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Wednesday, September 29, 2021

ビジネス適性も高いアスペクト比16:10の16型液晶を搭載したASUSの薄型高性能ゲーミングノートPCを試す(1/4 ページ) - - ITmedia

tosokpopo.blogspot.com

 ASUS JAPANから登場した「ROG Zephyrus M16 GU603HR」は、約2kgの薄型ボディーに強力なゲーミング性能を備え、アスペクト比16:10で画面占有率94%の16型液晶ディスプレイを搭載したゲーミングノートPCだ。

 スペックが異なる5モデルを用意しているが、今回はCore i7-11800H、GeForce RTX 3070 Laptop GPU(グラフィックスメモリは8GB)を採用した最上位モデル(GU603HR-I7R3070EC)の評価機を入手したのでレビューしよう。

ROG Zephyrus M16 GU603HR 「ROG Zephyrus M16 GU603HR」は、最薄部約19.9mm、約2kgの薄型ボディーに高いスペックを凝縮したゲーミングノートPCだ。アスペクト比16:10の16型液晶ディスプレイを搭載するのも大きな特徴となる

洗練されたデザインの薄型ボディー

 天板にアルミニウム合金、パームレストと底面にはマグネシウムアルミニウム合金を採用したボディーは、スリムながら頑丈さを兼ね備える。重量が約2kgあるので常時携帯するような使い方には向かないものの、移動する必要があるときは、サッと持ち出すことができる。

 ボディーサイズは、約355(幅)×243.5(奥行き)×19.9〜22.3(高さ)mmだ。アスペクト比16:10と16:9より縦に長い16型液晶ディスプレイを搭載しているが、サイズ感としてはアスペクト比16:9で15.6型のゲーミングノートPCとあまり変わらない。

 これは超狭額ベゼルの効果が大きい。通常の狭額縁ベゼルは、画面下部の非表示部が大きいものが多いが、本製品は画面下部も狭くしており、画面占有率は94%と最近の製品としてもトップクラスを実現している。

 非表示部の狭さは見た目にもインパクトがあり、洗練されたイメージの演出に貢献している。

ROG Zephyrus M16 GU603HR ボディーサイズは約355(幅)×243.5(奥行き)×19.9〜22.3(高さ)mm、重量の公称値は約2kgだ。実測重量は2.043kgだった
ROG Zephyrus M16 GU603HR ACアダプターの出力は240Wだ。ケーブル込みの実測重量は約725gだった
ROG Zephyrus M16 GU603HR 天面部分には、精密CNC加工で多数のドットを配置している
ROG Zephyrus M16 GU603HR ドットの底部に特殊な加工(プリズマティックフィルム)がされており、光を反射してキラキラと輝く
ROG Zephyrus M16 GU603HR 底面には多くの放熱口がある
ROG Zephyrus M16 GU603HR バッテリー容量は90Whで、公称のバッテリー駆動時間は約8.6時間だ

先進のゲーミング体験を実現する最新世代のCPUとGPUを採用

 本機に搭載されるCPUは、第11世代Core i7-11800H(2.3GHz〜4.6GHz)だ。Intel最新のCore H45(開発コード名=Tiger Lake-H)の主力モデルで、ゲーミングPC/クリエイターPCの新製品の多くで採用されている。

 第10世代のCore i7-10750Hの後継となるが、この世代からはマイクロアーキテクチャ、プロセスルールが変わったことで大きく進化した。従来の6コア12スレッドから、8コア16スレッドに増えた以上の大幅な性能向上を果たしている。

 GPUは、NVIDAのGeForce RTX 3070を装備する。リアルタイムレイトレーシングやDLSS/DLSS 2.0に対応した最新タイトルを含め、WQHD解像度までなら大抵のゲームを快適にプレイできる。

 クリエイティブ系アプリでは、描画の高速化やエンコードの高速化に加え、レンダリングの高速化、AIを生かした超解像処理やニューラルフィルターなどの特殊加工をGPU処理で高速に利用可能だ。

