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Thursday, August 20, 2020

麺つゆ持参で外食 ベジタリアンのジャイナ教徒と結婚した日本人女性 - livedoor

28歳の時に都内のクラブにて、ジャイナ教徒でベジタリアンのインド人と恋に落ち、自分もベジタリアンになって彼と結婚。

現在はニュージーランドに移住して男児2人を育てている筆者が、ジャイナ的カルチャーショック、ジャイナ流ベジタリアンの実態、インド式育児による洗礼…といった、ディープなジャイナ教徒との結婚生活を紹介していきます!(全3回)

ジャイナ教徒インド人の彼との出会い

東京でジャイナ教徒の彼と出会ったのは、私が28歳の時でした。以前からインドを旅したり、インドに関する本を読んだりと、そこそこインド好きな女子でしたが、当時の私は「借金・浮気・情緒不安定」の三大ダメ男要素を満たす欧米人の彼氏との恋愛終末期でドン底。異文化はもうウンザリ! どうか次はフツーの日本人男性で!と切望していました。

ところがある週末、アラサー友人の出会いを求めて六本木のクラブへ行き、自分がジャイナ教徒の彼と恋に落ちてしまいました。ピュアで品が良いというのが彼の第一印象。妖しさと欲望が渦巻くカオスなクラブ内で、ジャイナ教徒の彼だけが健全な好青年に見えたのです(笑)。

電話番号を交換し、メールや電話でのやり取りを数日続け、彼の住むマンションでインド料理を食べることに。数週間後には私が彼の家に転がり込み、翌年に婚約、2年後に結婚、3年後には出産…と、猛スピードで異次元のディープなジャイナ教の世界に飛び込んでしまったのでした。

そもそも、ジャイナ教って何?

当初はジャイナ教徒の彼と付き合うことで、自分にどんな影響があるのか謎過ぎて底知れぬ不安がありました。

休みの日に彼が白い布を身に纏ってジャイナ教寺院に行ってしまったり、静かだなぁと思ったら彼が数珠を片手にマントラ(念仏)を唱えていたり、部屋をオシャレにしたくてもジャイナ教寺院の写真を壁にかけられたり、結婚前に同棲していることが親にバレたら困るからと、近所では離れて歩いたり…。ジャイナ教の習慣を、どこまで実践するかでよく喧嘩しました。

夫がジャイナ教徒だと言うと、ヒンズー教徒やキリスト教徒のインド人が口をあんぐり開けて「オーマイガッド!!」と言うくらい、ジャイナ教徒はインドでもちょっと独特な存在のようです(←結婚8年目くらいで発覚)。

ジャイナ教ベジタリアンの特徴

ジャイナ教徒はインドの総人口の0.4%弱(約4.4百万人)と、インドでもかなり少数派。「不殺生」を重んじるため、ヒンズー教徒やイスラム教徒と比べて厳格なベジタリアンが多いのが特徴です。インド人の中には来日して日本食LOVEになる人もいますが、私が飛び込んだジャイナ教コミュニティはみんな厳格なベジタリアンでした。

親も親戚も習慣的にベジタリアンである場合がほとんどで、動物愛護や環境保全の意識からベジタリアンやヴィーガンになる人とは少し感覚が違います。そもそも肉を食べたことがないので、「肉ってどんな味なの?」と聞かれたことも。水槽の熱帯魚をカワイイと思う気持ちはあるのに、どうして魚を食べちゃうの?と、腑に落ちないようです。

「食べるために動物を殺す」のがNGなので、動物由来でも絞るだけの牛乳はOK。このあたり、動物に苦痛を与えることをNGとするヴィーガンの人ともスタンスが違います。野菜や穀物が中心の食生活でも、炭水化物や揚げ物、バターも多用するので健康志向のベジタリアンとも違います。

ジャイナ教特有なのが、肉や魚だけでなく、野菜の中でも玉ねぎやニンニクといった香りの強い根菜・球根類などを避ける人がいること。収穫するときに植物自体を殺生してしまうからとか、採取時に地中の虫を殺すから、などの理由があるようですが、玉ねぎ・ニンニクがNGになると、おもてなしをするにしても、外食するにしてもハードルが格段に上がります。

彼との結婚を取るか、肉を取るか

私も彼も結婚が大前提の交際だったので、数週間して「ベジタリアンになれないなら、君とは結婚できない」と断言されました。

「彼を取るか、肉を取るか」という究極の選択を迫られ、強制的に菜食主義について考えさせられることに…。ベジタリアンになる上での心配事(主に健康面)や、ジャイナ教的ベジタリアンの矛盾点(革製品の使用については適当だったりする)などを散々話し合いました。

でも最終的には、「肉や魚を食べなくても食べ物は豊富にある」という理屈と、「美味しいとはいえ、動物の命を奪うのは可哀そう」という感情的な動機で、私もベジタリアンになって彼との交際を続けることを決めたのでした。焼き肉屋では豚トロが好物の私でしたが、頭で納得して決めたことだったので、不思議と「食べたいのに食べられなくて辛い」ということはありませんでした。

でも、「不便さ」と「選択肢の少なさ」が辛かった(涙)。何十種類もあるメニューの中で食べられるものがひとつもないとか、肉・魚抜きでと頼んだら具無しのパスタが出てくるとか(笑)。〇亀〇麺では、自前の魚ダシ不使用の麺つゆでうどんを食べていました。

とにかくみんな色々言ってくる

当時は日本でベジタリアン生活をしていると、とにかくみんな放っておいてくれませんでした。

「もともと食べるために育てられた動物なんだから」とか、「人類はもともと狩猟採集民」という肉食派。「こんな美味しいものを食べないなんて人生損している」という哀れみ派。「肉や魚が入ってるって言わなきゃばれない」という隠ぺい派。「肉や魚が嫌なら自分の国に帰ればいい」という追放派など、ベジタリアンに対する否定的な発言が度々耳に入ってきました。

最大の難関は母親だったかもしれません。「もう何を食べさせてやったらいいかわからない!」と何回言われたことか…。娘の健康や、料理にかかる手間暇を心配してのことだったのですが、どの切り口から説明しても暖簾に腕押し。理解を得るには、とにかく長い時間がかかりました。

年月が解決してくれることも

ベジタリアン歴も12年となり、栄養失調などになったこともないので、お陰様で今は何を言われても心穏やかでいられます。ニュージーランドでは、大半のレストランにベジタリアンメニューがあり、スーパーにも大豆ミートが豊富にあります。子供たちもベジタリアンですし、かつて東京で感じていたような不便さはありません。

また、夫も年月を経て丸くなったのか、2年ほど前にふと「私の場合、体が日本人だし、タンパク質は魚から摂るのが合っていると思う」と言ってみたら、「じゃあ魚食べればいいよ」とあっさり許可され、10年ぶりに魚を食べ始めました。

正直言って魚への罪悪感はあまりなかった私なので、ペスカタリアン(魚と乳製品はOKな菜食主義者)になって食事の幅も格段に広がり、日本でも気楽に外食できるようになりました。「ベジタリアンにならないと結婚できない」と私に言っていた夫ですら、立派な中年期に入り、健康のために魚油サプリを摂取し始めました…。でもこれは、インドの家族には機密案件です。

(第2回に続く)

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August 20, 2020 at 08:58AM
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