g |
バッテリ | 最大9時間 |
カラバリ | レッド、ダークブルー |
Mu6は10年近くノイズリダクションヘッドフォンを研究して新たに立ち上げたヘッドフォンブランド。2018年からイヤフォン製品を発売しており、Mu6 Ringは2021年に新たに発売した骨伝導イヤフォン製品となる。先端部が120度回転可能な作りになっており、ネックバンド型のように後頭部に回して装着可能なほか、ヘッドバンドのように頭の上からの装着も行なえるユニークなデザインとなっている。防水機能については規格の記載はないが、同社サイトでは「Water Proof」を謳っているのでちょっとした雨程度なら問題はなさそうだ。
Shokz(元AfterShokz) 「OpenComm」
Shokz(元AfterShokz) 「OpenComm」 | |
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価格 | 1万9,998円 |
防水 | IP55 |
形状 | ネックバンド型 |
重量 | 33g |
バッテリ | 最大8時間(通常)、最大16時間(入力専用デバイス使用時) |
カラバリ | ブラック |
Shokzが提供する骨伝導イヤフォンモデルの中でも、角度調整が可能なノイズキャンセリングブームマイクを備えるチャット特化型モデル。チャット特化とのことで電話会議などで使う場合には、周囲の騒音を最小限に抑えるマイクが役に立ちそうだ。また、NFCを内蔵しており、NFCによるペアリング機能も備える。カラバリはAmazonではブラックのみだが、公式サイトではグレイやホワイトなども用意する。
Shokz(元AfterShokz) 「OpenRun」
Shokz(元AfterShokz) 「OpenRun」 | |
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価格 | 1万6,880円 |
防水 | IP67 |
形状 | ネックバンド型 |
重量 | 26g |
バッテリ | 最大8時間 |
カラバリ | ブラック、グレイ、ブルー、レッド |
無印のOpenRunはShokzのミドルモデルで通話品質の高さを謳う。また、ネックバンドを約21mm短くしたコンパクトモデル「OpenRun mini」も近日発売予定だ。さらに低価格のエントリーモデル「OpenMove」も用意しており、幅広い層に対して骨伝導イヤフォンをアピールしている印象だ。
DACOM「BoneBuds」
DACOM「BoneBuds」 | |
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価格 | 5,799円 |
防水 | IPX5 |
形状 | TWS型 |
重量 | 13g×2 |
バッテリ | 5時間 |
カラバリ | ブラック |
DACOMのTWS型骨伝導イヤフォン。TWS型の骨伝導イヤフォンを試してみるのに最適な1台といえる。音質や音量は高品質の製品と比べるとやや弱い印象なのだが、ながら聞きでの利用なら問題ないレベルだ。付属品はバッテリ内蔵の充電ケース以外に、イヤフォンのみを充電できるコンパクトなスタンドも付属する。バッテリ内蔵充電ケースは本体を収納する都合上、かなりサイズが大きいため、こうした気遣いはうれしいポイントだ。
からの記事と詳細 ( 【2022年版】骨伝導イヤフォン おすすめ10選 - PC Watch )
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科学&テクノロジー
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