 メモリはDDR4-3200を16GB(換装不可)、ストレージはPCI Express 4.0 x4対応の高速SSDを1TB内蔵している。

ROG Zephyrus M16 GU603HR CPUは第11世代のCore i7-11800Hを内蔵する。先代で同クラスのCore i7-10750Hから2コア4スレッド増えてパワーアップしている
ROG Zephyrus M16 GU603HR GPUは、GeForce RTX 3070(グラフィックスメモリは8GB)を搭載する。最大グラフィックスパワーは100Wだ。リアルタイムレイトレーシングなど、先進の技術を利用した最新タイトルも快適にプレイできる
ROG Zephyrus M16 GU603HR ストレージの容量は1TBで、PCI Express 4.0 x4対応の爆速SSDを備える。評価機ではSamsungのOEM向けSSD「MZVL21T0HCLR(PM9A1)」を搭載していた
ROG Zephyrus M16 GU603HR CrystalDiskMark(ひよひよ氏・作)の結果。シーケンシャル、ランダムともPCI Express 4.0 x4接続のSSDとしてトップクラスのスコアがしっかりと出ている

 続いて、インタフェース回りをチェックしよう。

Thunderbolt 4など充実のインタフェースを用意

 通信機能は1000BASE-T対応の有線LAN、Wi-Fi 6の無線LAN、Bluetooth 5.1を標準で備える。

 外部インタフェースはThunderbolt 4(Type-C)、USB 3.2 Gen 2(Type-C)が1基ずつ、Type-Aは、USB 3.2 Gen 2とGen 1を1基ずつ備え、新旧の周辺機器を変換アダプターなしでフル活用できる。

 デジタルカメラからのデータ取り込みに便利な、microSDメモリーカードスロット(SDXC/SDHC対応)を搭載しているのも心強い。

 画面の上部に92万画素のWebカメラとアレイマイクを内蔵し、Webカメラは暗い部屋でもノイズの少ない映像で配信できる2D/3Dノイズリダクションに対応する。ビデオチャット/ビデオ会議中の音声に対する双方向AIノイズキャンセリング機能も搭載しており、ゲーム配信やテレワークのビデオ会議も快適に行える。

ROG Zephyrus M16 GU603HR 前面はフラットだ
ROG Zephyrus M16 GU603HR 背面には排気口がある
ROG Zephyrus M16 GU603HR 左側面にあるUSB Type-C端子は、手前側がUSB 3.2 Gen 2(DisplayPort Alternate Mode対応)、奥側がThunderbolt 4だ
ROG Zephyrus M16 GU603HR 右側面にUSB 3.2 Gen 1 Type-A端子と、microSDメモリーカードスロット(SDXC対応)がある。一番奥には盗難防止用ワイヤーを接続するためのセキュリティロック・スロットもある
ROG Zephyrus M16 GU603HR 2D/3Dノイズリダクション機能付きのWebカメラ、アレイマイクを装備している
ROG Zephyrus M16 GU603HR 電源ボタンにWindows Hello対応の指紋センサーを内蔵する。ボタンを押す動作でそのまま起動してログイン可能だ

静音性にも優れたキーボードを搭載

 キーボードはテンキーなしの6段配列だ。キーピッチは縦横ともに約19mmを確保しており、配列もクセが少ない。BackSpaceやDeleteキーが右端に、カーソルキーも周囲のキーと離れて配置されている。スイッチの感触もとても良く、長文のテキスト入力も快適にできる印象だ。

 複数キーの同時押しを正確に認識できるNキーロールオーバー対応し、静音設計で静音性にも優れているので、ゲーム配信やビデオ会議などで音を拾いたくない場合も気を遣う必要がないのも良い。

 単体ではとても良いキーボードだと感じるが、同じROGシリーズの日本語キーボードでも、配列のクセが全く異なるモデルが混在している点は少し気になるところだ。

 また、パームレストのソフトタッチの表面仕上げは好みが分かれるところだろう。見た目や質感は良いのだが、微妙な摩擦感が摩耗による劣化や長期耐久性への不安を感じさせるため、個人的にはあまり好きになれない。

