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Wednesday, April 28, 2021

第10世代Coreを搭載した高性能な「ASUS Chromebox 4」 - PC Watch

tosokpopo.blogspot.com

 ASUSは4月28日、Chrome OSを搭載し、プロセッサ、メモリ、ストレージ違いで4タイプの「Chromebox 4」を発表、5月13日から販売を開始する。ひと足早く試用する機会に恵まれたのでレポートをお届けしたい。

Celeron 5205UからCore i7-10510Uまで4タイプ揃ったNUCタイプのChromebox

 ここのところChromebookに関してはかなり盛り上がっているが、NUCタイプのChromeboxはほとんど見かけない状況だった。そこへ投入されたのが今回ご紹介する「Chromebox 4」だ。Chromebookとは違いパネルやバッテリ、キーボードなど余計なものが無い分、同クラスであれば安価になる上、手持ちの周辺機を活用できる。持ち歩く必要がなけれな、こちらの方がベターだろう。

 4タイプあり、順に、Celeron 5205U/4GB/64GB(eMMC)/41,500円前後、Core i3-10110U/8GB/128GB(M.2 SSD)/56,500円前後、Core i5-10210U/8GB/128GB(M.2 SSD)/68,500円前後、Core i7-10510U/16GB/256GB(M.2 PCIE GEN3x4 SSD)/85,500円前後(価格はすべて税込)。主要インターフェイスは同じだ(CeleronタイプだけUSBのポート数が少ない)。

 さすがに全部入りのCore i7タイプは少し高いが(と、いっても同クラスのChromebookより安価)、Core i3/i5モデル辺りは狙い目ではないだろうか。いずれにしても消耗品の範囲(税込10万円未満)で購入できるので、個人でも企業でも導入しやすい価格帯だ。

 なお、Chrome OS搭載機は、サポート期間が定められており、本シリーズに関しては2028年6月までとなる。約7年あるので特に問題ないだろう。ここでChromebook|Box、各製品のstable、Beta、Dev、Recoveryなどの各ビルド番号が確認できる。本機のstableは執筆時点で13729.84.0 / 89.0.4389.130となっていた(現在はM90)。

 手元に届いたのは最上位のCore i7タイプ。メモリ16GB、ストレージM.2 PCIE GEN3x4 SSD 256GBと、第11世代でないのは残念だが、ゲーミングPCを除けば最上位クラスのWindows PCと変わらないスペックとなる。

ASUS「Chromebox 4」の仕様
プロセッサ Core i7-10510U(4コア8スレッド/1.8~4.9GHz/キャッシュ 8MB/TDP 15W)
メモリ 16GB(DDR4-2666)
ストレージ M.2 PCIE GEN3x4 SSD 256GB
OS Chrome OS
グラフィックス UHD Graphics/HDMI 2.0×2、Type-C(DisplayPort Alternate Mode)
ネットワーク Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1
インターフェイス USB 3.0 Type-C×1 (背面×1)、USB 3.2 Gen 2×5(正面×2、背面×3)、microSDカードスロット、音声入出力
サイズ/重量 約148.5×148.5×40mm(幅×奥行き×高さ)/約1kg
税込価格 85,500円前後

 プロセッサはCore i7-10510U。4コア8スレッドでクロックは1.8GHzから最大4.9GHz。キャッシュ8MB、TDP 15W。メモリは16GB(DDR4-2666)、ストレージはM.2 PCIE GEN3x4 SSD 256GB。OSはChrome OSを搭載する。

 以前も書いているが、一般的にChrome OS搭載機は、Windows PCより少ないリソースでも軽々動くと言われている(つまり古かったり非力なリソースでもサクサク動く的な)。しかしこれは半分本当で半分嘘だ。

 OSのフットプリントはWindowsと比較して小さいため、少ないリソースでも大丈夫だが、その上で動くChromeでサイトなどをアクセスする場合、レンダリングにパワーが必要、多くのタブを開くには多くのメモリが必要……と、この部分はWindowsやmacOS上で作動するChromeと同じだ。従ってよりハイパワーのマシンの方が快適に利用できる。加えてAndroidアプリやLinux環境も使うなら尚更だ(ストレージも同様)。従ってこのCore i7タイプは十分存在価値がある。

 グラフィックスは、プロセッサ内蔵UHD Graphics。外部出力用にHDMI 2.0×2、Type-C(DisplayPort Alternate Mode)を備えている。3ポート同時出力可能4K対応となる。

 ネットワークは、Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1。その他のインターフェイスは。USB 3.0 Type-C×1 (背面×1)、USB 3.1×5(正面×2、背面×3)、microSDカードスロット、音声入出力。Thunderboltこそ無いものの、最新が一通り揃っている。

 サイズ約148.5×148.5×40mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1kg。VESAマウンタも付属し、ディスプレイの裏などに設置可能だ。価格は税込で85,500円前後。安価でローエンドなChromebookは数多くあるものの、ハイエンドモデルは国内では少なく本機は貴重な存在となる。