 キーボード奥には4つのワンタッチボタンがあり、統合ユーティリティーの「Armoury Crate」の起動や音量調整、マイクミュートなどが簡単にできる。

ROG Zephyrus M16 GU603HR テンキーのないキーボードを搭載する。キーピッチは約19×19mmで、クセの少ない配列だ。スイッチの反発も適度に調整されていてテキスト入力もはかどる。静音性に優れているのも良い点だ
ROG Zephyrus M16 GU603HR RGB LEDのキーボードバックライトを内蔵する。ただし、一度に光るのは1色のみで、あまり凝った演出はできない
ROG Zephyrus M16 GU603HR キーボードバックライトのカラーやパターンは、ユーティリティーの「Armoury Crate」で制御できる
ROG Zephyrus M16 GU603HR キーボード奥には、Armoury Crateの起動や音量調整などが行えるワンタッチボタンがある。マイクミュートはビデオ会議にも便利だ

 次に液晶ディスプレイを確認しよう。

没入感の高いアスペクト比16:10の16型ディスプレイを搭載

 液晶ディスプレイは、16型で2560×1600ピクセル(WQXGA)の高解像度に対応する。2560×1440ピクセルよりも少し縦のピクセル数が多く、より多くの情報を表示できる。

 リフレッシュレートは最大165Hz、応答速度も3msと速く、動画やゲームの動きを滑らかに表示することが可能だ。

 オープンワールド系などグラフィックスの美しいゲームをワンランク上の高解像度で楽しめるだけでなく、格闘ゲームやfpsなど、高フレームレート/高リフレッシュレートが重要なeスポーツ系タイトルもしっかりと楽しめる。

 さらにDCI-P3を100%カバーする広色域をサポート。正確な色を再現できることの裏付けであるPANTONE認証も取得している。Dolby Visionの基準も満たしており、Dolby Vision/HDR対応コンテンツを臨場感高く表現でき、画面占有率約94%の超狭額縁デザインのため、コンテンツへの没入感も高い。

 Dolby Atmos対応の6スピーカーを内蔵するのもトピックだ。キーボード左右のツイーターが2W×2、底面手前側には1W×4のウーファーを搭載しており、ノートPCとしては迫力のある低音をクリアに再生できる。オーディオジャックからのサウンド出力もハイレゾ対応と、エンターテイメントをとことん楽しめる環境が整っている。

ROG Zephyrus M16 GU603HR 2560×1600ピクセルの画面解像度に対応する16型液晶ディスプレイは性能、表示品質とも高いレベルにある。リフレッシュレート165Hz、応答速度3ms、DCI-P3比100%、PANTONE認証、Dolby Visionの要件も満たす
ROG Zephyrus M16 GU603HR エックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1 Display Pro」の測定結果。輝度は525ニトと非常に明るい
ROG Zephyrus M16 GU603HR 色域を色度図作成ソフトのColor AC(Phonon氏・作)で表示した。実線で示した本製品の色域は、グレーの点線のDCI-P3の色域とほぼ一致する
ROG Zephyrus M16 GU603HR 液晶ディスプレイは180度まで開く

一流のゲーミング性能を実証

 ベンチマークテストの結果を見よう。評価機は、CPUがCore i7-11800H、メモリが16GB(DDR4-3200デュアルチャンネル)、GPUがGeForce RTX 3070 Laptop(グラフィックスメモリは8GB)、ストレージがSamsung PM9A1(1TB)、OSがWindows 10 Home 64bitという内容だ。

 Armoury Crateで設定できるパフォーマンスモードは、デフォルトの「Performance」を基本に、一部で「Turbo」でも測定した。一部のテストでは、比較対象として筆者が2019年に購入した旧世代ゲーミングノートPCのスコアも掲載する。

ROG Zephyrus M16 GU603HR Armoury Crateでは複数のパフォーマンス設定が選べる。今回はパフォーマンスに設定した
ROG Zephyrus M16 GU603HR テストPCのスペック

 マルチスレッド性能の目安になるCINEBENCH R23のスコアは12394ptsだ。Core i7-11800Hとして標準的なスコアであり、Ryzen 7 5800Hに匹敵するスコアでもある。比較対象のCore i7-9750H(6340pts)と比べると1.95倍にも上る。掲載は割愛したがTurboモードでもスコアはほぼ同じだった。

 3D描画性能は、GeForce RTX 3070としては低めだが、それでもWQXGA/WQHD解像度のゲームを快適にプレイするには十分なスコアが出ている。Turboモード時は3種類のテスト全てでスコアが良くなり、Time Spyでは約12%のスコア向上が見られた。

ROG Zephyrus M16 GU603HR CINEBENCH R23のスコア
ROG Zephyrus M16 GU603HR 3DMarkのスコア比較。Time SpyではTurboモードで約12%速くなった
ROG Zephyrus M16 GU603HR PCMark 10のスコア比較。全ての項目で比較対象を圧倒している
ROG Zephyrus M16 GU603HR PCMark 10/Modern Office Battery Lifeのスコア。残量3%まででちょうど5時間30分駆動した
ROG Zephyrus M16 GU603HR FINAL FANTASY XIV:漆黒のヴィランズベンチマークのスコア(1920×1080ピクセル、最高品質)
ROG Zephyrus M16 GU603HR FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマーク(1920×1080ピクセル、標準品質)
ROG Zephyrus M16 GU603HR FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマーク(2560×1440ピクセル、標準品質)
ROG Zephyrus M16 GU603HR FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマークのスコア(2560×1440ピクセル、標準品質、Turboモード)
ROG Zephyrus M16 GU603HR Far Cry New Dawnのスコア。フルHD、WQXGAどちらの解像度でもTurboモードでは最小fpsが少し上がった

 最後に、ボディーの発熱や動作音をチェックする。

 動作音については、Turboモードでは低負荷時からファンの音が耳障りだ。高速で回る場面が多いとファンの寿命にも影響するので、常用するのは現実的ではないだろう。パフォーマンスモードでは低負荷時は静かだが、やはり高負荷時はゲーミングノートPCとしてもやや大きい部類の音がする。空調で室温は25度程度を維持してテストしたが、薄型のフォームファクターだけにあまり放熱に余裕はないという印象だ。

 温度については、WASDキーやパームレストの温度は比較的低く抑えられているが、それでも全体的に高めの温度ではある。冬場ならば単体でも問題はなさそうだが、暖かい部屋で快適に利用するには別途外部のノートPCクーラーがあった方が良いだろう。

ROG Zephyrus M16 GU603HR FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマーク(2560×1440ピクセル)の終了直前に、FLIR ONEで撮影したサーモグラフィー画面(室温25度)。ヒンジ部を中心に全体に高めの発熱があるが、WASDキー周辺は平均38.7度、パームレストは平均33.8度とゲーム中によく手が触れる部分は、比較的低い発熱に抑えられている。Turboモードでも温度の分布、温度自体もパフォーマンスモードとほぼ変わらないが、ファンの音はより大きかった

幅広い用途に活躍できる高性能薄型ノートPC

 評価機となる最上位モデル(GU603HR-I7R3070EC)の価格は、同社の直販ストアで26万9800円だ(税込み、以下同様)。スペックが異なる下位モデルも用意され、GPUをGeForce RTX 3060(グラフィックスメモリは6GB)である以外は評価機と共通のスペックを持つモデル(GU603HM-I7R3060EC)は、23万9800円になっている。

 高解像度で色再現性も高いアスペクト比16:10の液晶ディスプレイは、ビジネスやクリエイティブ用途とも相性が良く、キーボードやインタフェースの構成もゲーミング特化というよりは汎用(はんよう)性の高い装備で、テレワークやオンライン授業、HDRやハイレゾコンテンツの鑑賞、写真編集やビデオ編集などにも活躍できる製品だ。ゲーミングを含めた幅広い用途に活用できる持ち運び可能な高性能ノートPCを探している人にとっては、有力な選択肢となるだろう。

ROG Zephyrus M16 GU603HR

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