 筐体はNUCより大きく、少し前にご紹介した「MINISFORUM HM50」とほぼ同じサイズ感だ。iPhone 12 Pro Maxとの比較写真からも分かるようにコンパクト。重量は638gなので、片手で楽々持ち上がる。

 前面は音声入出力、USB 3.1×2、microSDカードスロット、電源ボタン。背面はロックポート、Gigabit Ethernet、USB 3.1×3、HDMI×2、USB 3.0 Type-C、電源入力を配置。裏はVESAマウンタ用のネジ穴がある。付属ACアダプタはサイズ約125×45×28mm、重量238g、出力19.5V/4.62A。PDでないのが残念なところ。

 ご覧のようにOSが違うだけでコネクタ類などは一般的なものなので、キーボード/マウス、ディスプレイ、そして電源を接続すれば起動する。ネットワークはWi-FiかGbEどちらかがあれば良い。もしAndroidアプリを多用する場合は、加えてタッチパッドかタッチ対応ディスプレイがあればよりスマホ的に操作でき便利だ。

 ノイズや振動、発熱は試用中、特に気になることはなかった。これなら机の上でもVESAマウンタを使ってディスプレイの裏に付けても問題ないだろう。

起動するとChromeの世界!

 初期セットアップは画面キャプチャが撮れないので要約すると、言語/キーボードの選択、Wi-Fiへの接続(有線LANの場合は無し)、Googleアカウントの入力、使用許諾やアシスタントの有効化などいくつかの“はい/いいえ”……これで終わりだ。またログインしたGoogleアカウントで既にChrome OS使用中の場合はその環境が復元される。

 初期起動時、インストール済みのアプリケーションは、「Chrome」、「ウェブストア」、「Playストア」、「Playゲーム」、「YouTube」、「Gmail」、「Googleドライブ」、「ドキュメント」、「スプレッドシート」、「スライド」、「Google Play ムービー&TV」、「ファイル」、「YouTube Music」、「Playブックス」、「電卓」、「Duo」、「Google Keep」、「フォト」、「カメラ」、「Play Music」、「設定」、「Chrome描画キャンパス」、「Text」、「使い方・ヒント」。

 多くはサービスへのショートカットで単にChromeで開くだけだが、電卓やファイルなどはアプリ形式で別ウィンドウで開く。またTwitterやVLCはログインしたアカウントが既に使っおり、自動的にインストールされたものだ。

 設定は基本的にWindows/macOS版のChromeと同じ構成だが、ハードウェアに関連する部分、Android、Linuxなどが追加されている。異なる部分を主に画面キャプチャした。

初期起動時のデスクトップ

 設定 / アプリ / Google Playストア / Android設定を管理で、Androidの設定アプリが起動する。Android搭載スマホなどと同じものだ。バージョンは9となっている。10になればダークテーマなどが使えるので、早く対応して欲しいところか。もちろんGoogle PlayストアからAndroidアプリをインストールできる。

 さて、このAndroidアプリ、アプリの作りによってウィンドウの動きが違う。出来の良いアプリはウィンドウのリサイズが可能。出来が悪いのはスマホView(つまり縦長固定)や全画面表示のみなど、リサイズが出来ないものも結構ある。また表示のスケーリングが固定なので、ディスプレイで表示すると恐らく小さくて見にくい。

 例えばInstagramアプリがこれに相当するが(そういえばiOS版もiPadOS版が無いのも相変わらず。出来の悪いアプリの代表作)、画面に小さく出るので非常に見にくい。このようなケースでは、Androidの設定で、システム / 端末情報 / ビルド番号を7回クリックすると「開発者向けオプション」が有効になるので、この中の”デフォルトのウィンドウサイズ”を”最大化”に設定すれば、左右はブランクになるものの大きく全画面に縦長の表示となる(タッチパネル操作の写真参照)。あくまでもデフォルトなので、ウィンドウサイズが変更可能なアプリであれば、後からサイズも変更可能だ。

 ファイルは設定 / ネットワークファイル共有でNAS(SMB)に標準で接続可能。Googleドライブは接続済みだ。新しいサービスを追加で、OneDriveやSFTPなども用意されている。当初、ローカルファルしか扱えず不便だったが、WindowsやmacOSの様に、ローカル以外のファイルへもアクセスでき、同等に扱うことができる。

Android / 設定
Android / バージョンは9相当
Android / Google Play
ファイル / NASをマウント

 stable/安定板の最新は8.9系(M89。執筆中にM90へ)。このバージョンでちょうど10周年とのこと。新機能として、テザリングをChrome OS側から操作できる「Phone Hub」、AirDrop的な「Nearby Share」、同じアカウントでログインしているAndroid/Chrome OSのWi-Fi設定を共有する「Wi-Fi Sync」、従来機能+αの「Screen Capture」、シェルフ(タスクバー)にファイル(ダウンロード画面キャプチャは自動追加)をストックする「Tote」、直近5件まで保持できる「Clipboard」、使いやすくなった「Virtual Desks」、選択文字列に関する情報を表示する「Quick Answers」など、大小さまざまな機能が追加されている。

新機能紹介(1/4)。Androidスマートフォンを直接制御、Wi-Fi同期でオンラインアクセスが迅速に
新機能紹介(2/4)。強力なスクリーンキャプチャツール、重要なファイルを手元で管理、コピーと貼り付けの効率を向上
新機能紹介(3/4)。知りたいことをすばやく参照、デスクのアップデートでマルチタスクが容易に、ロック画面をパーソナライズ
新機能紹介(4/4)。メディアコントロールに簡単にアクセス

 中でもSmart Lock、Phone Hub(インスタントテザリング、メッセージ)、通知、最近使ったChromeタブ、Wi-Fi同期など、Androidスマホと連携することができ、なかなか強力だ。本機はデスクトップなので(通知、最近使ったChromeタブ以外)あまり関係ないが、Chromebookではテザリングを本体側から操作可能となる。

接続済みのデバイス(左のパネルは合成)

 Linux環境は/etc/os-releaseで調べたところDebian GNU/Linux 10(buster)。TerminalでIMEが使えるので、一見そのままLinuxアプリでIMEが使えそうに思うが、これはTerminalがChromeのウィンドウで動いているからであり、必要に応じて別途Linux用のIMEをインストールしなければならない。

 また、サイトの開発などでたまに/etc/hostsを書き換えたいことがある(現サーバーと、新サーバーで、ドメイン名は同じだがIPアドレスが異なる時など)。ただこのLinux環境はContainerで動いてるため書き換えてもLinux環境内でしか有効ではなく、Chromeには効かない(拡張機能でも同じようなものがあるがうまく機能しないケースがある)。これを解決するにはDeveloper Modeで起動、Terminalからshellコマンドを実行(bashが起動)、ここで/etc/hostsを編集する。ここでのLinuxは本体側のLinuxなのでsudoで下手に触ると動かなくなる可能性があるため要注意だ。

Linux環境。Visual Studio Codeを起動。Microsoftのサイトから.debをダウンロードしインストールできる

 Androidアプリは、用途によってはいろいろ使うケースもあるだろうが、筆者の場合は、使いたいアプリはサービス系で、基本的にChromeでサイトへアクセスすれば済むのであまり使っていなかった。ただ例外ができた。それはGoogleフォトだ。最近OneDrive有償アカウントでかつ、Androidアプリのみ、ぼかし、カラーフォーカス、ポートレートライト、HDRなどの機能が使えるようになり、これがなかなか凄い。

 明るさ、コントラスト、ハイライト/シャドウ、アスペクト比を維持したままのトリミング、色温度、色被り……など基本機能に加え、こられが使えるようになり、ここのところポートレート系は、Photoshopを使わず、セレクトした写真をGoogleフォトへアップロード、調整後、ライブラリで関係者と共有という流れに変わってしまった。また必要であれば盛り系のSNOWなども併用も可能。PC/Mac用の同種のアプリとしてはPortraitPro Studioなどがあるが、面倒なことが多く、Googleフォトばかり使うようになってしまった。

Androidアプリ版のGoogleフォトで編集中。(1)バッチありが、OneDrive有償アカウント専用機能。Web版やiOS/iPadOS版ではこの項目はなく、Android版のみ対応

 ただこれを使う場合、気になるのはカラーマッチングやディスプレイ/パネルの特性だ。調べたところ、内部的にはiccプロファイルを持っているらしいが、これをユーザー側で触る手段が無い。i1 Profiler的な機能追加が望まれる。

 ベンチマークテストは簡易式だが、Google Octane 2.0とAndrodアプリのGeekbbench 5.0を使用した。結果は44,727と、1,008(Single Core)/3,791(Multi Core)。参考までにXperia 1 IIで18,848と575(Single Core)/1,516(Multi Core)。Snapdragon 865 5Gの約倍速い。さすがCore i7と言ったところか。

 筆者は「HP Chromebook x360 12b」@Pentium Silver N5000/4GB/eMMC 64GBを所有しているが、作動速度は明らかに本機の方が速い。Core i7/16GBまでとは言わないが、Core i5/8GBクラスは欲しい感じだ。

Google Octane 2.0は44,727
Geekbench 5。1,008(Single Core)/3,791(Multi Core)

高性能が必要なユーザーへ

 以上のようにASUS「Chromebox 4」は、Celeron 5205U/4GB/64GB(eMMC)、Core i3-10110U/8GB/128GB(M.2 SSD)、Core i5-10210U/8GB/128GB(M.2 SSD)、Core i7-10510U/16GB/256GB(M.2 PCIE GEN3x4 SSD)と、4タイプ選べるChromeboxだ。価格も税込で41,500円から85,500円前後と購入し易いレンジ。予算や用途に応じて選ぶことができる。

 Chromebookではなく、Chrome OS搭載の小型デスクトップでかつパワーを求めているユーザーにお勧めしたい1台と言えよう。

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